旅する心-やまぼうし

やまぼうし(ヤマボウシ)→山法師→行雲流水。そんなことからの由無し語りです。

今熊山・浄ノ滝【山形県】

2017-10-29 10:53:02 | 山形県の山


2017.10.26(水)は、長年行きたいと思い続けてきた山へ。
標高はさほどでもないのだけれども、けっこうハラハラ、ドキドキものだった。
浄ノ滝は、これまた圧巻。

今熊山 いまくまやま 573m
     月山前衛山群の一つ。山形県戸沢村

 浄ノ滝 じょうのたき

今神温泉の200m手前で大規模崩落があり、通行止め。
その付近には駐車スペースが確保されているし、御池(おいけ)から先の浄ノ滝までの道も、山の神からの道も整備されているらしい。
そんな情報をもとに、とにかく行ってみることにした。
いっそ通行止めとなっているところに車を置き、約2㎞の林道歩きで戻り、山の神~浄ノ滝~今熊山の周回でもできないかなどと気楽に考えたりしていた。

現地までは、一般国道、高速道経由のいずれでも我が家から3時間超かかる。
途中、コンビニに立ち寄ったり、『道の駅 とざわ』で休憩。
普通車でも難なく走れるような林道を進み、杉の根元に立てかけられた小さな鳥居と、これまた目を引く金精様が置かれた山の神に7時半に到着。
霧が立ち込め、山全体がかなり濡れている。

さらに林道を進むと水たまりの箇所が何カ所も出てきた。
特に橋の上がすごい状態。
「これでは、やはり長靴でないと歩けない。それに、2㎞を戻り、深い霧で覆われたブナの道をたどって周回するなんて自分には無理。」などと思いつつ、通行止めの所に着いた。

それにしても濃い霧。
天気予報を信じて、待つことにした。



(山の神からの道は、右に入っていく。)


(この先通行止め。手前に3~4台駐車可能なスペースが作られている。)
 ※下山してきたら、崩落地の測量調査に来た方々の車が停まっていた。平日利用の際には、注意が必要かも!


9時過ぎになって霧が晴れ、青空が出てきたので行動開始。



(崩落地:今神温泉への道は完全に寸断されている。踏み跡をたどって先に進む。)




まずは今神温泉(跡)に行ってみることにした。
ここも、鉄製のゲートが設置。
その右わきを抜けた先には広い平場。
そして廃屋となった温泉施設が建っている。



(今神温泉跡)


外壁に掲示された由来書によれば、神亀元年(西暦724年)に発見された名湯で、湯の効能はどんな難病にも効くという。
効能書きにはありとあらゆるものが記載されていた。
今神温泉という名は、今熊野神社の奥の院であることから”今”をとり、神様が守っている温泉であることから付けられたとある。

ここで、アレッとなった。
今神温泉(奥の院)の守り本尊は、観音様・阿弥陀様・薬師様・龍神様・虚空蔵様・姥の神様だという。
神社なのに神様が仏様とは・・・。
まさに”神仏混淆”の宇宙コスモスとなっている。

ホンの少し戻り、山に入る。
美しいブナの林の道を上がる。



(今神山歩道の案内標柱)




木立を抜けた先からは、ロープが設置された急斜面を下る。
そして滑りやすそうな道を行く。





また林の中に入って進むと、御池に到着。
”絶景かな! 絶景かな!!”
つい独り言を発してしまった。







(景色にみとれて危うく踏みそうになった鉄製の祭祀具とお賽銭)


高倉山への分岐を過ぎる。
キノコ(カノカ=ブナハリタケ)の香りが漂っている。
※すでに溶けかかっていたので採取は断念。



(高倉山分岐)


湿ってすべりやすい道をさらに上ると、浄ノ滝分岐に出た。
ここを右に曲がると、美しい光景に驚く。



(左は浄ノ滝へ)




(眼前の断崖も見事)


