妄想ジャンキー。202x

あたし好きなもんは好きだし、強引に諦める術も知らない

『あさが来た』19週、みかん畑にそそぐ柔らかい風、新しい道

2016-02-13 10:38:22 | 朝ドラ
『あさが来た』19週「みかんの季節」の長文ネタバレ感想まとめ、その1。

 

懐かしのあの一家。期待の大型新キャスト。



※全体的に眉山一家の話です。



関連リンク

『あさが来た』18週、千代と藍之助に映るもの、迷えるあさの行く先は。

『あさが来た』17週、雁助さんの生きる道、うめの生きる道。

『あさが来た』16週その2.道を照らす人、「おおきに五代さん」

『あさが来た』他、朝ドラ関係の記事はこちら。
朝ドラ感想記事のまとめ。

他民放ドラマ、大河、時代劇、NHKスペシャルはこちら。
少々真面目で結構ゲスいテレビっ子の備忘録まとめ。



■みかんの季節に再会


あさたちは有田へ到着。
はつたちの住む家へ向かいます。
道中で出会ったのは……

 「妹さん…?おおっ!新次郎さん!!」

懐かしの白蛇さんこと惣兵衛さんでした。
惣兵衛、いったい何週ぶりなんだろう。
五代さんの回想で出てきたけど、あれはノーカンとして……。

シンちゃんにテンション振り切るソウちゃんにお茶吹いたwww



■次男坊は食いしん坊



「そやろ!お母ちゃんの作ったサバのかき混ぜご飯はほんまおいしいさかい。いつもみんなで取り合いや!」
「あんたはまたつまみ食いして」


眉山家の次男坊は眉山養之助(西畑大悟さん)。
『ごちそうさん』でも次男・活男、通称かっちゃんを演じておられました。

このかっちゃんがね……
母・め以子(杏)の背中を見て育って、自分料理の勉強をしたいって言うんだけど。
当時は太平洋戦争の戦時下で、結局海軍に志願することになって。
大阪空襲で焼け出されため以子が、長男・泰介(菅田将暉)が出征するのを見送ったそのあと、戦死広報が届いて…

っていう泣けるエピソードの持ち主だもんで。
西畑さんの顔見るだけでいろいろこみあげてくるものがあり。
しかも、サバのかき混ぜ寿司をつまみ食いして食レポしてたりで、涙腺があかんと。




前にも一度言ったことがあった気はするんですが、惣兵衛さん本当に久しぶりだし、出ても言葉数自体は多くない。
でもこの存在感と安心感。
『あさが来た』に絶妙なスパイスとほんのり涙をくれる存在です。
(マジで柄本さん何者かと)


→参考:【白蛇さんから】 『あさが来た』前半まとめ2.惣兵衛、進化の記録 【スーパー黒蛇ゴッドへ】



■地方農業の現実


あさと新次郎を交えて盛り上がる夕食。
庄屋様がやってきました。
庄屋様、あさを見て「あの新聞記事の人!」ともちろん驚きます。



正念場を迎える和歌山みかん。
東京の問屋に安く買いたたかれて「有田のみかん作りは東京の小作人」と言われている現状。


平成も明治と変わらず、田舎と都会、農業の現実…
偶然とはいえリアルな時事問題をねじ込んでくる相変わらず神展開。



「徳川様の御威光が消えてしもたこの有田に、再び降り注いだ一筋の光よ思うちょります」

庄屋様のお言葉。
ゼロからみかん畑を開拓した惣兵衛もまたファーストペンギン。
眉山一家と有田の未来を照らす人だったんだ。


1週間前に「徳川様ってどなたさまー」と千代に言わせてましたっけ。
んで今週「徳川様の御威光にあやかった和歌山みかん」を描く。
またこう時代の流れをや都会と地方の格差を感じるというか。



