石原裕次郎の貴重なアニメ出演作『わが青春のアルカディア』
(C)松本零士・東急エージェンシー・東映
1月8日(日)19時よりBS12トゥエルビ〈日曜アニメ劇場〉にて、1982年に劇場公開された映画『わが青春のアルカディア』が放送される。 SF漫画の巨匠・松本零士が生み出したキャラクターの中でも屈指の人気を誇るキャプテンハーロックの “秘密” が明らかになる本作は、昭和の名優・石原裕次郎が生涯で唯一出演したアニメ作品としても歴史に残る一作だ。 ハーロックの勇姿にしびれる!『わが青春のアルカディア』場面カットを見る(写真7点) 宇宙戦艦アルカディア号を駆り、全宇宙を股に掛けて “俺の旗” の下に自由に生きる宇宙海賊キャプテンハーロックは、松本零士が描いた数多くの作品でその勇姿を披露し、今なお多くのファンに愛され続けるキャラクター。
1977年のアニメ『宇宙海賊キャプテンハーロック』では謎の侵略者・マゾーンから地球を守るために戦い、1979年の劇場版『銀河鉄道999』では主人公・星野鉄郎の窮地を救い、その成長を見守った。 己の信念に従って生きる姿で松本零士が描き出すロマンを体現しており、『999』に登場するメーテルと並んで “松本零士ワールド” を象徴する存在だといえる。 『さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅』に続く松本零士の劇場アニメ作品として公開された『わが青春のアルカディア』は、まだ宇宙海賊になっていない、愛と正義に燃えていた若き日のハーロックの物語。
侵略者・イルミダスとの戦いに敗れたハーロックが、失意の中で帰還した地球で経験する出来事――イルミダス星人から受ける屈辱、同じ立場にある人々との交流、盟友・トチローとの出会い、そして恋人との悲しい別離。 キャプテンハーロックの “エピソード・ゼロ” にして、ハーロックの物語の集大成である本作で、彼の知られざる過去や秘密が明らかになるのが大きな注目点だ。 盟友・トチローとどのように出会ったのか? 片目になった理由は? 黒いマントは誰にもらったのか? なぜ宇宙海賊になったのか? そしてハーロックが生涯でただひとり愛した恋人の姿とは……。 松本作品の魅力であるドラマティックな展開と魅力的なキャラクター、そしてスケールの大きなメカアクションを通して、ハーロックという男の素顔が描き出されていく。 さらに公開当時に大きな話題となったのが、石原裕次郎の特別出演だ。
『太陽の季節』『嵐を呼ぶ男』『錆びたナイフ』などの名作映画、さらにTVドラマ『太陽にほえろ!』『西部警察』など数多くの作品で活躍し、昭和を代表する大スターとして愛された石原だが、アニメ作品への出演は本作が唯一の機会だった。 石原が演じたのは、ハーロックの遠い先祖である航空冒険家ファントム・F・ハーロックI世。愛機・アルカディア号(複葉機)で〈スタンレーの魔女〉と呼ばれるスタンレー山脈越えに挑むその言葉は、本作のみならずキャプテンハーロックという存在そのものの根幹を支える重みを湛えている。 石原の重厚な声と演技で表現されたそのハーロックの〈魂〉は、時代を超えて今なお多くの人の胸に響くはずだ。