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極私的日々忘備録ーみたものきいたものよんだもの

鈴木謙介「カーニヴァル化する社会」

2005-10-31 22:57:12 | Books
90年代以降の日本社会において、それまで有効だった理念や、自明のものとされていた価値観、何も考えることなく選択されてきたライフサイクルのスタイル、といったものが大きく揺れ動いていることは、特に1970年代以降に生まれ育った者であれば切実に実感せざるを得ないと思う。そういった状況をどう理解し、いかように立ち向かっていくか(処方箋を出すか)ということについて、特に同世代以降の人文科学者の動向を気にかけるようにしている。この本もそんな1冊。
目次はこんな感じ。
第1章 やりたいことしかやりたくないーー液状化する労働観
  1フリーターやニートだけが問題なのか
  2「やりたいこと」という貧困
  3ハイ・テンションな自己啓発
第2章 ずっと自分を見張っていたいーー情報化社会における監視
  1「監視国家」か「監視社会」か
  2データが監視されるということ
  3データベースとの往復運動
第3章 「圏外」を逃れてーー自己中毒としての携帯電話
  1携帯電話と再帰的近代
  2「自己への嗜癖」とデータベース
終 章 カーニヴァル化するモダニティ
  1カーニヴァル化と再帰性
  2革命か、宿命かーーカーニヴァルの時代を生きる

議論がやや拡散気味で纏まりきれていないような気もするが、視点にはやはり世代の近さを感じるし、共感できる。

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