■菊さんの頼み


 
「藍之助は有田の子やあれへん。山王寺屋の子だす」
「なぁ頼みます。あの子雇たって。あの子の願い叶えたげておくれやす」


はつに惣兵衛不在を確認してから、加野屋での藍之助の様子を尋ねる菊さんも菊さんなりに惣兵衛のことを慮ってる。
その上であさに頭下げて。
菊さんにとって、惣兵衛と山王寺屋っていう2軸は作品中ずっとブレてない。
それがいい。


菊さんがあさに頭下げて何かお願いするのは初めてなはず。
そもそもあさと菊が話す場面も、あったかなあ。
ほとんどなかった気がします。

あさを褒める第3者の女性も菊さんだったけど。
まさか菊さん土下座までするとはなあ……って。


 

 

 

だってこの菊さんですよ。
あの「びっくらぽん」な鬼畜いびりですよ。
「疫病神はおまえだ」の菊さんですよ。


そんなあのころの面影はどこへやら。
本当に月日が経って、新しい暮らしで菊さんも変わったんだなあと。



■はつの怒り


「お父ちゃん。なんで両替屋捨てたんだすか?」
「山王寺やはあの加野屋にかて負けへん店やったと聞きました。何も大阪捨ててお百姓にならんかて!」

と惣兵衛を責め立てる藍之助。
でも惣兵衛は何も言いません。



そこへはつが気づいてやってきて。
「なんてこと言いますのや!お父ちゃんがどないな気持ちで大阪を出て、この道選んだかと思うてますのや!」

それでも何も言わない惣兵衛。
藍之助もはつもお互いに口論をしているため、この惣兵衛を見ていません。
惣兵衛ってそういう描写が多いから、感情入りやすい。

そして藍之助が決定的な一言。

「そやけど僕は一生この山の中でみかんの世話だけして働くやなんて、そんなん真っ平ごめんや!」

 

ほんとにひっぱたきそうなはつさんに、惣兵衛がまた絶妙なタイミング、叩く直前でカットイン。
(柄本さんは宮崎さんの呼吸をはかってタイミングをとったらしいです)

あのとき惣兵衛がナイフ振り上げて、はつさんがカットインしたときとは逆なんですね。



激怒した母とそれを止めた父。
思わず肩をすくめる藍之助。


母はその場を去って、このあと藍之助と惣兵衛がどんな表情のやりとりをしたんでしょうか。
惣兵衛は藍之助にどんな言葉をかけたんでしょうか。



■みかんへの気持ち


  
「一年手ぇかけて作ったおみかんを、あんな事あったこんな事あった言いながら大事に大事に……」
「うち…この時期が一番の好きなんや。それを一番わかってほしい息子にわかってもらわれへんて…ほんまこんな悔しいことあれへん。ああ…悔しい」


惣兵衛不在のとき藍之助がいました。
その藍之助が、わかってくれない。
はつのゆっくりとした言葉がしみる。


はつさんが手をあげたのはそこだったんでしょう。
自分が悔しかった、自分が傷つけられた。
オーバーに言うなら、自分の人生を息子に否定された。

でもそれは事実だったもんだから、思わずビンタ……だったんだろうかな、と。
だとすれば、はつさんがここまで自分本位に動くのは初めてかもしれません。
幼少期から自分の感情を抑えていたはつ。
大泣きしたこともあったけれど、翌朝にはけろりと運命を受け入れたはつ。

同じことをかつて惣兵衛も言っていました。


はつは惣兵衛の言葉をなぞるように、あさに言います。

「この道があんたに負けてるやなんて、思われへんのだす」

序盤の許婚チェンジがなかったらあり得なかった言葉でしょう。
相撲のあさ、お箏のはつ。
そもそも争うものじゃない。
それぞれに良さがあるって、はつさんも惣兵衛もわかった上での「負けてない」なんじゃないかなと。

「自分の心は自分次第でどないにでもなるけど、人の心動かすのは…難しなぁ」

1週から自分の人生を受け入れて。
2週には流されるようにひとり大坂へ行き。
3週では蔵に閉じ込められ。
4週では井戸に落ち……
5週では時代の底に落ち…

 

 

 

