ホットな山紀行
登ったばかりの山の感想を写真を主にしてつづった紀行文です
 





切合小屋から飯豊山まで2時間の道のりです。
昨日のうちに行けないこともなかったのですが、この美しい稜線は青空の
もとで歩きたいと思い、切合小屋で宿泊しました。

翌朝、最初のうちはまだしも良かったのですが次第に
風が強まり、山頂が近くになるにつれ烈風の様相を帯びてきました。
ガスが嵐のように激しく流れ、目を開けるのが辛いほどの強風でした。

山頂から下って30分も経ちますが、今は嘘のように
すっかり晴れ渡り、澄んだ青空に飯豊山の稜線が美しい線を描いています。

山の陰になって確認できないのですが、飯豊山から連なっていると思われる
伸びやかな尾根が恰幅のよい大日岳に向かっているのも見えます。

不意に飯豊山に登ると思い立ったのは、あるネットの
情報に飯豊山の字句がおどっているのを見たからです。

飯豊山と聞くと、縦走しなければという先入観だけが強く、それだけにその
時期にしっかりしたプランを立ててよっぽどの決断を
しない限り行かれない山であると思い、いつかはその機会もくるのかしら
と、行くではなし、行かぬではなしに、のんきに構えていました。

磐越自動車道を走って会津坂下というインターで
降り、ともかくも山都という地名を目印に進んで阿賀野川を
越え、それから間もなく山都駅の前を通り過ぎます。

山都駅から夏季に飯豊山の登山口になる川入までバスが運行しているそう
ですが、今の時期はタクシーを利用することになります。

川入の集落まで来て、道が二手に分かれ、どちらも
通行不可の看板が立っていました。

道行く地元の人に聞くと、その看板を無視して左側に進めば登山口の
御沢キャンプ場があると教えてもらいました。

黄金色に色づいたブナ林の尾根道が果てることなく
続き、その後、道は左に巻いて再び三国岳に向かっての尾根道になります。

途中に岩場もありますが、まったく問題はありません。
三国岳には新しい避難小屋も建ち、中を覗けば快適そのものです。

今日はその展望はガスで駄目だったのですが、山頂から
大日岳や飯豊山が見えます。

がっかりした様子の登山者がここで何人か引き返した様子ですが、それ
ばかりではなくこの三国岳を目指して日帰りする人も多いようです。

今日の宿泊地になる切合小屋は三国岳から1時間40分ほどで着きます。
夜中、目覚めて外に出ると満天に星がキラキラ輝き、明日の晴天に
疑念など浮かぶはずもありません。

早朝、窓を開けると見えるはずの飯豊山はガスで
どこを見渡しても物の影さえ見えません。

ここから飯豊山まで2時間で着きますが、その様子は最初に書いた通りです。
途中で何度も引き返したくなりました。

さて、飯豊山の山頂の近くに建つ避難小屋も三国小屋と造りは
同じでキレイな小屋です。
トイレは三基あり、そのうち二基は夏季に使われる水洗トイレです。

但し、使用した水はその都度登山者が補充する必要があります。
ちなみに切合小屋のトイレは四基あり、そのうち三基は
夏季用の水洗トイレです。三国小屋のトイレは一基だけでした。

晴天の中、下山しましたが、振り返って飯豊連峰
の美しい山容を見るに付け、やっぱりこの尾根は縦走するに限ると
何度も得心し、それも是非夏空のもとで歩きたい、もう
一度ぜったい来るぞと心に誓いながら下りました。

今回は川入からのピストンでしたが、素敵な紅葉を堪能するには
これだけで充分です。

山行を終えるといつもならそそくさと帰路に付く
ところですが、珍しくゆっくりと「いいでの湯」という温泉に
浸かったのは、どこか心の内にこの情景から離れがたい
心境がひそんでいたのかも知れません。


以下は写真です





登山口の御沢キャンプ場




登山道の紅葉





山肌は燃えるような紅葉





切合小屋から突然にガスが切れて飯豊山が見えました






翌朝、飯豊山に向かいましたが、穏やかな尾根に強風が吹き荒れていました





時にはこのような青空を覗かすことも……飯豊山の登り





御秘所の岩場を登り下りする





飯豊山を下り、次のピークを登り返す頃には青空が広がりました……振り返ってみた飯豊山




大日岳




飯豊山と切合小屋が見える……いつまでも眺めていたい風景でした





振り返って見る三国岳


平成18年10月15日(日)~16日(月)実施




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喧噪の磐梯山を皮切りに秋をいろどる飯豊山へ

磐越自動車道から見る磐梯山はものの見事なくらいに
天を突き、すぐにでも登りたいと食指は動かすものの、あまりにも
メジャーがゆえに天邪鬼の気持ちも働いて、かねてから
この山は行きそこねていました。

