ジョンソン氏、「ロシアは1945年以降最大の戦争を計画」 BBCインタビュー
2/21(月) 12:44配信
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ジョンソン氏、「ロシアは1945年以降最大の戦争を計画」 BBCインタビュー
イギリスのボリス・ジョンソン首相は20日放送のBBCのインタビューで、ロシアが「1945年以降で最大の戦争」を計画していることを、証拠が指し示していると述べた。 ジョンソン氏はBBCのソフィー・レイワース記者に対し、「あらゆることが、その計画はある意味すでに始まっていることを示している」と話した。 また、ロシアがウクライナの首都キーウ(キエフ)を取り囲むように侵攻を開始する考えをもっていることを示す情報があると説明。 「それに伴う純粋な人命コストを皆が理解しなくてはならない」と述べた。 ジョンソン氏は、ドイツ・ミュンヘンで毎年開かれている、各国首脳らによる安全保障会議に参加しており、同地でインタビューに応じた。
■米情報について説明 ロシアがウクライナ国境付近に集結させている軍部隊は、米政府の最新の推計で16万9000~19万人規模とされる。これはロシア、ベラルーシ、ウクライナ東部の反政府勢力を合わせた人数だ。 ジョンソン氏はインタビューで、ロシアによるウクライナ侵攻が迫っていると考えているかとの質問に、「証拠はそれを指し示している。そのことを美化はできない」と答えた。 同氏はまた、アメリカのジョー・バイデン大統領から西側首脳らに情報提供があったと説明。ロシア軍がウクライナに東部ドンバスから入り込むだけでなく、ベラルーシやキーウを囲む地域からも進入することも計画しているとの内容だったとした。 その上で、「私たちが目にしている計画は、単純にその規模から、1945年以降でヨーロッパ最大の戦争だと言わざるを得ない」と述べた。 そして、ウクライナ人の命が失われる可能性に加え、「ロシアの若者たち」の命についても、皆が考える必要があると付け加えた。
■ポンドとドルによる取引停止も ジョンソン氏はまた、いかなる衝突も「血が流れ長引く」恐れがあると警告した。 しかし、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「このことを非論理的に考えている」可能性があり、「大惨事を予測」していないと主張。「ロシアにとって大惨事になると分からせることが、私たちには非常に大事だ」と主張した。 ロシアに対するイギリスとアメリカの制裁については、これまで言われていた以上に厳しいものになるだろうとした。ロシア企業に「英ポンドや米ドルでの通商」をできないようにすることもあり得るとし、「非常に大きな打撃を与える」だろうと述べた。 ジョンソン氏はさらに、「(ロシアがクリミアを併合した)2014年から学んだのは、ウラジーミル・プーチンに責任逃れをさせてはいけないということだ」と話した。
■NATOは「強くなる」 北大西洋条約機構(NATO)については、ウクライナへの侵攻があれば、弱まるのではなく逆に強くなるだろうとの考えを表明。西側諸国は対抗勢力を、「力は正義という誤った結論」に至らせてはならないと述べた。 ジョンソン氏は、「(プーチン氏が)今回のことでNATOが弱くなると考えているなら、完全に間違っている」、「彼はより強いNATOと向き合うことになる」と話した。 ウクライナはNATOにも欧州連合(EU)にも加盟していない。だが、どちらとも緊密な関係を保っている。 ロシアは自国の安全保障が脅かされるとして、ウクライナのNATO加盟は承認されるべきではないと訴えている。 西側諸国はロシアについて、ウクライナ国境付近で危機をでっち上げようとしていると非難。ロシア軍がいつでもウクライナに侵攻できる準備を整えているとしている。 ロシアはこうした見方は間違いだと主張している。大規模な部隊は軍事演習のために集結したものだとしている。
■仏大統領と意見一致 ジョンソン氏は19日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談。安全保障会議では各国首脳に向かい、ロシアによるウクライナ侵攻があれば「世界中に影響が広だる」だろうと演説した。 20日にはフランスのエマニュエル・マクロン大統領と電話で協議。今後1週間が「外交にとって極めて重要」になるだろうとの意見で一致した。 英官邸報道官によると、両首脳は「それぞれの外交努力」について最新情報を交換した。マクロン氏は、同日あったプーチン氏との電話協議についても話したという。 報道官は、「プーチン大統領がマクロン大統領と協議したのは、まだ外交解決に向かう気持ちがあることを示すものとして歓迎すべきだと(ジョンソン)首相は話した」と述べた。 報道官によると、ジョンソン氏はいかなる協議でもウクライナ国民の「声が中心にあるべきだ」と主張。マクロン氏とは、「プーチン大統領が現在の脅威を低下させ、ウクライナ国境から部隊を撤収させることが必要だと共に強調した」という。
■イギリス国内では イギリスの最大野党・労働党は、英政府とNATOへの強い支持を表明した。影の保健相ウェス・ストリーティング氏は英スカイ・ニュースに、「党派に関係なく、イギリスの決意を疑うべきではない。NATOの決意も同盟国は疑うべきではない」と述べた。 一方で同氏は、金融街シティーが「ロシアの泥棒政治家やマネーロンダリング」にとっての「中心地」になるのを防ぐための対策強化を政府に求めた。 プリティ・パテル内相は英日曜紙サンデー・テレグラフへの寄稿で、ウクライナ危機によってイギリスにおけるサイバー攻撃のリスクが高まる恐れがあると、警戒を呼びかけた。 パテル氏によると、過去のロシアのサイバー攻撃では、イギリスのメディア、通信、エネルギーインフラが対象になった。今後数カ月間に同様の攻撃があり得ると、政府はみている。 国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)トップのリンディ・キャメロン氏は同紙で、「ウクライナのデジタルインフラを狙った攻撃は、イギリスに影響が及ぶかもしれない」とした。 同氏によると、2017年にロシア軍がウクライナのインフラ攻撃に使ったマルウェア(悪意あるプログラム)は、「手に負えなくなり、イギリスを含む多くの国に影響を及ぼした」という。