テレビとうさん

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智識はバカを人にする。
信じるか信じないかは、自分次第です。

「GDP」 と 「借金」 ②

2020年09月13日 | 通貨(貨幣・紙幣・証券)
一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額のことを「GDP」と言いますが、価値が有ると思われる「お金」を印刷しても、その額面金額は「GDP」に加算されません。但し、紙や印刷に掛かった費用は「一枚当たりの付加価値≒20円」が「GDP」に加算されます。つまり、「一万円札一枚のGDP付加価値は20円」と云う事です。

日銀がお金を一枚発行すると「GDP」が20円増えますが、日銀当座預金に印字される「マネーサプライ」は全く「GDP」には算入されません。つまり、「通貨」には付加価値が無い事を証明しています。

「通貨とは貸借の記録」であり、「(複式)家計簿」も貸借の記録で有る事から、「家計簿」に記入した金額で欲しいモノが買えるように見えますが?家計簿は自分自身の「貸借の記録」で他人が介在しない事から「通貨」とは言えません。あくまでも、「貸し借り」の間に他人(法人も含む)が介在する必要があります。当然「借用書」も通貨の一つですが、それ自体には「価値」は有っても「付加価値」が無いのでGDPには含まれません。

サラリーマンが給料をもらうと云う事は「労働の対価を記した通貨」を受け取ることを意味し、それが「現金の額面合計」か「預金通帳の数字」で分かると云う事です。その時は、「労働には付加価値がある」のでその対価(給料)が「GDP」に加算されます。決して、「お金」が「GDP」を増やした訳ではありません。

実は、貰った給料を直ぐに使わない限り「価値の交換行使権(債権)を留保」している事になり、誰かが「負債」を背負っている事になります。「負債」を背負っているのは不特定の「事業者」と言え、それは「法定通貨の強制通用力」が法律で決まっているからです。

日本銀行法第5章(日本銀行券の発行)
第46条
1.日本銀行は、銀行券を発行する。
2.前項の規定により日本銀行が発行する銀行券(以下「日本銀行券」という。)は、法貨として無制限に通用する。

通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(法貨としての通用限度)
第7条
貨幣は、額面価格の20倍までを限り、法貨として通用する。

この法律に拠り、「負債」を背負っているのは直接的には「価値の提供者(販売店など)」ですが、最終的には「通貨の発行者」になります。

「付加価値」が移動するたびに、その同額の「通貨」も移動する事を利用して「GDP」の計算が可能になります。「通貨」とは「発行者の負債(借金)」なので「GDPは借金の産物」と言えます。

但し、政府発行通貨である「硬貨」は「貨幣」と言って、唯一「借金ではない(法定)通貨」になります。つまり、「硬貨」其の物に価値があり「物々交換の名残」と言えます。

通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律附則14条(貨幣損傷等取締法)
第1項 貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。
第2項 貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない。
第3項 第1項又は前項の規定に違反した者は、これを1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。



「GDP」 と 「借金」

2020年09月09日 | 通貨(貨幣・紙幣・証券)
 「GDP」とは国内総生産の事ですが、個人として誰かが何かを生産したり「モノ」を所有しているだけでは「GDP」には影響しませんし、拾った「モノ」に自分で価格を付けても無駄な抵抗です。業者であれば、仕入れ価格と販売価格の差が、その「モノ」が売れなくても「GDP」には加算されますが、(最終消費者に)売れてしまえばその「モノ」は、それ以降は「GDP」の計算対象外になります。

 つまり、「GDP」とは恒常的な価値の移動であり、移動するたびに「付加価値」が増加すれば、同じ「モノ」でも「GDP」は増加します。反対に、どんなに裕福でも価値が移動しない限りGDPは増加しません。

 個人間の取引は「GDP」の対象外で、仲に業者を挟んだ場合は業者の手数料は「GDP」に加算されますが、個人が買値より高く売って利益を得ても「GDP」には加算されません。

 ここからが複雑で、借家の家賃が「GDP」に加算されるのは理解できますが、自己所有の家に住んでいる場合は、「帰属家賃」と言って相場に合わせた家賃相当額が「GDP」に加算されるそうです。しかし、自動車を所有している人が自分で運転しても「帰属レンタカー料金」は「GDP」には加算されません。これは、「家は投資」で「自家用車車は消費」に分類されるからだそうです。何れもメンテナンスは必要だし、償却期間も設定されていますが、兎に角別扱いになるようです。