手に取ったガイドブックは裏磐梯のコースを紹介していますが、荒々しい
岩肌にしっとりした新緑のコントラストが写真に納まっています。

五色沼に向かう磐梯ゴールドラインという有料道路を車で走ると
左側に登山者用の駐車場が見え、この場所が短時間で
磐梯山を往復できる八方台登山口です。

駐車場に車の置けるスペースはどこにもなく、それに車の行く手をはばむ
ように行列をなした登山者が道幅を埋めていました。

あわよくば八方台の駐車場に車を停め、なかば行きがかりに登るに
過ぎない磐梯山を簡単に終わらす目論見はくつがえりました。

裏磐梯コースはここから数分走って右側のダート道に向かい、裏磐梯
スキー場を目指します。

磐梯山の地図の持ち合わせもなく、スキー場の前に立って
標識らしきものが見当たらないのでガイドブックがなかったら
完全にお手上げでした。

ゲレンデを登り切る手前で下ってくる登山者に会い、コースに間違いが
ないか確認し、その先で最初の道標を見ました。

10分も歩くと風光明媚な銅沼という所ですが、ここから見上げる峰々は
いずれも一体をなしていた磐梯山であり、噴火によって
稜線を縦に真っ二つに切り裂いた岩肌の断面が恐ろしげに見えます。

裏磐梯コースは今が紅葉の真っ盛りですが、行き会う登山者は皆無でした。

中ノ湯の分岐で先ほどの八方台のコースと合わさり、俄然道中は賑やかに
なりますが、なかにはズックで登ってくる人さえいる始末です。

今日は登りよりも下りに時間がかかりました。

何某山岳会を組織している全国の支部が磐梯山で一堂に
会するそうですが、総勢400人ということでした。

それらの大方のハイカーはすでに下った様子ですが、私が山頂にたどり
着く間際に下る人も大勢いました。

そのため登山道の下りで前の登山者が立ち
止まったら、容易に動かないこともしばしばです。

さてお目当ての展望ですが、猪苗代湖方面はガスで視界は無いに
等しく、雲が多いながらもまだしも桧原湖方面だけは見えていました。

雲の上に黒い山容を覗かしていたのが、おそらく吾妻山でしょう。

安達太良山は山頂の突起が特徴ですが、雲の中だと思います。

登ることができるのかどうか心中模索している明日の飯豊山は、そのような
期待と不安をよそに空々しく雲に隠れ、その山容を見せていませんでした。

この続き飯豊山は明日かな??





以下は写真です




雲の上から覗かしているのは吾妻山でしょうね



噴火壁と記した最初の道標です。




この紅葉の樹林の中を歩きました。




弘法清水には二件の売店があり、表磐梯コースの分岐になります。





山頂はこの通りでした




火山壁



櫛ガ峰




余計ですが五色沼から見えた磐梯山です




平成18年10月14日(土)実施




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キレット小屋から樹林帯、砂礫の尾根と歩き、さらに
天空に向かってそそり立つ赤岳の岩峰を直下にして、この急登を
登るのかと思うと泣きたい気分に襲われました。

ここからキレットの核心部分ですが、このとっぱなのルンゼ状の岩棚
を登路に取るか、降路に取るかで難度はいちじるしく異なると思います。

八ヶ岳のキレット越えは今回で三度目ですが、初回はこのことを
きっかけにして山歩きにのめりこんだ、いわく因縁つきの山行です。

今回はその時と同じルートをたどりましたが、二年前は
反対側から歩いています。

さて、まぶたに残っている光景を思い出して大雑把に言えば、ルンゼ状の
この高いピークをこなせば赤岳までほぼ半分の行程を消化したのも同然です。

続いて短い鉄のハシゴを二つ登り、切れ落ちた岩峰
を鎖に身を託して右にトラバースします。

前回この間を身が細る思いで下りましたが、その時の印象と違い
恐怖心を感じませんでした。

仲間と連れ立っていることも割り引いていますが、やはり恐怖心を
呼び起こす高度差の感覚が、登りと下りで大いに異なるからでしょう。

赤岳の山頂を隠しているもう一つの岩峰を
越えれば、山頂小屋と共に赤岳がすぐそこに見られます。

山頂の賑わいはいつものことですが、誰も彼もがはしゃぐばかりに
騒ぎ立って見えるのは、今日の展望の素晴らしさです。

北アルプスの頂に雪を冠していることは登るがてら
に知っていましたが、山頂に立ってならばこその展望とはこの事です。

時間が経てば経つほど白銀の峰が日に照らされて輝きを増し、よけいに
その連なりが迫って見えるようになりました。

しばらくその峰の連なりを追うことに夢中になっていましたが、ひるがえって
富士山、南アルプス、中央アルプス、御岳、乗鞍岳の山々
に視線を移しても雲などに乗ずる余地を与えない
ほど、青空に立錐のごとくその峰を伸ばしていました。


