妄想ジャンキー。202x

あたし好きなもんは好きだし、強引に諦める術も知らない

『あさが来た』18週、千代と藍之助に映るもの、迷えるあさの行く先は。

2016-02-06 16:22:45 | 朝ドラ
『あさが来た』18週「ようこそ!銀行へ」の長文ネタバレ感想まとめ、その2。

 
 
千代と藍之助問題がはらむテーマに色々と考えてしまいました。




関連リンク

『あさが来た』17週、雁助さんの生きる道、うめの生きる道。

『あさが来た』16週その2.道を照らす人、「おおきに五代さん」

『あさが来た』16週その1.雁助さんもまた「大阪の大恩人」、加野屋の「恩返し」

『あさが来た』他、朝ドラ関係の記事はこちら。
朝ドラ感想記事のまとめ。

他民放ドラマ、大河、時代劇、NHKスペシャルはこちら。
少々真面目で結構ゲスいテレビっ子の備忘録まとめ。



■ゆとりなお千代様




1891年、明治24年。
加野銀行は順調に成長していました。


が、千代はこんな感じに育っていました。
(あんたのじいちゃん、今日曜8時に徳川様の家臣やで)

この千代がまあ荒れる荒れる。

「表に立ってばかりでお家のことはおばあちゃんはうめに任せっぱなしでなあ」
と煽り、
「ずっと店の表に立って頑張ってくれたのはあさに違いあれへんのやさかい」
と新次郎がフォロー入れるも、


(最初に「格別なおなご」って持ち上げて表に立たせたの新次郎だから新次郎もすごいんだぞ)

「そないなこと言うても、うち御一新なんて知らんこっちゃし」
「徳川様てどなた様?……てなもんなんだす」


絶好調のゆとりちゃんでした。
こりゃ見事な世代の差。
でも前の時代のことなんて陸続きとは想像もつかないほど、「新しく変わった」ということなのでしょうか。

しかし…ここに雁助さんがいれば、五代さんがいれば、大旦那様がいれば、何と言ったかなあとと考えてしまうのです。

あさは見かねて、歴史の勉強の大切さを説明するも…

 
「お母ちゃんの話てほんま面白ないなあ!」

あさを天神髭の生えた校長先生に喩える始末(うまい)



■都市伝説レベルの新次郎


まあ千代がこんななので、あさも弱気。
それでもあさが恵まれているのは新次郎がいる点でしょう。


「どこで育て方間違えてしもたんやろか」
「間違えたいうのもちょっと違いますのやろけどなあ」


あさも千代も否定をしない新次郎のフォロー力、都市伝説レベル。

しかしまあ明治期に自分の部屋、自分のベッド、綺麗なお着物に髪飾り、ダイニングでの侍女付きの食事……
千代の恵まれた生活を溜息が出るほど描写したところに、あさへの反抗をのっけてるのが興味深い。

親子の対立と言えば、ふゆとふゆ父(14週)もそうだったんですが。
親子の確執をなかったことにしないスタンスのこの作品が、あさ千代バトルをどこに着地させるかが楽しみです。



そんな都市伝説、新次郎さん。
五代さんや雁助さんの志を受け継いだか、仕事もバリバリこなすようになってきました。
もとから才能はある方ですもんね。
その根源はコミュニケーションスキル。


「『へぇ!』言うたら威厳があるし」
「『へぇ~』言うたら親しみがあるし」
「『へぇへぇ』言うたら、何とはなしに相手いなすこともできるし」


「うん」「すん」に仲間入りした「へぇ」の活用方法の説明。
見習いたいそのスキル。



■はつさんに憧れる千代




後に東洋のマンチェスターと呼ばれるほどに発展していく大阪。
綿花を紡績会社に卸す商いをはじめたあさ。
綿花を輸入するかどうするか悩んではいるものの、もちろん千代はそんなこと知るわけもなく。

榮三郎が説得しようとするも、聞く耳持たず。
じゃあ、と新次郎。

 
「ほんなら千代はこれからどないなおなごはんになりたいんだす?」
「うちはおばあちゃんや、さちさんみたいなええお嫁さんになりたいんだす。あとはつおばさんみたいに…」


