『孤独のグルメ』名ゼリフ「俺はまるで人間火力発電所だ」誕生の裏話
(日刊SPA!)
食マンガの金字塔として長く愛され続け、ドラマシリーズも人気の『孤独のグルメ』。その名シーンを、主人公・井之頭五郎の自由気ままで、時に奥深い「独り飯名ゼリフ」ともに振り返り、その誕生秘話を原作者の久住昌之氏に語ってもらった。 ⇒名ゼリフ「このワザとらしいメロン味!」
名ゼリフ「うおォン 俺はまるで人間火力発電所だ」
●1巻・第8話「京浜工業地帯を経て川崎セメント通りの焼き肉」より 「もぐもぐ」「むしゃむしゃ」という擬音に「俺はまるで人間火力発電所だ」というインパクトある(そしてよく考えるとバカみたいな)一言! 川崎の焼き肉屋での一コマだ。 「京浜工業地帯があって、焼き肉屋があって、近くに色街もある。エネルギーに溢れたすごい街だなという気持ちが詰まったセリフですね。このセリフは、谷口さんの絵を見てから変更したんです。五郎ってよく見ると結構変な顔をしてるんだけど、そこがまた面白いんですよね」
名ゼリフ「マズくない! けっしてマズくないぞ!!」
●1巻・第10話「東京都杉並区西荻窪のおまかせ定食」より 「ちょっとこういう店は苦手だけど」と、空腹に負けて五郎が入ったのは、西荻窪にある自然食のレストラン。 「今で言うと“意識の高い”店という感じなんだろうけど、そうやって一言で冷笑して終わらせちゃうのはもったいないですよね。五郎も最初は苦手意識丸出しで、『道端の草を食っているようだが』とかヒドいこと言ってるんだけど、最後には『けっしてマズくないぞ!!』『くやしいけどうまい』って。勝手だなあ(笑)」
名ゼリフ「このワザとらしいメロン味!」
●1巻・第11話「東京都練馬区石神井公園のカレー丼とおでん」より 懐かしい佇まいと「ワザとらしい」味わいの炭酸飲料「チェリオ」は、久住さんにとって思い出の味。 「小学生のころ、近所の映画館にしか売ってなくて、映画に行くと必ず飲んでいました。だから、石神井公園に行ったときに発見して、懐かしくて買ってしまった。五郎の顔もいいですよね。炭酸を一本飲むだけでも人っていろんな表情をしている。谷口さんがそういう細部まで考えて描いていることがわかるコマです」 【マンガ家・音楽家 久住昌之】 ’58年生まれ。『孤独のグルメ』のほか、『花のズボラ飯』(作画・水沢悦子)、『食の軍師』(泉昌之名義、作画・和泉晴紀)など代表作多数 <取材・文/週刊SPA!編集部 マンガ彩色/廣木陽一郎> ―[『孤独のグルメ』名ゼリフ傑作10選]―