ホットな山紀行
登ったばかりの山の感想を写真を主にしてつづった紀行文です
 




昨夜、念入りにバスの時刻表を調べたつもりでしたが、今倉山の登山口
になる道坂隋道行きのバスは、8月には運行していないことを
都留駅前で知りました。

タクシーの運転手に道坂隧道までの料金は3800円
くらいと聞き、すぐさま高すぎると尻込みしましたが、ここから歩いて
すぐに取り付ける山など、どこにも見当たりません。

奮発してタクシーに乗り込んだのですが、いつの間にかワイパーが雨をはじい
ており、弱り目にたたり目とはこのことだと、ここに来たことを呪いました。

そのような訳で今日は最初から合羽を着込んでの山歩きです。

それでも内心、じきに天気も良くなるだろうと高を
くくっていましたが、結局合羽を脱いだのは帰りの電車の中です。

負け惜しみではありませんが、夕べの天気予報をかえりみて、はなから
展望を期待していませんでしたが、しかし雨だけは予想外でした。

それでも12日ぶりの山ですので、山の中に入って歩くのが妙に新鮮でした。

今倉山は四度目になりますが、林相の美しい山で新緑、紅葉の
時期に歩くのがお薦めです。

今回寄りによって、なぜ真夏に登るのかといぶかしむ
向きもあるかもしれませんが、お目当てはレンゲショウマただひとつです。

レンゲショウマは森の妖精と呼ばれているのでしょうか。
その名にふさわしい花です。

他にも道端にいろいろな花を見ていますが、私の知っている花の名前
はせいぜいカイフウロを含めて二、三種類くらいなものでした。



写真はレンゲショウマだけです。
ガスに煙る暗い森の中で撮った写真で、何とかこれだけは見られると思います











平成18年8月27日(日)実施



コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )





三度目の正直と言いますが、今回始めて平ヶ岳の山容を
まのあたりに眺めることができました。

前二回は宿のマイクロバスで登山口まで送迎してもらうショットカット
の道を歩きましたが、いずれも雨に降られ、ただガスの中に
漂っていたという印象だけが残っています。

山頂と玉子石、姫池の位置関係がつかめず、天気の良い時を
見はからって、その辺を知りたいと思っていました。

それに花をあてこんで初夏の頃だったらなおさら良いと思っていたの
ですが、結局盛夏にずれこんでしまいました。

私がネット調べたかぎり、平ヶ岳の湿原に一面に咲いている
お花畑の写真を一枚も見たことがありません。

そのことも気になっていたのですが、今回は山頂には向かわずに玉子石
だけでお茶を濁しているので、もしかしたら山頂付近に
お花畑が広がっていたかもしれません。

ただ私が歩いた今回のコースに特に目ぼしい花はなかったと思います。

私の抱いているお花畑のイメージは、北アルプスや南アルプス
の百花繚乱たる華やかさが先入観にありますので、その辺で
大いに食い違っているかもしれません。

花の知識をたくさん持っている方はいろいろな花
をこの湿原に見つけることができるかもしれませんが、私はたとえ一色の
花でも良いのですが一面に咲いているのを見たいだけです。