断崖の手前からは急斜面を下る。
緊張の連続。







クサリ場が続く。





(ここもクサリが設置。しかし、引いてみたらズルズルと寄ってきた。すでに機能していない。
 雪で下方に落ちてしまわないようにと丸めて木の根元にひっかけて置いてきた。ちぎれた一部は下側に落ちてしまっていたが。)






「ここは上りで使用すべきか、それとも下りでの方が良いか?」
「いやいや、どちらも大変!」
などと自問自答しつつ、通り抜けた。

明るい尾根筋に出て一安心。
今神神社の小さな社で参拝。
(中に安置されているのは、確かに如来と菩薩。)







社わきから山頂へ。



(狭い今熊山山頂)


(ハート形の御池)


(高倉山側の眺望。右の枯れ木の左側に張り出した枝先の後方に滝が見える。)


(滝部分をズームアップ)


(登山口のある林道側を見下ろす。)


(西方に連なる山塊)


誰もいない山頂で昼食休憩。
ところが安心などしていられなかった。

粒入りコーンのカップスープを用意し、コンビニで買ってきた卵入りミックスサンドを食べていたら、スズメバチが1匹飛んできてグルグル回り始めた。
急いで残りを口に入れ、ハチをできるだけ刺激しないようにしながら低くかがんだまま退散。
頭の上をブンブン飛び回るハチは本当に冷や汗ものだった。

高倉山、御池を再度眺め、お社に拝礼して下山へ。





(下りのロープ場)


この辺りは、湿った落ち葉の下が粘土岩なので、とにかく滑りやすい。
なだらかなところに来て気が緩み、滑って転んでしまった。
(幸いどこも汚れることはなかったが・・・。)

緩やかな傾斜の開けたところに着いて、道が分からなくなった。



(一瞬慌てた場所:画像中央からやや右側の横に張り出した細い木にちぎれ小さく残った赤テープを見つけて安心)


それを越した先にあった泥濘の道。



(画像は下りてきたところから振り返ったもの。ここから上部が歩きにくい。)


大崩落地の上部に出た。
下りられない?!

右側下方に赤テープを見つけてこれまた安心。
しかし、粘土質の泥濘に足をとられて歩きにくかった。
もちろん、登山靴もスパッツも泥だらけ。



(崩落地の上部)




車に戻ったら、崩落地の測量調査に来た方々がワゴン車の中で昼食中だった。

     *
今熊野神社の大杉に立ち寄る。



(樹齢1200年超ともされる杉は確かに大きい。)

     *

浄ノ滝への起点となる場所までの道は、整備されているので普通車でも大丈夫。
しかし、駐車場下では砂防堰堤の下流路工事が進められているので、工事関係の車の通行には注意が必要。
それに現場事務所につき立ち入り禁止と記された標柱はあるが、ついそちらに行ってしまうようだ。
わたしも同じ。
狭い道で対向車が来てしまい、バックすることになり大変だった。
(側溝があったりするので、脱輪などしたらもっと大変なことになる。)

駐車場では男性2人が行く準備をしていた。
二言三言あいさつを交わし、こちらも歩き出した。
滝までは30分ほど歩く。
「散策路」という案内を見て安心していたら、かなりシンドイものだった。
それこそぬかるみの連続、数度の沢越え。

わたしは長靴に履き替えていたので大丈夫だったが、先の男性1人はすっかり靴中まで濡れてしまったようだ。



(男女別のきれいなバイオトイレも置かれている。)




(左は、山の神側からの道)


(工事が進められている)




(沢を越える)


(ここは左手の大岩のわきを沢に入って越す)


浄ノ滝が目に飛び込んできた。
すごい、スゴイ!!
沢の水量は多いのだが、水中の石を頼りに対岸に渡った。
ガイドブックには一見の価値ありとあったが、そんなものではない。
圧巻の光景に心奪われる。

滝下に近づいたところで、今日2回目の昼食。
なにせ山頂ではハチに追われてしまったので。
またまたカップスープにおにぎり1個。
ここでもノンビリ休憩となった。







渓流沿いの来た道を戻って終了。
心に残る山と滝だった。








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