はつさんみたいな優しい人に憧れる千代。
いっぺん蔵に入ってみなさい。
そのあとは井戸に落ちてみなされ。
長屋暮らしも経験するとよかろう。

っていう鬼な発言はともかくとして。
はつさんだって人間です。
怒るときはめちゃくちゃ怒ります。
その優しくないおはつさん見たときになにを思うんだべなあ。



■立ち止まるあさ


 
「立派な女子の商人になりはりましたんやなあ」

そんなうめに
「もっと大きくしなければならない、現状に甘えていたら蹴落とされてしまう」
とあさ。

しかし
「いつまでも大きくなり続けないといけないのか」
といううめの疑問にふと我に返ったあさは


「これから何に向こて進んでいったらええものか」

あさの奮闘ぶりが描かれたわけだけど、ここであさはちょっと立ち止まる。
行き先を迷うあさに、改めて舞台から降りた人たちの存在の大きさを実感する。




■藍之助がやってきた。


ちょうどそのとき、新次郎が連れてきたのははつの長男・藍之助でした。
しかし明らかに訳アリの様子。
銀行で働かせてくれと頼む藍之助、でも眉山家のみかんはどうした?とあさ。

 
「子どもかて自分の道選ぶ権利があるのやありませんか?」

父の惣兵衛もまた「新しい道」を選んだと話す藍之助なんですが。
藍之助のお父ちゃん・惣兵衛がその新しい道を選ぶまでには、涙必至の紆余曲折がありました。。
傷ついたり涙したり黒くなったり泥まみれになったりモジャモジャになったり。
……と見てる側は知ってるから言いたいけど、惣兵衛は絶対言わないんでしょうね。

しかしまあこの藍之助の言葉。
藍之助の選べる進路の幅と、千代の選べる進路の幅は全く異なるもの。
ここにも序盤の姉妹対比がえげつなく子供世代にまで食い込んでくるなあ……




■進路


そんな藍之助問題も勃発する中、千代の卒業後の話が出てきました。
「進路」という言葉にわくわくするあさなのですが。



「進路、ねえ……」と思ってしまうの現代。
多分今は進路を選べ過ぎることや、そのひとつの分岐点の進路に人生を乗せすぎてしまってるからなのかもなあ。
このあとまた進路を選べなくなる時代がくる、と思うと辛いのがあるな。



■30年前の信用


 
「まずはうそをつかんことです」

「銀行に勤めるにあたって大切な心構えは?」と尋ねた藍之助に、
へえさんが答えたのは、『信用』でした。

へえさんが続けたのは、1868年、慶応4年の銀目手形廃止騒動の話。


「この町にはあの時のお金で何とか食いつなぐことのできた商人が少なからずおるみたいです」

30年前の混乱期に助けてくれた加野屋さんだからこそ、お金を預けてみようと思った町人が多かったとへえさんは語ります。

それにしても懐かしい。
この話の3週4週あたりって、あさvs新撰組や、五代さんと徘徊、はつさんの蔵回、井戸回の週。

「藍之助や千代が憧れたり反抗したりするのはいいけど、こういう時代だったんだよ」
と暗に思い出させてるみたいです。



ここであさの洋服を仕立てている後藤屋さんという奥さんが話題にあがるのですが。


この方、この人。

「年寄りやなあ子供に食べさすもん、もうのうなってしもたんや。あんた一体どないしてくれんのや」

あのとき店の表に立ったあさに、引き換えを決意させた奥さんでした。
こうやって物語の中の人の人生が繋がってるんですね。



■テケツいろいろ、コスプレいろいろ。


まだまだ続くよお千代問題。
「ぎょうさんの道に進むためのテケツを持つにはやっぱり高等女学校は出といたほうがええんだす」とあさ。

なるほど確かにそう。
一定の学歴があれは選べる職の幅が広がるのは当然。

この時代の女性の仕事はお嫁さんになってお家を守るか、家業を手伝うか、芸で身を立てるか、女中奉公か。
それぞれ、はつやよのさんさちさん、あさや櫛田様やカズさん、美和さん、うめやふゆ……選択肢4つだけでもいろんな生き方がある。
そこにさらに外に出るっていう選択肢を誰もが選べるようになると。
『選ばない進路』、というのもあるわけなんだよなあ。


