なぜ米国はウクライナに軍を派遣しないのか?
米国とロシアが直接交戦するシナリオはあるのか?
ウクライナはポーランドやスロバキア、ハンガリー、ルーマニアといったNATO加盟国と国境を接している。ロシアがそのどれか1カ国を脅かした場合、米国はNATO条約第5条に基づき、仏独英などのNATO30カ国と共同で対応をする必要が出てくる。 NATO条約第5条では、いずれか1加盟国を守るために同盟全体のリソースを使用できると保証している。第5条が発動された最初にして唯一の事例は2001年9月11日の米同時多発テロ後で、その結果、NATOの同盟国がアフガニスタン侵攻に加わることになった。
米軍はウクライナ上空での飛行禁止区域設定に協力するか?
トーマスグリーンフィールド氏は27日、ウクライナ上空での飛行禁止区域の設定に米国のパイロットを投入することはないと語った。 同氏は米軍のウクライナ派遣を控えるバイデン政権の姿勢について、「我々は米軍を上空に投入する考えもないが、ウクライナに自衛の能力を与えるための協力はする」としている。 一部のウクライナ当局者はNATO諸国にウクライナ上空の「閉鎖」を求めているが、飛行禁止区域を設定すれば米国がロシア軍と直接関与することになり、それはホワイトハウスにとって明らかに望ましくない事態だ。
米国は他にどのような方法でウクライナを支援しているのか?
ブリンケン国務長官は26日、ウクライナへの3億5000万ドル(約400億円)規模の新たな軍事支援を承認した。 ブリンケン氏の声明では「ウクライナが勇気と誇りをもってロシアの激しい一方的な攻撃に立ち向かっている今日、私は大統領からの委任に従い、ウクライナ防衛の即時支援に充てる最大3億5000万ドル規模の前例のない第3回大統領拠出を承認した」としている。 政権当局者によると、これ以前にも6000万ドルと2億5000万ドルの拠出が行われており、ここ1年間での総額は10億ドルを超えるという。 このほかブリンケン氏は26日、ロシア侵攻の被害者を支援するため、5400万ドル近い人道支援をウクライナに送るとも発表した。
米国はどのような方法でロシアに罰を与えているのか?
一言で言えば制裁だ。 米国などの西側諸国はロシアの銀行、航空宇宙、ITセクターを対象に、数回にわたる制裁を科した。以下のような複数の産業にまたがる措置を実施している。 ・大手銀行に対する資産凍結・重要な鉱業、輸送、物流分野の企業に対する債務や株式の制限・ロシアの主要な軍事、産業セクターによる重要技術へのアクセスを遮断する大規模な試み 25日には米国や欧州連合(EU)、英国、カナダが、ロシアのプーチン大統領やラブロフ外相に直接制裁を科すと発表した。 また米国と欧州委員会、フランス、ドイツ、英国、カナダは26日、世界の金融機関を結ぶ高セキュリティーネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT=スイフト)」からロシアの一部の銀行を排除するとも発表した。 「制裁や封鎖、経済的影響の行使、プーチン氏の行動に対抗する連合の構築を行うとともに、ウクライナに武器その他の支援を供与することで、事態の激化や意図せぬ世界的な影響を防げるものと期待している」(ハートリング氏)
世論の動向は?
ロシアの侵攻前に行われた世論調査によると、米国民はロシアとウクライナの紛争に米国が介入することに慎重姿勢を示している。 AP通信と全国世論調査センター(NORC)の調査では、ロシアとウクライナの情勢で米国が大きな役割を果たすべきと答えた米国人はわずか26%。小さな役割を果たすべきと答えたのは約半分の52%、関与すべきではないと答えたのは20%だった。 民主党支持者の32%、共和党支持者の22%は米国が大きな役割を果たすことを望むと回答した。米国は関与すべきではないとした人の割合は無党派層で最も多い32%に上り、共和党支持者では22%、民主党支持者では14%だった。