クリスマスイヴの24日の夜、池袋の東京芸術劇場で開催された東京都交響楽団によるベ
ートーヴェン第九演奏会を聴いてきました。景気が芳しくないこともあってか、池袋の街で
はクリスマス気分があまり感じられない印象を受けました。
5~6年前までは毎年ベートーヴェンの第九を年末に聴いて新しい年を迎えていましたが、
それ以降昨年まで聴きたい気持ちが起きませんでした。しかし今年は不思議なことに第九を
聴きたいとの気持ちが起きたので、自分の心に素直にチケットを購入しました。都響を選択
したのはスケジュール上の問題でそれ以外の理由はありませんでした。はっきりって指揮者
やオーケストラにこだわらず24日に第九の演奏会があればよかったのです。
さて、都響の第九演奏会ですが、指揮がジェイムズ・ガフィガン、ソプラノ:エヴェリー
ナ・ドブラチェヴァ、メゾソプラノ:イリーナ・チスチャコヴァ、テノール:ポール・チャ
ールズ・クラーク、バス:ミハイル・ペトレンコ、合唱:二期会合唱団によるものでした。
指揮者もソリストも初めてなので、どのような演奏をするのか興味がありました。演奏曲
目はウェーバー:歌劇「オベロン」序曲とベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調作品125
「合唱付」でした。
歌劇「オベロン」序曲は演奏会場で聴くのは初めてでしたが、充実した演奏でした。本命
の第九ですが聴いた感想では、若さに溢れ生き生きとした演奏で好感をもった演奏でした。
ただ残念だったのは、ソリスト間の調和がいま一つの感じを受けました。
もっというとソリストの声質が異なるとどうしてもこのような違和感のある状態になるの
ではないかと思いました。また、二期会合唱団ですが内容は良かったのですが、指揮者が若
く溌剌とした演奏をしていたのでもう少し迫力があると最高の出来ではなかったかと思いま
す。
今回の第九は爽やかですっと溶け込めるようなものであり、大きな感動を得る第九ではな
く日常生活の中で小さな喜びを見つけたときに味わう安堵感を与えてくれるような内容のも
のでした。いつも思う事ですが都響の弦楽器は素晴らしいと思います。N響の弦楽器パート
よりも実力があると個人的に思います。
今回の演奏でもその力量は遺憾なく発揮されていました。また、第九の演奏では珍しく全
てのパートの音がしっかりと聴こえました。これは指揮者とオーケストラが一つになってい
た証しだと思います。
指揮者のジェイムズ・ガフィガンですが、演奏を聴いた印象では将来さらに才能を発揮す
る指揮者であると思いました。1979年ニューヨーク生まれとのことですので今年31歳
です。サンフランシスコ響での3年間にわたる副指揮者としての職務を終えたばかりとのこ
となので本当にこれからが楽しみな指揮者です。来年は「ラ・ボエーム」でウィーン国立歌
劇場へデビューするとのことで今後注目したい指揮者です。なにしろ若いことが素晴らしい
と思います。
久し振りに聴いた第九でしたが、爽やかさが心に残りました。来年が明るく少しでも先に
進めるような年になると良いなぁと思いながら帰路につきました。
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