うーん難しい。
と思ったら、久々のコスプレによる再現がはじまってました。

 

教師=花子(花子とアン)、女医=梅子(梅ちゃん先生)まではパッと浮かんだものの。
看護師は古参のえりぃだけしか出てこなくて。

でもよくよく考えたら波瑠ちゃん本人が救命病棟で看護師役やってたし、音楽家に至っては千秋先輩だなって気がついた。



■進むべき道



「それはお母ちゃんの夢だすやろ!」

道を自分で選んで進むこと、そらはなんと夢があること、と話すあさ。
対して下を向いて怒る千代が辛そうだったな……

そうなんだよ、それはあさの話。
千代の話はそれとはまた別だってこと。
私の将来をとらないで、自分のものにしないで、と。


「もう勘弁してほしいわ!」
「お母ちゃんはほんま分かってへん」


千代の反応が当時の14歳も今の14歳も当たり前だろうなあって思う。
みんなと同じでいたい、少数派になりたくないっていう千代の気持ち。
白岡家が元々が超裕福な家だから余計にそう思う節もあるのかもなあ。


千代のところへやってきた新次郎と藍之助。


「僕はその20人に一人になりたかったけどな」

藍之助のかける言葉は、その世代が抱える悩みってことのほかに、都会と地域の格差も孕んでる。
この一連の揉め事がこの先のあさのライフワークに繋がるわけだけど、今のあさは大事なことを忘れてる気がする。


いまのあさは全然柔らかくない。
新次郎にたしなめられても、自分が苦労した分だけ厳しく、可能性も広げたいと思う親心が勝る。
千代は千代で、あさに敵う言い分はない。
そんな千代に響くあさの言葉もない。

今の洋装・銀行のあさは、炭坑でピストルぶっ放したときみたいでかっこいい。
でも何か忘れてる気がします。
忠興パパの言葉も、忠政じいちゃんの言葉も、正吉さんの言葉も、五代さんの言葉も、雁助さんの言葉も。
何か忘れてる気がする。




当然あさもノ―ダメージだったわけがなく。
千代の進路問題に重なるのは自分の進むべき道。


「うちの船はこれからどこに行ったらええのやろか……?」

道を照らす人たちを失ったあさはどこへ進むべきか。
五代ロス、雁助ロスはドラマの中の方が深刻そうだ。




■新次郎、神対応その1



それにしてもこの一連の流れの中での新次郎の神対応


・嫁さんの頑張りをしっかり認める
・でも今ある成功は周りの助けがあったからだ、と考えさせる
・娘の考えも認める
・娘にとって参考になりそうな同世代の生き方を提示する





■女子行員のおいどを守る。


晴花亭にて。


「働くのが得手か不得手かいうのは男や女やというは関係あれへん。一人一人の問題やて思うんだす」

あさの話をほぼほぼそっちのけで、カメラ脇ぎりぎりに食い込んでくるへぇさんwww
画面にも話にも食い込んでくる。


そんなへえさんが見惚れてる美和さん…

 

美和さん、可愛いというより美しい。
おはつさんの老けメイクもなかなかのもんだが、美和さんは老けずにこのままでいてほしいもんだ。


で、場所を変えて女子行員を雇おう会議。


「男とかおなごとかいう隔てのう一人の人間として、その子の力生かしてあげたいんだす」
「この試みの責任は一切うちが責任追いますさかい。どうか…どうかやらしとくなはれ」


あさと五代さんとの男女の隔て、便宜上はなかったよね。
五代さんも「この子の力を生かすため」って思いだったか。

一切の責任は自分が負うから、と頼むあさに、炭坑をめぐるあさがよぎった。
嫁入り道具を売って用立てしたことや、坑夫たちの暮らしを支えるべく頑張りすぎてたこと。
「あのときの経験」はこんな風に活きるんだろうな。

榮三郎、へえさんが
「おなごは数を扱うのが苦手」
「これまで女子行員なんて聞いたことがない」
ごもっともな言葉で反対する中。

新次郎の反対理由はこれでした。


「よからぬ客においどでも触られたらどないするつもりやてなあ」

そっちかい、おいど好きだな。
(と言いたいがあながち間違ってはいない件)