そんなはつさんが、人の心動かそうってんだから相当なもんかと。



■柔らかい力は惣兵衛に。


惣兵衛は新次郎とみかん畑で。


「親の決めた通り歩かせることが一番やあれへんってことは分かってる」
「子どもらにとって何がええのか、まだわからんやろ」


百姓の仕事はきついものがある。
両替屋の仕事もきついものがある。
自分はどちらも知ってるから、前者の方がいいと選べた。
けれど子どもたちは両替屋の仕事を知らない。

何がいいのかなんてわからないし、それを決めるのは親じゃなくて子ども自身だ、と。

今のあさにはない、菊さんにもはつにもない『柔らかい力』。
作品中のキーワードでもあるのですが、これ、新次郎やよのさんにはあるけど、惣兵衛が一番持っていると感じます。
この惣兵衛の言葉で、あさはおじいちゃんや櫛田様の言葉を思い出してほしいもんだけども。

かといって、あさ・はつ・菊さんの気持ちがわからないわけでもない。

あさが千代にお商売を勉強してほしい気持ちも当然でしょう。
お菊さんが山王寺屋復活の夢を藍之助に託すのもまた当然。
はつがお家を守りたい自分の選んだ道を一番と思いたいのもわかる。

3人とものこれまで歩いてきた道があって今がある。

惣兵衛は、というと頑張ってきたけれど(超頑張った)けれど。
そこで「自分は」と我を張らない。
にらめっこをするでもなく、手を上げるでもなく、後ろからささやくでもなく。
頑なにならない『柔らかい力』は、惣兵衛が今一番持っているものでしょう。


 

とはいうものの、現実問題はこれ。
農業にはとにかく人手、特に『男手』がいる。

そういえば先週、藍之助の手が『忙しい時期に必要な男手』として、象徴的に映されたシーンがありました。
でもその手は果たしてみかんの収穫作業をしたいのか、算盤をはじきたいのか。
藍之助にとっては後者だったわけです。


ぼやきながらもどこか明るい表情で、みかんを投げる惣兵衛。
みかんが象徴してるのは子供たちかもしれません。
「大事に、大事に…」育てたおみかんは、その手から離れてしまう。
惣兵衛が新次郎にみかんを投げる。大事に育てた藍之助を新次郎に託す。
そんなことを象徴しているのかなと深読みしてしまいます。

しかしまあ、それはそれとして惣兵衛の笑顔はまわりを幸せにするんだなあと。
うんよかった、惣兵衛はんがこんな明るい表情してくれてよかった。


改めて考えることは、やはり眉山家が好き、ということ。
穏やかで明るい笑顔に満ちた家庭が出来上がるまで、彼らが歩いてきた時代の道を思うと涙が出てしまいます。
少し大げさかもしれませんが、ドラマの枠を超えたドキュメンタリーのようなものを見ている気分です。
「ああよかった、眉山家のみんなが元気でよかった」と心から安堵します。
もちろんこの先困難はまだまだ待っているのでしょうけれど、この暖かさは心にしみるものがあるなあと。




■笑わなかったあのころ。


場面は変わり。


「話がありますのやけど…」

あさに話しかけた惣兵衛。
明るいみかん畑での惣兵衛を映してから、この暗がりからあさたちに話しかけるシーン。
辛気臭い時代を嫌でも思い出します。

菊さんにその片鱗残ってることは明らかだったけど惣兵衛ももしかして…
そんなことを思うくらい演出の掌で踊らされてるなあと実感。


で、あさと惣兵衛が面と向かってと話すのは、実は2週以来。
まあ話すってもこれ。


「中身はあかんたれのままだな。おはつも辛気臭いおなごやな」

能面のような惣兵衛に不安を抱いて「笑ていただけませんか?」と頼んでたあさ。
(というより、はつの不安を聴いての行動)

