元上司執筆
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文字や線画等をインクジェットで出すと太い方に転び、印刷は細い方に転びます。
これはインクが紙に付く仕組みが物理的にまったく異なるからです。
プリンター出力でもインクジェットとレーザーではまた異なるし、印刷でもオフセットや凸版では結果も異なります。
また、プリンターのインクと印刷インクでも質は異なるし、印刷の場合、刷りはじめ、刷り終わりとでは版にインクがなじむまでインクの乗りも差が出るため結果も異なります。使用する紙によっても結果は当然異なります。
インクジェットプリンターはノズルから紙に向かってインクを吹き付けてプリントします。
極端な言い方をすれば、スプレーで紙に絵を描くようなものです。
ノズルと紙は密着していません。
また、インクは流動性がある液状のためノズルから発射されたインクはレーザー光線のように等幅を保てず、少なからず拡散して飛び散るため太くなるものと考えられます。
おおざっぱな言い方をすればレーザーや印刷機に共通していることは「版」の存在とインクの性質です。
必要な部分(版)にインクやトナーをつけてペタッと押し当てるか、液状インクをブチュッと直接吹き付けるかの違いです。
ちょっとした実験をしてみてください。
印鑑はどんなに押してもにじんだりしません。
しかしシャチハタのようなインク充填タイプのものは、インクを充填した直後は本体内に完全に浸透しきっていないため流動性のあるインク液が印(版)の表面近くに溜まっているため、そのまま押すとにじんでしまいます。
またスプレーで直接吹き付ける場合でも、文字や絵をくり抜いた型紙を紙の上に 置いてカラースプレーを吹き付けると、型紙(版)が紙に密着しているためエッジがボケないきれいな仕上がりになります。
でもこの型紙を少し浮かせてスプレーすると、型紙と紙の間に距離が出来るためにスプレーが拡散してボケた感じになります。
レーザープリンターの場合は文字や線画等のデータがいったん感光体ユニットという物に焼き付けられ、その部分にのみトナーが付着して紙に転写してプリントします。
この場合、感光体ユニットは「版」の役目をし、トナーが「インク」になります。
感光体ユニットに付着したトナーは紙に印鑑を押すように直接紙に移されます。
トナーは粉なのでインクジェットのような流動性はなく、にじみという心配もありません。
また、印刷機で刷られるものは、刷版にインクがついてそれが紙に押しつけられるので仕組み的にはレーザープリンターの場合と似ています。
刷る紙やインクは流動性ではないため印刷機にセットする際の盛り具合や紙の種類にによって多少の差はあるもののにじみは少ないです。
文字や線画等が太めに転ぶ原因はインクの受け手である紙の側にもあります。
コピー用紙等、普通紙と呼ばれるものは紙の繊維が荒いためにインクを受けた瞬間に若干のにじみのような現象が起こります。
専用紙に比べてエッジにシャープさがないのはこのためです。
普通紙といっても最近ではプリンターの種別を選ばないオールマイティーなものもあるため、比較的きれいにプリント出来るものもあります。
専用紙の場合は、プリンターメーカー純正のものをおすすめします。
純正紙はプリンターの性能を十分に発揮出来るように設計されているためきれいにプリント出来ますが純正紙以外のもの(自社でプリンターを販売していないメーカーのもの)はどのメーカーのプリンターにも一応に対応出来るようつぶしが効くように作られているため、各プリンターメーカーの機械の癖をカバー出来るようになていません。
そのため用紙を出しているメーカーごとにクオリティーに差が出てしまいます。
これは文字や線画のクオリティーのみにとどまらず、発色にも差が出る場合があります。
値段が安いからといってヘタに知らないメーカーのものを使うと失敗します。
色々なメーカーのものを使い比べてみて、納得出来るものを選ぶとよいでしょう。
インクジェットプリンターでのプリントにとどまるのであれば、大きな文字等に関しては問題ありませんが、小さな文字や線等は太めに転がる性質を考慮して若干細めに処理するとよい結果になります。
注意しなければならないことは、白抜きの文字や線の場合です。インクには白という色は存在しないため、画面上の白は実際は紙の色になるわけですが、前述したとおりインクが付着した部分は太めに転ぶため、紙の白の部分が削られつぶれた状態になります。
これを防ぐにはさっきとは逆に文字や線を太くしてやります。
また、文字の場合、明朝系やセリフ系の文字は文字の先端が細くとがっているため、この部分がつぶれてしまうのはさけられません。
特に支障がない限り太めのゴシック系やサンセリフ系の文字を使うことをおすすめします。
印刷屋さんに入稿する時に添付する出力見本紙はあくまで内容を確認するためだけのものなので、多少つぶれていても気にする必要はありません。
出力紙をきれいに出すために元データをいじってしまったら、大変なことになりますから注意してください。
印刷の事はデザインの事とは直接関係ないし深く知る必要もないけれど、印刷の仕組みを知ることもデザイナーとして必要なことです。
どの程度の知識が必要かという点については、電車の中で本を読んで吸収する程度で十分です。
