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和貴の『 以 和 為 貴 』

【再投稿】ウサギに変わった嫦娥

明日13日は、 "中秋の名月" ということもあり、それにちなんで、3年前に綴った記事を紹介させていただきます。





嫦 娥

雲母の 屏風
(へいふう) 燭影(しょくえい) 深く

長河 漸(ようや)く 落ちて 暁星(ぎょうせい) 沈む

嫦娥(じょうが)は 応(まさ)に 悔ゆべし 霊薬を 偸(ぬす)みしことを

碧海 青天 夜夜の心





この詩は、唐代末期の詩人・李商隠が、古代支那の『嫦娥奔月』という、伝説に登場する嫦娥(じょうが)の夫・羿(げい)の想いを綴った詩である。


その伝説とは、天帝には十人の息子たちがいたのだが、その息子たちが太陽の掟〔交代で1日に1人ずつ地上を照らす役目〕を破り、暴虐無人な振る舞いで地上を暗雲で覆いかぶらせ、多くの民や動植物が苦しめられることとなった。そのことを知った天帝は、息子たちを戒めるために、弓の達人である羿(げい)を地上へと遣すことに決めた。


天帝から命を受けた羿(げい)は、妻である嫦娥(じょうが)とともに地上に降り立ち、十人の息子のうち、一人だけを助け、残りの九人の息子たちを殺し、そして再び、地上に平安楽土の世が訪れた。


しかし、九人の息子を殺されてしまった天帝は、羿(げい)と嫦娥(じょうが)を地上へと追放し、神の存在から人間の存在に降格させてしまうのだった。


地上へと追放され、通常の人間の暮らしを余儀なくされた二人は、歳を重ねていくごとに、老いていくわが身を嘆き悲しむのだった。


そこで羿(げい)は、西方にある崑崙(こんろん)山に住むといわれる西王母に助けを求めた。西王母は羿を不憫に思い、ひとことだけを添えて不老不死の霊薬を与えた。そのひとこととは、「夫婦ふたりで霊薬を飲めば不老不死となるが、ひとりだけで霊薬を飲み干せば神となる。しかし霊薬は、今回与えたもので終いである」と。


ところが嫦娥(じょうが)は、羿(げい)が持ち帰った霊薬を盗み出し、ひとりで飲んで月へ逃げようとするのだが、その際、有黄という人物に占わせ、その可否を問うてみた。すると有黄は「吉なり。例え天が暗黒の世をもたらそうとも、なにも恐れることはなく、やがてはこのうえない繁栄がもたらされることになるだろう」と答えるのだった。


それを聞いた嫦娥(じょうが)は安堵し、遂には霊薬を飲み干しひとり神となり、月に逃げる覚悟を決めた。そして月に逃げた嫦娥ではあったが、羿(げい)を裏切った罪でヒキガエルの姿に変わってしまうのだった。〔おわり〕




李商隠が遺した詩には、天帝に裏切られ、妻である嫦娥(じょうが)にまで裏切られた羿(げい)を哀れんでのものと思われるのだが、そこには恨みの心もなく、裏切られてなお、妻を愛する羿の気持ちというものも込められている。


嫦娥(じょうが)は 応(まさ)に 悔ゆべし 霊薬を 偸(ぬす)みしことを

碧海 青天 夜夜の心


そして最期は、「ヒキガエルではあまりに可哀想だ、せめてウサギの姿に  」という羿の想いが叶い、嫦娥はウサギへと変わったのだった。







古代支那には、こんな伝説があったんですね(●´ω`●)




〔  私がカラオケでよく歌ってる曲のひとつ & 好きな曲 (^^♪  〕 



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