ふと気づく。
そうか、4週の手拭い『わろてね』はここにもかかってたんか。



このとき「あかんたれはともかく辛気臭いのはおまえじゃ」とか言われてたり。
まさはるが乱入してたり。
井戸落ちでは惣兵衛株爆上げだったり。

懐かしいもんです。


惣兵衛の話は藍之助についてでした。
藍之助の働きぶりについてと尋ねると、「藍之助と一緒に働いていて楽しかった」とあさ。
あさは続けます。

「きっとこの有田でも藍之助はますます頼りになる子に育つやろて思います」
「そやけどもしうちに預けてくれはんのやったら…そんときはきっとええ商人になれるよう、きっちり教えさしてもらうつもりだす」



「えらい自信やなあ」

これを聞いて思わず笑った惣兵衛。
あさ、惣兵衛にも笑ってもらえてよかったね。
長い時間かかったけど、あさの目の前であさに笑顔見せてもらえてよかったね。



■惣兵衛もまたファーストペンギン


惣兵衛の笑顔にあさも思わず本音がこぼれて。

「商いのことくらいちょっとは胸張らしさしとくなはれ。その他のことは一つも自信あれへんのやさかい」

姉を常に尊敬しながら支えられながら、ファーストペンギンとして奮闘してきた生き様そのものなのかなって。



「羨ましいんだす、惣兵衛さんのことが」
「わしが羨ましいやて?」


あさが加野屋でそうだったように、惣兵衛もまた山王寺屋でファーストペンギンだった。
あさと惣兵衛の人生はどこか通じるものがあるのかもしれません。


あさが惣兵衛を羨む理由が「家族みんなで働き、家族みんなで食事をする」ということでした。
両替屋から銀行に変わって、家族っつー形が少し変わったことにあさも戸惑いを抱いてるのかも。
ずっとそこにいた家族であったはずの『強面のおじさん』がいないことを寂しく思ってるのかもわかりません。

わからない、わからないですが。
会話の端々に退場した雁助さんや五代さんの存在の大きさをを感じます。
そういえば、眉山家が一旦退場したときも「あさたちの会話の端々にはつや惣兵衛がいる」とよく思ったものです。




■時間が、自然が解決してくれたこと



「昔のお母ちゃんもこないやったんやろなあ」

あさの奮闘ぶりを聴き、思わず惣兵衛。
「殺してやりたい」ほど憎んでいて、はつが嫁いでからもっと憎んで、惣兵衛はそこから逃げて。
時間が経ったとはいえこう言えるのは、みかんや太陽、土も風もみんな惣兵衛を変えてきたんでしょう。

 

菊さんが鬼畜いびりから明るいBBAに変わったのはもちろんですが
惣兵衛自身も10年間の間に父として男として成長してったんだろうなあ、と。

眉山家の話はサブストーリーとして、あえて曖昧に描かれたからこそ、そう思えるのかも。



そんな惣兵衛へ「何に向かってったらいいのかわからない」と心の内を打ち明けるあさ。
サブとメインのストーリーがうまいこと絡む。
このときすぐに話が変わって、惣兵衛はあさに対してアドバイスはしてないけど、なにを言うんだろう。


リラックスしたのか、ダラーンと足をのばすあさですが。

 

京都で初めて惣兵衛と出会った1週、子あさは惣兵衛に思いっきり足を向けていたっけね。
あの頃のこと思い出してクスッとなりつつ、あれからあさと惣兵衛が過ごした時間やそれぞれのそばにいた人を思いつつ。



■許嫁チェンジの結末


あさたちを覗きながら「もし許婚チェンジがなければ」と話す菊さん栄達さん。
「山王寺屋は生き残っていたかも」と菊さんは言うけど、それ以前の問題で菊さんとあさが衝突していたはずと栄達さん。
それはそれで見てみたいけど、時代が変わり、それぞれがそれぞれの人生を歩んでいる今だからこそ言える冗談なんだなあと。