「働く女子の大事なおいどは必ずうちが守ってみせます」

セクハラ客、セクハラ従業員は容赦なく投げられる決定。
それにしてもこれは説得力ある。

現実を受け入れ、それをきちんと提示しながらも、変えていく姿勢を見せてるのが頼もしい。
これがまた物語を動かすんだろうな。




■倍率25倍の採用試験


 

 

学科試験、実技試験、役員面接、ってことは最初の書類選考はないんですね。
「なんでうちを志望したか」って面接で聞かれて、スラスラ言えないのもアレだし。
即戦力宣言もちょっとアレだし。
ここで育てて欲しい宣言もちょっとアレだけど……まあいいか。



そうして決まった100分の4の女性。
彼女らを前にあさが話すのは…


「今この世はどっちか言うたら男はんが生きやすいようにできてます」
「このうちも何べんもようけ失敗してきたんだす」


ヒゲの奥さん、加野屋の四男坊と言われてきたあさ。

あの混乱を生き抜くには女が男になるくらいの勢いが必要だったんだろうなと。

失敗は許されない、といいつつ自分も失敗ばかりしてきたあさ。
転んだときに助けてくれたのは、あさを女性としてくくらない男衆だったんだよね。
あさ多分、そのことを冒頭の美和さんとのやりとりからわかってるはず。

「あなた方4人の進む道の後ろにはこれから働きたいて思てる女子たちが仰山いてます。
 あなた方はこれから外で働くおなごたちのファーストペンギンや。道を切り拓くんだす」


ファーストペンギンになりなさい、と。
五代さんの教えを伝えていく。


 

ツルさん、ハトさん、

 

スズさん、サカエさん。



■怒れるはつさん。


女子行員を採用したこと、千代はもちろん気に入りません。

 
「お父ちゃんまでお母ちゃんの味方して!」

ブーたれてる千代が年相応の子らしくてかわええ。
お父ちゃんが言いたいことが伝わってくれるといいけどねえ。

とそんな千代に声をかけたのは


「そないかわいらし格好して行くんやね」

怒れるおはつさん…!!

穏やかなはつさんが怒っているせいなんでしょう。
この言葉にとても違和感がありました。
はつさんがお着物のことにこうした形で言及するのは珍しい。
考えられるのは5つ。

1、純粋に褒めてる
2、女の子もいいなと思ってる
3、千代の姿に今井家時代を思い出してうらやましい
4、あさの娘はこんな立派な身なりでうらやましい
5、その着物、千代にはもったいなさすぎる。似合ってない。

1,2ならいいのですが……どれなんでしょうか。




■新次郎、神対応その2

 
「あさかてお母ちゃんにはかなわへんでも、あさなりに精一杯心込めて育ててきましたのや」

千代の京都暮らしを新次郎から説明うけるよのさんがまさに「おばあちゃん」の後ろ姿。
背中が円まってることも声の出し方も間の取り方も。
宮崎さんの老け方も見事だけど、よのさんかのさんの老け方がリアリティ追い求めとるなあと。

そんなよのさんが、母乳が出ないと苦悩してたあさを励ましたこと。
あさが千代の短冊に泣いたこと。
新次郎は全部感じ取ってるんだろうな。



そんな新次郎がまた神対応。

・母の母らしさを認める。
・それを娘に認識させる。
・嫁の嫁らしさも伝える。
・娘と嫁の様子を鑑みて、何が一番最良か説明する
・母の不安を解消する提案。
・自分の想いは最後に。