さて今回は鷹ノ巣コースを歩きましたが、登山口から下台倉山まで急登が
続き、その後は台倉山まで緩やかでルンルン気分になる尾根道です。

ここから樹林の中に入って、湿っぽい道を歩きますが、特にぬかるむ
わけでもなく予備知識とは違っていると思いました。

ただし雨の降り続いた後は泥んこ道になることは避けられないでしょう。

ここを過ぎて池ノ岳の鞍部に立ち、直登気味の急坂が山頂の湿原まで続きます。

6時頃から歩きだして池ノ岳に着いたのが6時間後でした。

この時点で平ヶ岳の山頂もしくは玉子石のどちらかを省こうと思いました。

それにしゃがみこんでカメラを撮り、起き上がると眩暈がしました。

座った姿勢から急に立ち上がると眩暈を起こしたりしますが、それは
一時的ですぐ平常の状態に戻ります。
今回は違っていました。

気分も悪くなったので木道に腰をかけて昼食に有りついた
のですが、食欲がありません。
おにぎり一個食べるのが精一杯でした。

今日は太陽がカンカン照りで暑く、陽射しをもろに身体に受けた
ので、もしかしたらこれが熱中症のごくごく軽いものだったかもしれません。

ここから玉子石まで30分の距離ですが、身体がふらついているのを感じました。

下りも長く、このように何回も休憩を入れて歩いたのは始めて
のことだと思います。

駐車場のある登山口に着いたのが17時10分でしたが、歩き始めて
から11時間も経っていました。


ここから先は写真です。


駐車場の脇にある登山口から林道を15分ほど歩いて山の中に入る


尾瀬の燧ケ岳はすぐ近くに見える



ここまでは順調で前に歩いている登山者を追い越す勢い(下台倉山の登り)




台倉山までこのような稜線を歩く(陽射しを容赦なく受ける)




奥只見湖が見える




姫池の木道




平ヶ岳を前にして(姫池から)



玉子石(この場所から越後三山が見えるが、ちょうどガスが出てきた)




平成18年8月15日(火)実施



コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )





先週の五日から八日にかけては梅雨明け早々の四日間
でしたが、これがまたとない上天気でして、その内の一日、二日だけで
したら、おすそ分けをしたいほどでした。

梅雨明け直後のこの四日間は壷に嵌まったかのような好天でしたが、私の記憶
する限り、その時期に三日間以上も通して晴天だったのは、五年前
の穂高岳縦走以来のような気がします。

赤牛岳、読売新道は昨年の9月に引き続いて歩いた
ことになりますが、今回は高天原、雲ノ平が加わっているのがみそです。

その代わり昨年登った水晶岳が外れてしまいましたが、これは
この際取るに足りないことです。

それにしても雲ノ平、高天原を経由するか、しないかで、今回の山行
の印象はがらりと変わっていたと思います。

赤牛岳の登りの辛さ、読売新道の下りの長さ、そして
輪を掛けたような奥黒部ヒュッテから黒部ダムのハードな道は、息の根が
止まるほど過酷なものでした。

雲ノ平、高天原を前段にすえることによって、とにもかくにも、その辛い印象
をオブラートに包んで薄めてしまった感がします。

今になってそう思っているのですが、もし逆に雲ノ平、高天原を最終日にして
歩いていたら、このハードな道の辛さなど微塵も
残っていないのかも知れませんね。

もっとも読売新道を登りに取ることなど考えたくもありませんが。一日目は
薬師沢小屋までですが、この日の登山者の数は並大抵ではなく、さっそく
宿泊先の混雑さを想像して気がそぞろになっています。

折立登山口まで運んでもらったタクシーの運ちゃんも、余計なお節介と
ばかりに、どこからか仕入れきた風聞をもとに、布団一枚に付き何人と盛んに
吹聴していたのは、たった今でした。

それでも道々に咲いているニッコウキスゲ、チングルマ、あるいは青空に映える
遠くの山々を眺めては、そのことに我を忘れてしまい、その後
太郎平小屋へと着いたのですが、やっぱりというか小屋の前
の雑踏ぶりに憂色が襲ってきました。

昼食を摂りながら登山者の動きを追い、大雑把に薬師岳、黒部五郎岳、そして
雲ノ平と三通りの行方を考えられますが、どちらも一人二人と
その方向に向かって進むだけです。