 
「やっぱりこれでよかったんだすな」
「うちの嫁ははつさん以外に考えられまへん」


はつにとってもうひとりお父ちゃんとしての栄達さん。
お母さんとしての菊さん。
この親にしてあの惣兵衛あり。


因縁の許婚チェンジの大元である菊さんが、あさを褒め、あさに頭を下げ、改めてはつのいる眉山家を認める。
許婚チェンジしてよかった、と。

とてもすっきりする。
気持ちいいくらいに伏線回収されてていく。




■惣兵衛の歩んだ道


眉山一家は家族会議を開きます。

 
「わしら…親の言いなりに生きようとした。自分にはその道しかあれへんて思てましたんや」

それは惣兵衛のせいじゃない。
そういう時代だった。
そこからはじまった物語をなぞるような惣兵衛の一連の台詞にジーンときた。

「それが…その道が思いも寄らぬことでのうなってしもて」
「ようよう道いうのは自分らで探して歩かなあかんいうことに気ぃついたんやな」


没落した商家、自分たちで切り拓いた道。
時代が変わったということをこう示すとは。

「放り出された世界言うのはお先真っ暗に思えたもんや。せやけど目ぇ凝らして見てみたら案外開かれてた」

谷町から逃げ出して。
親を殺しそうになって。
また逃げ出して。
それでも前を向いてきた。

惣兵衛の穏やかな語りが気持ちいい。

 

 

 


惣兵衛の歩んだ道。
紆余曲折も紆余曲折、とんでもない展開を迎えながらやっとここまできました。


そんな惣兵衛が語る言葉。
あさが今いる何をどうしたらいいのかわからない悩みに対する惣兵衛の答えなのかもしれません。
道を照らす人はもういない。
ならば自分で目を凝らして光を見つけろ、切り拓けって。




■はつの手があったから



「目が眩みそうになったけどなぁ、お母ちゃんがずーっと手ぇ握っててくれた」

あのとき井戸の底に落ちたはつを救い出したのは惣兵衛の手だった。
それからしばらくして時代の底に落ちた惣兵衛を救い出したのははつの手だったっけね。

 

手を握ることが象徴的に描かれてるんだなあと改めて。



■もうひとりの父



「お前らのお母ちゃんはな、手ぇはちっちゃいけど、力は強いんやで!」

惣兵衛がいないとき、畑仕事を一番近くで見てたのは栄達さんでした。
「お父ちゃんと呼んでもいい」と話し、今井の父に一礼した姿に泣いたあの回を思い出す。

 

そういえばこのとき栄達さん、ふゆに対しても「お父ちゃん」だったんですね。
ふゆのゲス父はだいぶ後になってわかったことだけど、改めて栄達さんGJ。



■夫婦の誇り



「そうやってお母ちゃんと選んだこの道や。今の暮らしに誇りを持ってる」

惣兵衛はほんとにいいお父ちゃんになったんだね。
おはつさん、「いい旦那さんじゃなくいいお父ちゃんになってください」って言ってたけどそのとおりだった。

この暮らしへの誇りを話す惣兵衛に思い出したのは、今井の実家からの援助を断られたときのはつの言葉。
このときから始まってたのかもなあ……

 




■親子の確執


 
「そやけどな、惣兵衛…」
「お母ちゃん、わしなあ!今親の言いなりやったこと反省してるゆう話してますのや」


そやけど、とカットインしてくる菊さん。
思えばこの親子、刀傷事件から確執は越えたと思いきや、言い争いにすらならないことの方が多かったものです。

 

何も言い返せなかった時もあった。
怒鳴り声をあげたときもあった。

でも今は違う。
一番大きいのは菊さんの肩ににかける栄達さんがいる。
菊さんの気持ちはわかる、おまえはもうわかってるはずだ、と。




■兄弟の頼み


 
「大阪に行かせてください!」
「日本一の商業の町で、僕の生まれた町できちんと働いてみたいんです」


大阪に行かしてほしいという藍之助。
その土下座の向こう側に、あさに土下座してた菊さんを見てるんだろうか。

自分のやってみたいことを見つけたと藍之助。
惣兵衛やはつが大阪で暮らして、自分たちの道を見つけてきたように、藍之助もずっと近くで見てたのかな。


「僕も頑張るで!今まで時々手ぇ抜いてたけどもっと頑張るよって。お兄ちゃん行かしたげて」

養之助も頭を下げます。
思い出すのは、はつが「あさにはうめをつけてあげて」と梨江ママに頼んだシーン。



姉から妹へ贈られた想いが、次の世代の弟から兄へ。
養之助の頼みに、はつは自分とあさが仲良く一緒に暮らしていた京都のあのころを思い出したのかもしれないなあと。

それにしても、藍之助役の森下大地さん。
声の野太い感じが新鮮でしたが、このあたりから結構はまったきたな、と思います。
惣兵衛とも新次郎とも違う。
サトシとも違うし、誰に近いかと考えたら五代さんや忠興パパ
何か大きなビジネスをやりとげそうな野太い声。




■行っといで


 
「はぁ…もう嫌や」

井戸を覗き込みながら同じ言葉を言っていたはつだけど、その心持ちはまるで違う。



現実問題いろいろあるけど、本当は嫌じゃないんだと思う。


「そない言われたらもう行くなやて言われへんやん」
「せやさかいまずは3年、大阪で働いてきなさい」


はつは港になると決めたんだなあって。
月曜に出てきた地図もまたしみる。



「行っといで」の笑顔、忠興パパの「さっさと行け」を思い出す。
はつはずっと今井の教えを、形は変えながらも中身は変えずにずっと守ってたんだなって。



■港になる



「千代にもうちの思いとは関わりのう好きな道選ばしたげなあきまへんなあ」

あさと新次郎がみかん畑を見下ろしてるのか何か象徴的。
まずは3年、みかんのように大切に、港になる。
そんな思いを姉や義兄から学んだかな。



■藍之助、旅立ち



「大きゅうなろうやなんて思わんかてええ。地に足つけてしっかり歩くことさえ出来たら、それでええんだす」

一足先に大阪に帰ったあさたち(途中で温泉寄り道してるけど)の後を追うように、藍之助も大阪へ。
いつか梨江ママに話した身に足りた生活、の言葉を思い出す。
はつさんらしい言葉だなあと。

しかし銀行に勤めに旅立つのにお財布忘れる藍之助がちょっと心配ではある。



■千代の友達


で、そのころ京都では。

 

千代がやっとルームメイト・田村宜と会話を交わしていました。
が、この宜ちゃんもなかなかの変わり者。
彼女が尊敬しているのは、あさだといって新聞記事をとりだすも。
(もちろん千代が朝の娘だとは気づいていない)
あさをそばで見ていた千代からすれば間違いだらけ。


「頭でっかちしてんと、次からはちゃんと自分がその目ぇで見たもの信じたほうがええのとちゃいますか」

報道にあることは事実ではないこともあり、ちょっと違ってることもある。
新聞にしろネットにしろ、どの媒体にしろ、ひとつの媒体にあることを鵜呑みにすんじゃねえよって話か。


しかし、宜ちゃん千代ちゃん。
千代は「お国の為の男性に従う淑女の徳」、
宜は「女子も大いに国家に尽くす人になる」って。

どっちもゴール地点が国家っていう時代背景に思わずハッとする。
この時代の教育って一歩間違えたらあかんことになりそうだけど、あさはどうするんだ。




まあ何はともあれ、千代に友達出来て良かったなって。



■日清戦争、はじまる

 

戦争といえば、養之助の兵隊問題がまだ解決していませんでした。


「そらごはんがようけ食べられるゆう兵隊さんに憧れるのも分かるけど一番大事なのは一家だすさかいな」

日清戦争は年齢的にまだだろうけど、問題は次の日露戦争……。
かっちゃんとしてでも戦死してるのに、もしこっちでも戦死なんてあったら辛いなあ。



■要注意人物


大阪ではとある事件が。
萬屋さんがまた加野屋にきていました。

 

うーんアル中の萬屋さん、怖い。
手の震えとか暴れ方とかこら怖い。

……あれ?
なんか最近のニュースでこの手の話は、白い粉のほうでいろいろ聞いたような気がする。
撮影時期からしてラサールさんのほうが先だけど……

こわっ、現実とのリンクこわっ。




■ブラックリストの4人


へぇさんが披露したのは、閻魔紙ならぬブラック顧客リスト。



上から、萬屋さん、次に山屋さん、工藤さん……

えっ山屋さん工藤さん?!