あの「だが働かぬ」がこんな立派な男になるとは。




■はつさん、藍之助に激おこ



「家出してきたんやったら家出してきたて初めから正直に言うてくれたらよかったのに」

このあと銀行の始業時刻が来てあさは席を外すのですが。

新次郎は柔らかく言うけどあさはもう怒ってる表情。
あさの怒り方は迫力持ってフィジカル的にも来そうだし、はつの怒り方は切々とメンタルに訴えるものが大きそう。

両者に同時に怒られたら辛いものがありそう。
あさちゃん席外して正解かも。

そんな藍之助の家出、背中を後押しした人がいました。


「あんたはほんまやったら大阪一の山王寺屋の跡取りやったんや」

菊さんの2面性、というか菊さんの中にはいつも山王寺屋がある。
どこで何しようとずっとずっと在り続ける山王寺屋が、菊さんのアイデンティティなんだろうな。


なんか藍之助がダークサイドに落ちかけてるような絵にも見えなくもないけど。

 

忙しい時期に男手が何してるの、ってはつさんの言葉。
「力仕事に男手がいて助かる/家の仕事に女手がいて助かる」って何気なく使ってる言葉だけど。
その手は本当にその仕事を望んでるか?
そんなこと本人にしかわからない。



「僕は一生あの山の中でみかんのために働くやなんて、そんなん真っ平ごめんや!」

藍之助問題のほうが選択肢自体が少ないからこうなっちゃう。
千代は選べる、藍之助は選べない。


藍之助と千代の問題には、『都会と地方』『教育格差』とか現代にも通じる問題が隠れてる。
それがまた縦の時間軸で立体的になるから、登場人物の苦しさがグンと迫ってくる。



「お母ちゃんには何言うてもかまへん。せやけど今の言葉、今度またお父ちゃんの前で言うたら、お母ちゃんあんたを許さしまへんで」

おはつさん、藍之助にビンタかと思った矢先の次にこの表情。
悔しいんだろう、悲しいんだろう。

おみかんへの道ははつと惣兵衛がそれこそ必死になって切り拓いてきた道。
おみかんに照らされた10年間だったんだと思う。
それを一番見てるはずの、一番わかってほしいはずの、長男にこんなこと言われたら悔しいわ。


……いや、長男だからこそ言うのかもなあ。


「山王寺屋はもうとうの昔におわってしもたんだす」

山王寺屋は死んだ。
あのときはつが菊の代わりに刺されて、終わった。
あのとき寺町で惣兵衛が落ちぶれて終わった。
そのことを知らない藍之助。
そのことを伝えられないはつ。


眉山家の再生は、そのときは見ていて「ああよかった」と思えるものでしたが。
今になって、俗な言い方をするなら「黒歴史」として残ってることが悲しい。



■うそをついた代償


 
「藍之助ちゃんがここにいてくれたら嬉しいな、て言いたいんやけどな。あささんが許しまへんやろなあ」

藍之助が嘘をついたこと。
あさと新次郎もうすうす勘付いていながらも、こうした形で露呈してしまったこと。
それは、正吉さんも渋沢栄一もへえさんも、みんなが大切にしていた「信用」を大きく裏切る行為だということ。

裏切り、と言ったら大げさかもしれませんが。
あさや新次郎からしてみれば、残念に思えたことなのかもしれません。

藍之助ははつに連れられて和歌山へ帰っていきます。
最後に藍之助がみたのは、銀行で働く女子行員たちでした。




■眉山家の表情筋


藍之助が帰ってきた和歌山の眉山家。

 
「ただいま帰りました」
「おかえり」


台詞はこれくらい。
それでも伝わってくる惣兵衛の気持ち。
「無事に帰ってきてよかった」
「山王寺屋を残せなくて申し訳ない」
「生き方を選ばせられなくて申し訳ない」

いろんな感情が含まれてるんだろう、惣兵衛の繊細な表情。

眉山さんちはやはり細かすぎる顔芸ならぬ顔演。
異論を認める予定はありません。



■あさの迷い


そのころ白岡家では。


「(女学校で勉強しているうちに)家の仕事手伝いたいてそない思うようになるかも分からへん。ちょっとも思わへんかも分からへん。」
「せやけどそれは千代が決めることだす。」


学んでるうちに自分のやりたいことが見えてくる、それは千代自身が見つける。
親はいつでも帰ってこれる港としてそこにいなきゃいけない、と話す新次郎。
自分自身がいい意味で働きたくないを貫いてたから、千代に寄れるんだろうな。


「あさはほんまじっとしてんのが苦手やさかいな」

新次郎が言っていたのを聞いて、雁助さんの「止まっとくことのでけへんお方やさかい」って言葉を思い出した。
今井家、正吉さん、さらには五代さんと雁助さんまで不在になった終盤。

みんなが新次郎に憑依しているみたいだ。


「今は…進み切って先が見えしまへん」

あさらしくない弱気。
大股で進んできたあさも不安なんでしょう。
あさが進めたのは「ちょっと待って」と声をかけてくれる人がいたから、そこで何度も振り返ることができたらから。

だからこそ「今こそ、新次郎」なんだろうな。
舞台を去った多くの人の想いを、様々な形で受け継いだ新次郎。
今度はあさの羅針盤・道を照らす人になるんだるなあ。

(となると、いずれ来るであろう新次郎との別れを考えただけでああああああ)




■千代とよのさん。


道に迷っているのはあさだけではなく千代も。
千代にはよのさんがついていました。
遊びがてらに京都に行って、その女学校を見学してこよう、と千代にもちかけます。

 
「まあこのかわいらしお口はついお母ちゃんのこととなると、いけず言うように出来てますのやなあ~」

あさも千代も否定せず、ベターな方法を選んで、良好な関係を気づいていく姿が素敵。
よのさんは、時代は違いながらも、母に反抗してた思春期を過ごしていたのかもしれない。


土方さんのからくり人形に「そら興味持つの難しいわ」ってお千代、それはその通りだww

明治期の教育で新選組をどう教えていたかはわからないのですが……
「あんたのお母ちゃんな、あの新選組の土方さんにも怒鳴ってたんやで」って話してたら、なんか微笑ましい。

「お母ちゃんとしてはほんま不器用なお人だすわ」と話すよのさんの温かさ。
「不器用」って言葉を使うこともだし、13週で「欲張り」って使ったことも。

あのとき涙ながらに幼い千代を育てていたあさを決して否定はしないんだなあと。

美和さんを妾に迎えようとしていたり、ふゆを妾にと狙っていたり、藍之助をあわよくば、と狙っていたりしたナチュラルいけずなよのさんはどこへ……
そんなことを思ったけれど、あのとき正吉さんを見送った時に「可愛いナチュラルいけずな大奥様」も旅立ったのかなあと。



■酒臭いめんどくさい客。


予告で登場していたラサール石井さん、出てきました。
しかもめんどくさい感じで。



お茶を運んできたサカエさんのおいどをガン見。
なんか酒臭くて担保なしで金を貸してくれとせがむ。
しかも逆ギレして帰ってく。

めんどくせえ……

 
「以前は、先代がえらいお世話になったそうで」
「それにそない熱なってはりましたらなぁ、お金の話なんてでけしまへん。今日は帰っとくれやす。」


そんなめんどくさい萬屋さんに、加野屋の面々は

・榮三郎「以前な?以前だからな?」
・新次郎「おいど見てんじゃねえよ」
・あさ「さ っ さ と 帰 れ 」


結果、押し出しであさちゃんの勝ちなのですが。
はて、この萬屋さん。
銀行の厳しさを強調するためだけの登場ではないでしょう。
だとしたら今後どうストーリーに絡んでくるのやら。

もし三宅裕司さんとラサール石井さんを並べて、
「どっちかが銀行の神様で、どっちかが酒臭いめんどくさい客」
でスタッフがうーんうーんと悩んだんだとしたら、目頭が熱くなってくる……



■京都へ




亀助さんがふゆに匂い袋を渡していたのと同じように、
ちょうど先週ににらめっこ対決を雁助さんから受け継いだ千代がうめに匂い袋を渡す。

いつかうめの口から千代へ、大番頭・雁助さんのこと、話してあげてほしいな。


「そやけどお父ちゃん、うち京都の町は思てたより気に入りましたわ」

京都に魅力を感じた千代の話を聞いてるこの白岡親子よかった。
いろんな女性だけでなく、いろんな男性、いろんな家族、いろんな子育てを見せてくれる。

子育て問題、反抗期問題の背景に、今まで描いてきた(あさが出会ってきた)『いろんな人たち』の片鱗を感じる週でした。
きっとこれがまた『教育』に大きく関わってくるんだろうなあ。








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