ロスジェネの発言

-Weblog of 三四郎日記

国歌は大声で歌え!ヽ(@ロ@)丶ハイル!

2005-08-25 19:22:03 | 海外事情(独仏など)
【こぼれ話】サッカー独代表は国歌を大声で歌え=内相が呼び掛け (時事通信) - goo ニュース
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【フランクフルト24日】ドイツのシリー内相(写真)は24日付の週刊新聞ツァイトとのインタビューで、ミヒャエル・バラック、オリバー・カーン(いずれもバイエルン・ミュンヘン所属)らサッカー・ドイツ代表チームのスター選手に対し、来年のドイツ・ワールドカップ(W杯)を控え、国歌を誇りをもって大声で歌う習慣を身に付けておくよう呼び掛けた。シリー内相は国歌はドイツ・チームの心意気を示すものだと強調した。

同内相は2000年の欧州選手権決勝リーグでドイツがポルトガルに0-3で完敗した試合を引き合いに出し、「ポルトガル・チームは腕を組み、国歌を高らかに歌っていた。それに引き換えドイツ・チームはピッチに弱々しく立ち、1人か2人が少し口を動かしていただけだった。私はその時『これでは負ける』と予言したが、果たしてそうなった」と語った。

ドイツはこの敗北により、1勝も挙げられずに決勝リーグから敗退した。同内相はドイツ・チームが今のうちに対外試合で国歌を大声で歌う慣行を開始し、来年6月9日からのW杯に備えるよう勧告した。〔AFP=時事〕

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これを読んで、いつだったか、ある日本代表選手が「君が代は、葬式の歌みたいで、試合前に歌うと盛り下がる」と言って右翼から攻撃を受けたことを思い出した。

ドイツのGK、O・カーンはじめ、ドイツ代表選手は、殆ど試合前の国歌斉唱では歌っていない。でも、歌ったからって「試合に勝つ」とは限らない。

ちなみに、ドイツ国歌はこんな歌。↓

(試合の前に歌われるドイツ国歌)
Einigkeit und Recht und Freiheit    統一と権利と自由を
für das deutsche Vaterland!      ドイツの祖国のために!
Danach lasst uns alle streben     それらを目指して 皆で努力しよう!
brüderlich mit Herz und Hand!    兄弟のように 心と力を合わせて!
Einigkeit und Recht und Freiheit    統一と権利と自由は
sind des Glückes Unterpfand;      幸福の証
blüh im Glanze dieses Glückes,    花開け この幸福の輝きのなかで
blühe, deutsches Vaterland.      花開け ドイツの祖国よ!
            (『NHKラジオドイツ語講座』2002年10月号より)

「ドイツ連邦共和国国歌」といわれる歌であり、内容的は、様々な国家に分裂していたドイツの統一を願う歌である。「権利」と「自由」に「統一」が加わっているのがミソで、「ドイツが統一すればみんなハッピー」という歌である。

だが、現実には、ドイツが統一していれば皆幸せかというと、必ずしもそうではない。ドイツ国民の中にはこの歌に複雑な思いを抱いている人もいるだろう。特に、旧東独市民はこの歌には複雑な思いを抱いているに違いない。

この歌の持つ、政治的な含意や歴史的な背景を別にしても、この歌をサッカーの試合前に歌うのはちょっとどうかと思う。試合前に「権利」とか「自由」とか説教たれてるみたいな感じで、ちょっと堅い。

フランス国歌、『ラ・マルセイエーズ』は、「われわれを殺しに来る敵の血で、われわれの畝を赤く染めよう」みたいな歌で、ちょっと扇動的なのだが、
”Allons enfants de la Patrie, Le jour de gloire est arrivé !”
(いざ祖国の子らよ、栄光の日は来た!)
”Aux armes, citoyens ! Formez vos bataillons ! Marchons ! marchons !”
(武器を取れ、市民諸君!隊伍を整えよ! 進もう! 進もう!)
ってなかんじだから、試合前に歌うと盛り上がるのは確かで、この歌が出来た時のフランス革命戦争を始め、独仏戦争、両世界大戦でドイツ軍に侵入されたフランスであるから、特にドイツとやる時には気分が高揚しそうだ。(おまけに、歴史的には1830年、1848年のドイツでの革命において、「ラ・マルセイエーズ」が歌われていたというこぼれ話もある。)

フランスとかアメリカ、中国の国歌のように「自国に侵入してくる敵を倒せ!」という内容の国歌はそれほど多くはないと思うが、それはそうと国歌によって”場の雰囲気に合うか合わないか”が分かれるのは確かで、ドイツ国歌は明らかに場違いな歌である。

だいたい、ドイツでVaterland(祖国)といった場合、「州(Land)」を思い浮かべる人だっているんだから、「国に対する愛情」なんて言うものは、ドイツでは相対的なものでしかないのは当然なのだ。だから、カーンが国歌を歌わなくたってなんら不思議なことではない。

今回は、サッカーの試合前に歌う歌として「国歌」が適切なのか、ということを少し考えたが、これは卒業式や入学式においても同じことが言えると思う。日本に限らず・・・。
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国歌に対する考え方っていろいろだよね。
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
国歌と君が代 (蔵信芳樹)
2005-08-25 20:29:30
あなたは国歌というものに否定的のようですけど、それは全ての国歌に対してそうなのですか?文脈なら推測するとそのように思えますが。



国歌反対の人の中には国歌というか、「君が代」しいては日本そのものに対して嫌悪感を抱いている人もいます。
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Unknown (ささべえ)
2005-09-01 06:56:46
トラックバック有難うございました。

つい同じ様な記事を発見した喜びからトラックバックしちゃいましたが、凄く真面目なブログを書かれている様で、してよかったものなのか気になってました。

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Unknown (sage)
2005-09-03 02:14:02
http://www.koiwascotland.plus.com/scot/japanese/fu05010.html

スコットランドは国家ではないから、公式な国歌というものも存在しない。数年前までスコットランドチームは国際試合のたびにイギリス国歌 God Save the Queenを歌わされてきた。ところがこの歌、まだ連合王国が成立する前、イングランドとスコットランドの両王国が戦争ばかりしていた頃に生まれたので、歌詞にも「スコットランドの逆賊を叩きつぶせ」という一節が出てくる。そのため観客が国歌斉唱の間抗議のブーイングを行うという事態が続き、連盟はついに反イングランド的な「スコットランドの花」を国歌として採択することにしたのである。



 そんな経過を思えば当然だが、ラグビーの最大イベントは何と言ってもスコットランド対イングランド戦だ。エディンバラの国立競技場でスコットランド対イングランド戦が行われると、観客のすさまじい熱狂ぶりに威圧感を覚えるとイングランド選手が言っていた。
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