我々も昼食後、雲ノ平に向かい、その間に前からすれ違う登山者は何人かいま
したが、後ろの足音はバッタリ途絶えたままです。

結局、薬師沢小屋では男性は一枚の布団に在り
つき、案外とここは穴場的な存在なのかもしれません。

二日目は薬師沢小屋の前の吊橋を渡り、すぐ雲ノ平の台地に向かっての
急登で汗をしぼられます。

何人も上から下ってくる登山者にすれ違いましたが、私も二年前の10月、ここ
を下ったことを思い出しました。

雲ノ平の台地はほとんど木道歩きですが、胸のすくような真っ直ぐな
道が青空に向かって延びていました。

チングルマ、ハクサンイチゲが咲き誇り、雲ノ平を両脇から挟みこむ
ようにして聳えている黒部五郎岳、水晶岳はこの台地から
見るかぎり双璧の感がありますね。

雲ノ平山荘のベンチでしばらく休憩を取り、その後小屋の前からいったん
下って二つ目の緩やかな尾根を乗り越し、そこからいっきに
樹木の中を下った所が高天原峠です。

ここから一時間も歩けば今日の宿、高天原山荘が建ち、その手前には今が満開
のニッコウキスゲ、ワタスゲが湿原をくまなく埋めていました。

高天原温泉の存在も認めますが、温泉に興味のない私などは、この湿原の
有るか無しかで高天原まで足を運んでみようかと定まる、スポット
のような所だと思います。

硫黄臭の強い温泉に入った後、小屋に戻ってベンチに腰をかけ、素晴らしい
ロケーションを目の前にしてさっそくビールを片手に仲間と乾杯しました。

高天原山荘は床が傾いていましたが、食事も美味しく、ここでも
布団一枚に付き一人が独占することができました。

三日目は温泉のあった沢をしばらく進み、その道も捜すのに何度か
戸惑いましたが、標識の立つ場所から沢を離れて
ロープを手がかりに尾根にのります。

赤牛岳に連なる尾根に向かえば向かうほど
道は急になりますが、何しろ今回の山行中、山という名の付く山に
登るのは今日が始めてです。

ようやくの思いで温泉沢ノ頭というピークに
着き、ここから2時間20分も歩けば赤牛岳です。

山頂に立った喜びを露に出して記念の写真を撮り、お目当ての
読売新道を下ります。

しばらく露岩に載せるつま先の位置を捜しあぐねて何度も地団太を
踏んで難儀しますが、その後は砂礫の尾根道に変わり、樹木の中に入ったら
一気呵成の下りになります。

奥黒部ヒュッテに着いたのが、赤牛岳から休憩を含めて5時間後でした。

奥黒部ヒュッテは釣り客の多い宿のようですが、思いがけずここにも風呂
があり、シャンプーを使って頭髪を洗うことができました。

四日目の予定は針ノ木谷発6時20分の船に
乗るつもりでしたが、早朝の暗い内に歩くのは危険と判断して、宿を
7時35分に出発しました。

左に川の流れているのを見ている間はハシゴの連続
でしたが、やがて黒部湖を高みから見下ろす水平の道に変わります。

船で対岸へ渡り、アップダウンのある湖岸の道を
歩いて、しばらく経つと長いハシゴを下りますが、このハシゴは
昨年のものではなく付け替えていました。

山中から黒部湖に注いでいる沢は橋を渡って横切りますが、その場所には
ヘリコプターで運搬された丸木の束が置いてあり、年がら年中
付け替えている様子です。

長い行程の続く中、目の前に“ロッジくろよん”が見えたときは、さすがに
感慨もひとしおであり、その長さに辟易するとともに、もう
二度とここを歩くこともあるまい、と自分の年齢を振り返って一抹の寂しさ
が不意にこみ上げてきました。


ここから先は写真です。


太郎平に向かう途中の三角点での賑わい



白山が見えた



石の敷き詰めた広い道が青空に向かって続く




太郎平小屋の周辺はこの通りの雑踏




喧噪を離れて




薬師沢小屋に向かうと登山者はチラホラになる




一日目の宿・薬師沢小屋




雲ノ平山荘から笠ヶ岳




雲ノ平山荘から黒部五郎岳




ニッコウキスゲに遊ぶ




高天原の湿原は雲上の庭園




高天原山荘のテラスで飲むビールの味は格別




ここから尾根に乗り上げ赤牛岳の稜線に向かう




厖大な量感の薬師岳




赤牛岳の登り




今夜の宿・奥黒部ヒュッテ




針ノ木谷船着場までの前半はハシゴ、橋の連続




長いハシゴが幾つも続く




平成18年8月5日(土)~8日(火)実施



コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )