秋庭俊「帝都東京・隠された地下網の秘密」

東京には戦前、関東大震災以降に政府・軍専用の地下鉄や地下道、防空壕が都心を中心にのべ延長300kmに
わたって建設されており、現在の地下鉄の都心部分や、都心に多い地下駐車場などはそれらの遺構を利用した
ものである、その事実は政府によって今も秘密下におかれている、というのが本書の趣旨。
数多くの資料や実地での観察をもとに、非常に興味深い内容が語られている。ただ残念なのが、amazonの
レビューの大部分が指摘している通り、非常に悪文であるということだ。文章の重複が非常に多いし、事実と
推論と思い込みの部分がはっきりと区別されることなく書かれている。本の構成自体も、ドキュメンタリー的
に時間軸に沿って展開していくのか、論文的に論拠を示して推論を構造的に組み立てていくのか、どっちつか
ずのままで最後まで行ってしまい、非常にわかりにくい。
そのせいで、真実も多数含んでいるのだろうけど、著者の妄想全開のトンデモ本にもとれてしまう。
面白い題材だけに、もっと論理的構成力を持った書き手に、纏め直してほしいものだ。


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