AOXOMOXOA

極私的日々忘備録ーみたものきいたものよんだもの

北田暁大「嗤う日本の「ナショナリズム」」

2005-03-31 23:33:21 | Books
自己目的化した「総括」が帰結するところとなった72年のあさま山荘事件と、現在日本に蔓延しつつある
「ロマン主義的シニシズム」としてのナショナリズム。この2つを結ぶ社会思想史的変遷を糸井重里、田中
康夫、ナンシー関、2ちゃんねるなどの分析を通して浮かび上がらせようとする試み。
著者は自分の学生時代の知人(友人の友人)であり同世代。なのでここでの題材の取り上げ方や指摘は共感
できる。ただ何というか、文章全体の論理構成をもう少し立体的にし、著者の立ち位置が浮かび上がって
くるような構成には出来ないものか。注の最後の方の1箇所で触れられている著者の決意表明があるが、
これは注ではなく本文全体を通した中で立ち現れてくるべきものだろう。

キャメロン・クロウ監督「あの頃、ペニー・レインと」

2005-03-29 22:30:50 | Movie
70年代前半、15才にしてロックの批評家として認められあるロックバンドのツアーに同行して
取材することとなった少年の物語を描く。監督の若かりし頃の実体験をもとにしているという。
ほろ苦い恋やバンドのメンバーとの友情、出会いと別れ等、この手の映画には必要な要素が過不足
なくちりばめられており、ロックの黄金期の曲も数多く流れるので音楽好きなら間違いなく楽しめ
る佳作だろう。

Rosie Brown "Clocks And Clouds"

2005-03-23 21:32:38 | Music
試聴で気に入り購入。Nora Jonesが好きな人なら気に入るであろう、少しJAZZYで
アコースティックな音。Vocalもそんな感じ。ただ、こちらの音作りの核になっている
のはリズミカルなアコースティックギター。そういった点ではJoni Mitchellも連想させる。

和泉商店街「沖縄タウン」

2005-03-21 22:01:39 | tokyo
京王線代田橋駅から徒歩5分、典型的な古くからの商店街である「和泉商店街」が沖縄を
テーマに生まれ変わったという。自転車で行ける距離なので覗きにいってみた。
小さな商店街の中の小さな市場「大都市場」は確かに那覇などの市場に雰囲気が似ており、
そこに出店している5軒の沖縄専門店の他、元々あった豆腐屋で島豆腐をつくっていたり、
八百屋で生の海ぶどうを売っていたり、酒屋で泡盛を扱ったりと、さりげなく商店街全体で
沖縄カラーを打ち出そうとしている。おそらく今までは寂れた商店街だったのだろうけど、
オープン2日目とあってかなり賑わっていた。すれちがった地元のおばさん同士が「今まで
ゴーヤーなんて食べようと思わなかったけど、試食を食べたら美味しかったから今夜のおか
ずはゴーヤー料理にするの」と言った会話をかわしていたのが印象的だった。このような
感じでうまく日常の空間として定着するかどうかが今後の成功の鍵だろう。


沖縄タウン公式HP

Jack Johnson "In Between Dreams"

2005-03-12 22:22:52 | Music
サーファーミュージシャンJack Johnsonの3作目。2作目On And Onは初期のRy Cooderのような、
ゆったりしたgrooveにのったギターや飾らないボーカルによるアコースティックな響きが心地よく、
かなり愛聴していたので期待大であった。一聴して完成度は高く卒ないプロダクションであるが、あま
り耳に残る曲がなく、やや地味か。

島田虎之介「東京命日」

2005-03-12 22:16:46 | Comics
12月12日、映画監督小津安二郎の命日を結節点に、その日に彼の墓参りをする様々な人々の物語が
パズルのように精巧に組み立てられ、タペストリーを描く。とある書評で気になり読んでみたが、
この構成力とラストシーンのうまさはただものではない。2年ぶり2作目の作品とか。
青林工藝舎より。