※ ルンゼ
「岩壁に食い込む急な岩溝」を意味するドイツ語。
わかりやすく言うと、岩壁の中で沢状にえぐれた部分。
多くは水流がなく乾いており、周囲からの落石が集中する落石の巣である
ため、一部または大部分がガレになっていることもある。
「はてなダイアリーより」




以下は写真です




一つ目の岩峰に向かい、間もなくルンゼ状の岩棚を四つん這いになって登る。




赤岳の山頂の賑わい



蓼科山は無論のこと、北アルプスなどは総なめ



阿弥陀岳までは足を伸ばせなかった





雪の北アルプスをあきらめて八ヶ岳へ、そんなハイカーがたくさんいました……編笠山の登り




強風の吹き荒れる編笠山、夏が終わったと実感



今夜の青年小屋は100名以上の宿泊者、小屋のスタッフも驚いていました



薄明の富士山




キレットに向かう最初の難関、61段のハシゴ




長いキレット越えからようやく赤岳の山頂に接近



平成18年10月8日(日)~9日(月)実施




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二ツ箭山に登っている途中、どの場所かで太平洋の青い
海原が見えているはずですが、今日はすっきりしない曇り空で、その
方向の地と空の接しているあたりはぼんやりしていました。

時おりその雲の間から光りの束が地上に落ちて田園の稲穂が金色に
かがやき、すでに秋が訪れていることを感じますが、今
立った場所から見えている山肌はわずかに色づいているだけです。

同行している仲間が二ツ箭山はツツジ類が多いので紅葉の時期を迎えれば
色どりに富んだ山になると言っていました。

トイレも付随する登山者用の駐車場の北側に連ねている山なみに
鋭い岩峰が見えているのが男体山、女体山
ですが、まずは舗装道路を山に向かって歩きます。

道路の縁に立っていた二つの標識を見て通り過ぎ、さらに
奥の杉林の場所でも標識が立ち、ここで道は二手に分かれます。

ガイドブックのコピーを持ち歩いていますが、この通りに
目指せばここで左側に道を移すのを、二ツ箭山
の名前にしたがうままに右側を進みました。

このコースは尾根を辿って月山に通じており、岩混じりになってくる手前で
左側から上ってくる道に合わさりますが、その道が
〆張場へ下って沢へ導くコースです。

月山から男体山、女体山見え、その展望を前にして昼食にしました。

その後緩やかな登り下りを挟んで20分ほどで女体山の直下
に立ち、鎖を介して山頂に達しました。

山頂からこのあたり一帯のおもだつ山々が見られますが、ガイドブック
に記されている山で知っているのは大滝根山だけであり、どの山
であるか指し示すこともできませんでした。

男体山はすぐ目の前にあり、怖さ半分、面白さ半分といった
心境で、手に負えないようでしたらすぐ引き返すつもりでしたが、踏まれて
いる道の北側に足を運んだら卒然と岩壁が屹立していました。

鎖が垂直に垂れているのが見え、その岩場も足がかりが
いくらでもあり、鎖を掴むなりそのまま勢いにまかせて男体山に向かいました。

この間、仲間二人が女体山で待ち、さらに
その手前の分岐で仲間一人が待っているので、合流するべく
同じ鎖場を下って女体山へ引き返しました。

30メートルの垂直の鎖場とはこのことかと思っていたのですが、家に帰って
からガイドブックを仔細に読めば尾根伝いに進むと
急峻な鎖場があると書いています。

男体山に立ってその方向の尾根を見回しているのですが、道らしき
ものは見当たりませんでした。

それともこの鎖場を登るだけで精一杯の余り、引き返したほうが
無難だという気持ちが働いて視野が狭くなったのかも知れません。

果たして30メートルの鎖場をこなしているのかどうか、いまだに
そのように言える確信はありません。


以下は写真です



案内板のずっと奥に男体山、女体山の岩峰が見える




二ツ箭山の名前に導かれるままに右側に、左側は沢筋をたどる道


月山から見た男体山、女体山



女体山を下って男体山へ



男体山の30メートルの鎖場??



御神体滝




平成18年9月30日(土)実施


背戸峨廊は写真だけです






















平成18年10月1日(日)実施



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