 「消費者物価指数」の計算でも、持ち家の購入のための支出は資産購入とされ、消費支出には含まれません。賃貸住宅の場合は、家賃の支出は消費支出に含まれるので、ある程度実態に即した形になるかもしれませんが、購入した自宅は「投資」とされ、「帰属家賃」が支出にされた瞬間に「自分が家賃収入」を得るので、常人にはお金の動きは見る事が出来ませんが、「統計局の役人」には見えるようです。

 「帰属家賃」と云う「架空の支出額」は、GDP統計において約50兆円にのぼりGDPの10%を占めるほどの規模です。自宅を新築して家を購入した心算が「家に投資をして自分で自分に家賃を払う」ようです。家の建築代金は建築業者の収入になり「GDP」に加算され、その「民間自宅投資」のGDPは15兆円で、「帰属家賃」の30%でしかありません。

 個人が「借金」をして住宅を購入しても、家屋の実質価値(累計付加価値)が全額GDPに加算され、更に毎年「帰属家賃」が付加価値として加算されます。「帰属家賃」の金額がどの様に計算されているのかは判りませんが、「不動産実質収益率5%」を年間家賃とすると、20年で「借金の2倍」がGDPに参入されます。

 実は、この「借金」は持ち家と等価なので、計算上「家主の債務超過」にはなりません。誰がこの「借金」を負担しているかと言うと、銀行です。銀行の
預金通帳は「銀行が発行する通貨」である事は以前に説明しましたが、「通貨は発行体の負債」です。預金通帳の「金額」が現金預け入れ額の場合は「貯蓄」と言いGDPには影響しませんが、貸付額の場合は「信用創造」と言いGDPに影響します。

 この「信用創造」の倍率は、市中銀行が日銀当座預金に預ける「準備預金制度」の「預金準備率」で決まり5%の場合は20倍まで「銀行が借金」をすることが出来ます。「銀行の借金」とは言っても、単に「預金通帳に印字」するだけで貸し付ける事が出来ます。ここでも計算上は、貸し付けの担保にした不動産等は銀行の(仮の)資産になり「債務超過」にはなりません。

 つまり、殆どの人(全員ではない)は預金通帳を持っている事から「GDPの民間部門」に関しては「借金がGDPの本質」と言え、更に自宅を所有している人は「何もしなくてもGDPに貢献している」事になります。



「税金」 と 「国債」

2020年07月13日 | 通貨(貨幣・紙幣・証券)
 「将来世代にツケを回してはいけない」と言う国会議員がいます。国政の作為・無作為による失政を反省しているのかと思って「偉い人」だと感心したのですが、良く話を聞くと「国債発行」を否定して「増税の勧め」を主張する「豪い人」で、「エライ違い」でした。

 
「株式と国債」でも書きましたが、「国債」は通貨の一種で誰のツケにもなりません。寧ろ「消費税」の方が将来に亘るツケと言えます。「国債発行」は通貨の発行で「国債償還」は通貨の回収となり、「徴税」は通貨の回収そのものです。「国債」を発行すると、市中から現金を吸い上げると考える人もいますが、それは間違いで、「預金通貨」が「国債通貨」に変わるだけです。

 「国債」を発行して防災インフラを整備する事を「将来世代に対するツケ」と考えていても、人其々の正しさを認めるのが民主主義なので、否定はしません。また、増税する事で国民の財産を奪い取る事を良しとする人でも、選挙で当選するのなら、それを認めざるを得ません。

 それは兎も角、シロウトながら「税金」の役割を考えてみようと思います。「個人所得税」は累進性が有り稼ぐ金額が大きくなると税率も高くなり、また貧困層に再配分する事で「貧富の格差」を解消するのには良く出来た税制だと思います。「法人税」の場合は複雑で簡単には書けないのですが、累進性は殆ど無く、それでも法人は「消費者では無く、投資者である」と云う観点からすると止むを得ないとも言えます。

 「消費税」は逆進性があり、貧乏人ほど負担率が高くなります。政府は「消費税は社会保障制度の安定化の為には重要な財源」と言いますが、貧乏人に多く負担させ他の貧乏人に配分するのでは、マクロで見ると「貧富の格差」が拡大します。絶対的貧困層の救済には成っても、相対的貧困率の改善には繋がらないと云う事です。

 現在における「税金」の概念は、罰金と同じです。所得税の場合は「稼ぎ過ぎに対する罰金」、法人税は「設備投資や人材投資を怠った罰金」、「消費税」に至っては「消費に対する罰金」と言え、所得が低いほど「罰金(率)」が多いので、もっと働けと叱咤激励をしているのかと思いきや、外国人労働者を大量に受け入れ日本人の職場を奪い、消費税を払わなくてもよい外国人観光客を増やしてきました。

 「国債(通貨)」の場合は、将来に亘り誰のツケにはならないので、インフレ(供給制限を超える事)を制御できる範囲内での発行ならば問題は起きません。個人が保有した場合は「将来世代の財産」になり、日銀が保有した場合は政府の「自己資本の増強」になります。

 企業は、資本金が過剰で配当金の負担が大きいときは「有償減資」をしたり、資本剰余金が有っても新規の設備投資の予定が無い時には「無償減資」をして将来の「増資」に備えます。同様に、「国債」も景気が回復して国が自らインフラ整備をする必要が無くなった時や、インフレが起きそうな時には「国債」を償還し、通貨の流動性を抑えます。一見すると、国債を償還すると市中の「現金」が増加するようにも見えますが、実際には「国債通貨」が「預金通貨」に替わるだけなので「現金」が増える訳ではありません。

 景気が回復すると「需給が逼迫」し「供給余力」減少するのでインフレが起きやすくなり、財政支出を減らして政府保有資産を売却する必要がありますが、中曽根政権の減税政策を切っ掛けに「バブル景気(1986年~1991年)」を起こし、国鉄清算事業団の未処分地の売却凍結も有って、地価が高騰しました。

 本来は「過剰流動性」が収まらない時には罰金として「増税」が必要で、「消費税」の場合は「消費税増税」をする事で「消費」に一撃を与えることが出来ます。逆に、現在の様に「消費」が落ち込んでいる時に「消費税増税」を考えるバカはいないと思いますが、経世済民を無視して「日本を外国勢に売る」ことが目的の場合は、「消費税増税」が最も効果的です。

 「消費税」は日本に居住する人民が負担するだけなので、外国人には優しい税制と言えます。



「株式」 と 「国債」

2020年07月11日 | 通貨(貨幣・紙幣・証券)
 平成29年度の「国の財務書類」の貸借対照表(PDF)を見ると、総資産額が670兆円で、負債の内公債は970兆円なので、国債だけで300兆円の「債務超過」に陥っているように見えます。負債合計1240兆円で見ると「債務超過額が570兆円」です。

資産額-負債額=純資産額(マイナスの時は債務超過額)

 債務超過だからと言って「倒産」する訳では無いのですが、普通は銀行からの借り入れが出来なくなったり「銀行取り引きの停止」が行われます。しかし、「現金仕入れ、現金販売」の場合は「悪徳銀行」の魔手を借りなくても営業は可能です。

 ところで、日本国政府が債務超過で金欠になった時には倒産するでしょうか。と言うよりも「金欠」になる事は有り得るのでしょうか。「金欠」の「カネ」とは「通貨」のことで
「通貨とは貸借の記録」である事は以前に説明しました。但し、この場合は「貨幣(硬貨)」は除きます。

 「国債は不便な通貨」であり「日銀券は便利な通貨」との違いはありますが、日銀の保有している「国債」と政府が保有している「紙幣」は、実際には「数字が書かれているだけ」で、

国債:政府の負債であり、日銀の資産。
紙幣:政府の資産であり、日銀の負債。

なので、「単なる、科目の書き換え」に過ぎません。

 「GDP」の部門は「(国内)政府」「(国内)民間」「外国」に分けることが出来て、それ以外には(差異を除いて)有りません。日本の場合「外国部門」は輸出入ともにGDPに占める割合が15%程度で無視はできないのですが「収支」はほゞ均衡しているので、ここでは考えません。

国家の収支=政府部門収支+民間部門収支

であり、保有資産の価値が変動しない限り、「国家の収支=0」となります。つまり、政府が国民に10万円を配っても、国家としての収支は0円と云う事です。当然、国民から税金を奪い取っても国家としての収支は0円になります。

 これは、「誰かが得をすれば他の誰かが損をする」と云うだけで、当たり前の事です。そうすると「GDPの成長」は「おカネ」をバラ撒いても、それだけでは意味が無いと言えます。GDPは国民総生産なので、モノを生産しなくてはなりませんが、生産しすぎるとモノの価値が下がるので、反対側に消費が必要になります。つまり、モノの価値が相対的に上がる様に消費しなければGDPは増加しない事になります。道端の石ころを拾ってきて、磨いて一億円で売れたらGDPが増加しますが、その価値を誰も認めなければGDPには影響しません。つまり、GDPは「価値の増加額」と言えます。

 それは兎も角、日銀が保有している国債は、償還しても数字を消すだけなので、消す手間が面倒くさい時には放って置いても実質的には何の問題も起きません。つまり、返す必要のない「通貨」と言えます。民間企業で「返す必要のない通貨」と言えば「株式」です。株式は「貸借対照表」の「資本金(株主資本)」に書かれます。

 日銀保有国債の450兆円を「資本の部」に繰り入れると、借入金である「公債の額(970兆円)」は520兆円になり、「政府の総負債1240兆円」は帳簿上の負債790兆円になります。

 発行済み国債の内、日銀引き受け分(日銀保有残高)は永久に還す必要が無いので、民間企業における株式と同じと言え、「負債の部」ではなく「自己資本の部」に記載すべきで、新規国債を(最終的に)日銀引き受けにして「570兆円増資」する事で債務超過は帳簿の上では無くなります。

 ここには「国債の税金化」の話は一切ありません。MMTでの「通貨」の定義で説明できます。

「(自国通貨発行権がある場合)供給余力の範囲内での通貨発行額には制限はない。」



「貨幣」 と 「通貨」 ②

2020年06月17日 | 通貨(貨幣・紙幣・証券)
貨:価値のあるもの。商品、財産、実体のある金銭。
:神に供える絹の原義が転じて、貢ぎ物・財貨。

貨幣:日本の法律では「硬貨」。政府が発行する「通貨」で、その物自体に価値がある
紙幣:日銀発行券。その物自体には価値は無いが、額面価値を政府が保障。

通貨:価値を交換するシステムで、貸借の記録。要求払い借用書(預り証券)。
国債:日銀紙幣に対する預り証券(証券を発行しない場合は仮想通貨)。

原始貨幣:物々交換の仲介機能。 【モノAの価値=貨幣の価値=モノBの価値】
現代貨幣:政府発行通貨(硬貨)。【モノAの相場=貨幣の額面=モノBの相場】

日銀通貨:紙幣本体(通貨)と、日銀当座預金に印字された数字(仮想通貨)。
預金通貨:市中銀行が発行する預金通帳(仮想通貨)。
現物通貨:質草。七銀行(質屋)での、「モノ」と「日銀通貨と預り証(通貨)」の交換機能。

真正手形:実体のある商取引で振り出される商業手形(通貨)。
融通手形:金融を目的に振り出される(自振り)手形(借用書)。

 「貨幣」とは政府が発行する「硬貨」の事で、「誰の負債にもならない”通貨”」と言えます。何故なら、日本政府は日本国民によって作られた組織なので、自分が自分に負債を押し付けても意味は無いからです。但し「紙幣(日本銀行券)」は「日銀が発行する通貨」なので、これは「日銀の負債」になります。「日本銀行」は資本金が1億円で日本政府がその55%を保有する、財務省の認可法人です。

 厳密に言うと、「貸借対照表で反対側に負債項目が無い特殊な通貨」を「貨幣」と言い、「発行体の負債になる、一般的な通貨」を「通貨」と言います。つまり、「質草」も「通貨」と言えます。質入れした人から見れば「質草」は、ただ預けているだけなので自分の資産なのですが、質屋から見ると「質草」は負債になります。質入れした人が期日を過ぎても「預かり証」を質屋に提出しなければ「質草」を放棄したと見做され、「質草」の「通貨機能」は失われ、単なる「商品」に戻ります。

つまり、「通貨」とはその実態は何でも良く、その機能が流通に資することで「通貨発行」と云う事になります。「通貨」は、その発行体に戻る事によって役割を終えます。換言すると、需給が完結すると「通貨」は消失すると言えます。

 需給関係を過不足なく完結するには、供給制限や過剰流動性を制御する必要があります。過剰流動性は金融政策によって制御可能ですが、供給制限は自然災害による事が多いのですが、政府による平時の基盤整備によって緩和する事は可能です。

 通常は、平時には「供給余力」があり、民間で需要しきれない時には政府による財政出動が必要になり、経済統計上では2%ほど高めの供給価格を設定し、需給バランスを取ることで「供給余力」を2%程残し、2%程度の経済成長を目標にする事が安定的と言われます。

 「MMT」ではその事を「供給余力がある限り、統合政府による通貨の発行量には制限はない。」と言います。実際に「国民一人当たり10万円の給付金」は総額12兆円の通貨発行になりますが、その支給速度が遅いせいもあって「供給余力」を食い潰すほどでは無い事から、今の所、物価上昇は起きていません。
 
 「MMT」は当たり前の事を言ってるだけであり、「トンデモ理論」だとか「理論式が書かれていない」とか言う人が多くいます。今までの経済理論には「多くの論理式」が書かれていますが、現在の経済運営が思うように行かないのは「その式が間違っているから」とも言え、現行の経済理論の方が「トンデモ理論」と言えます。