穆剛先生、日本読みは「ぼく」ですが中国読みは「む」です。
推拿(按摩・マッサージに近いもの)の指導は、穆(む)先生に従事しました。病棟はA棟3F。骨份科=整形外科です。
穆(む)先生は日本語が喋れます。歳は私と一つ違いです。
2001年~2002年にかけて日本(東京)に派遣されたそうです。日本での滞在場所は文京区の日中友好会館宿舎。東京ドームの近くです。
私も以前、その近くに住んでおりましたので、近くのお店の事とか、歌舞伎町の事とか・・・、話しが盛り上がりました。
A棟は西洋医学の病棟です。C病棟の鍼灸科に比べると、穆(む)先生の治療室への患者数は一日約10名と少な目でした。
頚椎症、腰椎症、坐骨神経痛、脊椎管狭窄症、五十肩、膝痛等の患者が来院していました。
穆(む)先生の部屋には患者以外にもいろんな人達が訪れます。中国語での会話は意味が分かりませんが、病院のスタッフが油を売りに来ている様です。「皆、愚痴を言いに来ているんだよー」と先生は言っていました。中国語での会話は激しく、まるで口喧嘩をしている様です。しかし、日本語になると優しく、穏やかになります。そのギャップが面白い。
穆(む)先生に初日に言われた事を良く覚えています。「今までここに何人もの日本人が研修に来たが、イーダさん、あなたが一番下手ね~!」、「日本人皆、マッサージうまい。中国人の荒いね!」 ガ~ン!!
穆(む)先生は時々、女性患者からお昼のお弁当の差し入れを貰っていました。その時は私に、自分の職員食堂での食券をくれます。
推拿の治療室ですが鍼もします。坐骨神経痛で、私が鍼をする男性患者からは「謝謝(シェ シェ)」と言われタバコを頂きました。(私は吸いませんが)
患者だけでなく、病棟婦長さんや掃除のおばちゃんまでも「先生肩揉んで~」と、やって来ます。
その担当は私になります。
推拿の治療中は鍼治療と違って、患者と会話が出来ます。私は中国語は喋れませんが、単語を並べ、一生懸命会話をする様、努力しました。中には日本語で返してくる患者もいました。
ここでの研修は忙しい鍼灸病棟の研修とは違い、本当に楽しかったです。