 

愛すべき萌えおっさんたちがなぜブラックリストに、と思ったら。

山屋さん→隠居後、退屈で居場所がなくて日がな一日銀行で榮三郎や弥七に話しかけている。
工藤さん→娘のサカエさん大好きで、毎日授業参観。


あー……うん、理由もかわいい。



■意識高いドM、再来


ブラックリスト4人目は、「水にふやけた若布さん」。
後に重要人物になる成澤泉氏でした。

でもこのときにそんなことわからないので、へぇさんにあしらわれるんですが。


「しかしこの成澤、生まれてこの方数々の困難に恵まれてしまったせいで、困難はあればあるほど奮起するたちとなっております。これで諦めたとは思わないで頂きたい」

いい言葉なんだけど、なんだこの漂う意識高いドM感はww

これだ、五代くん不在で足りなかったのこのトンチキ成分だ。

 

久々のシェークハンドww
成澤にたぎる五代感拭えないww


ふやけたわかめ妖精さん(無職)にたぎる期待。
きたこれ、シンちゃんとトモちゃんのハイブリッド・成澤くん。



「ワーオ」

五代くんといい成澤さんといい、なんで洋行帰りの人はみんなしてワオワオ何なの。犬なの。



■新次郎の言葉



「お母ちゃんかて、お姉さんのおはつさんみたいな道に憧れてるとこもありますのや。そやけど自分にはこの道しかあれへん思て、前向いて歩いてます」

はつとあさのこと見てる新次郎じゃないと言えない言葉だよなあ…
前半にはつさん一家や、惣兵衛に心のうちを打ち明けるあさを見ている新次郎の言葉、と思うと改めてぐっとくる。



■怪獣さんは健在


 
「何如」=「大丈夫ですか」
「奇人」=「けったいなお方だす」


と字幕芸のやりとりをしているうちに、成澤くんフラフラフラとあさに近づいてしまい……



投げられた!!!

(言わんこっちゃねえ)



■成澤泉という男


 
「女子の教育に関心はおありですか!」

女学校で教師をし、女子教育について学ぶため米国に留学したことを明かす成澤。
御一新以降、女子教育の場が増えて、明治8年には官営の女学校も設立されながら。
それでも足りていないものは何か、と。


「私は日本で初めて女子の大学校を作ろうと思っております!」

それでもあさは
「理想は素晴らしい。そやけどあんさんに出来ることとは思われしまへん」
とあしらってしまいます。

これも経営者という立場からしてみれば仕方のないことなのでしょう。
大学設立なんて途方もなくお金のいることのはず。
それがこのふやけたわかめの身なりの者が言っても……

と思いきや。

「女子の責任を重くして活発ならしめ、その快楽大きくし、日本婦人を鎖から解き放つべきだとは思わないのですか?」
「いいや!決して諦めますまい!」


忙しいと出がけのあさを捕まえて説得を続ける成澤。
思い出すのは炭坑に奮起するあさ。
諦めるもんか、諦めるものか、と。


そうして成澤はあさに女子教育に関する論文の原稿を託します。

いくら忙しくてもいくら身なりが明らかに資金不足でも。
こんな覚悟でこんな強い視線で渡された原稿、読めないわけはない。

あさは成澤の中に、かつての自分と、それからそれを支えてくれた人たちを見ているはず。

 

原稿はくちゃくちゃに。
何回も書き直したんでしょう。

こんな風に精魂込められた言葉。
あさ自身も幼い頃から向き合ってきた女性の教育。
いろんな女性の生き方に触れる中、新たな道を照らす言葉なんだろうな。




■波乱の次週、大河じゃないよ


 

ちょっと篤姫さん、こっちこっち。





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