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文字や線画等をインクジェットで出すと太い方に転び、印刷は細い方に転びます。
これはインクが紙に付く仕組みが物理的にまったく異なるからです。
プリンター出力でもインクジェットとレーザーではまた異なるし、印刷でもオフセットや凸版では結果も異なります。
また、プリンターのインクと印刷インクでも質は異なるし、印刷の場合、刷りはじめ、刷り終わりとでは版にインクがなじむまでインクの乗りも差が出るため結果も異なります。使用する紙によっても結果は当然異なります。
インクジェットプリンターはノズルから紙に向かってインクを吹き付けてプリントします。
極端な言い方をすれば、スプレーで紙に絵を描くようなものです。
ノズルと紙は密着していません。
また、インクは流動性がある液状のためノズルから発射されたインクはレーザー光線のように等幅を保てず、少なからず拡散して飛び散るため太くなるものと考えられます。
おおざっぱな言い方をすればレーザーや印刷機に共通していることは「版」の存在とインクの性質です。
必要な部分(版)にインクやトナーをつけてペタッと押し当てるか、液状インクをブチュッと直接吹き付けるかの違いです。
ちょっとした実験をしてみてください。
印鑑はどんなに押してもにじんだりしません。
しかしシャチハタのようなインク充填タイプのものは、インクを充填した直後は本体内に完全に浸透しきっていないため流動性のあるインク液が印(版)の表面近くに溜まっているため、そのまま押すとにじんでしまいます。
またスプレーで直接吹き付ける場合でも、文字や絵をくり抜いた型紙を紙の上に 置いてカラースプレーを吹き付けると、型紙(版)が紙に密着しているためエッジがボケないきれいな仕上がりになります。
でもこの型紙を少し浮かせてスプレーすると、型紙と紙の間に距離が出来るためにスプレーが拡散してボケた感じになります。
レーザープリンターの場合は文字や線画等のデータがいったん感光体ユニットという物に焼き付けられ、その部分にのみトナーが付着して紙に転写してプリントします。
この場合、感光体ユニットは「版」の役目をし、トナーが「インク」になります。
感光体ユニットに付着したトナーは紙に印鑑を押すように直接紙に移されます。
トナーは粉なのでインクジェットのような流動性はなく、にじみという心配もありません。
また、印刷機で刷られるものは、刷版にインクがついてそれが紙に押しつけられるので仕組み的にはレーザープリンターの場合と似ています。
刷る紙やインクは流動性ではないため印刷機にセットする際の盛り具合や紙の種類にによって多少の差はあるもののにじみは少ないです。
文字や線画等が太めに転ぶ原因はインクの受け手である紙の側にもあります。
コピー用紙等、普通紙と呼ばれるものは紙の繊維が荒いためにインクを受けた瞬間に若干のにじみのような現象が起こります。
専用紙に比べてエッジにシャープさがないのはこのためです。
普通紙といっても最近ではプリンターの種別を選ばないオールマイティーなものもあるため、比較的きれいにプリント出来るものもあります。
専用紙の場合は、プリンターメーカー純正のものをおすすめします。
純正紙はプリンターの性能を十分に発揮出来るように設計されているためきれいにプリント出来ますが純正紙以外のもの(自社でプリンターを販売していないメーカーのもの)はどのメーカーのプリンターにも一応に対応出来るようつぶしが効くように作られているため、各プリンターメーカーの機械の癖をカバー出来るようになていません。
そのため用紙を出しているメーカーごとにクオリティーに差が出てしまいます。
これは文字や線画のクオリティーのみにとどまらず、発色にも差が出る場合があります。
値段が安いからといってヘタに知らないメーカーのものを使うと失敗します。
色々なメーカーのものを使い比べてみて、納得出来るものを選ぶとよいでしょう。
インクジェットプリンターでのプリントにとどまるのであれば、大きな文字等に関しては問題ありませんが、小さな文字や線等は太めに転がる性質を考慮して若干細めに処理するとよい結果になります。
注意しなければならないことは、白抜きの文字や線の場合です。インクには白という色は存在しないため、画面上の白は実際は紙の色になるわけですが、前述したとおりインクが付着した部分は太めに転ぶため、紙の白の部分が削られつぶれた状態になります。
これを防ぐにはさっきとは逆に文字や線を太くしてやります。
また、文字の場合、明朝系やセリフ系の文字は文字の先端が細くとがっているため、この部分がつぶれてしまうのはさけられません。
特に支障がない限り太めのゴシック系やサンセリフ系の文字を使うことをおすすめします。
印刷屋さんに入稿する時に添付する出力見本紙はあくまで内容を確認するためだけのものなので、多少つぶれていても気にする必要はありません。
出力紙をきれいに出すために元データをいじってしまったら、大変なことになりますから注意してください。
印刷の事はデザインの事とは直接関係ないし深く知る必要もないけれど、印刷の仕組みを知ることもデザイナーとして必要なことです。
どの程度の知識が必要かという点については、電車の中で本を読んで吸収する程度で十分です。