テレビとうさん

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「GDP」 と 「借金」

2020年09月09日 | 通貨(貨幣・紙幣・証券)
 「GDP」とは国内総生産の事ですが、個人として誰かが何かを生産したり「モノ」を所有しているだけでは「GDP」には影響しませんし、拾った「モノ」に自分で価格を付けても無駄な抵抗です。業者であれば、仕入れ価格と販売価格の差が、その「モノ」が売れなくても「GDP」には加算されますが、(最終消費者に)売れてしまえばその「モノ」は、それ以降は「GDP」の計算対象外になります。

 つまり、「GDP」とは恒常的な価値の移動であり、移動するたびに「付加価値」が増加すれば、同じ「モノ」でも「GDP」は増加します。反対に、どんなに裕福でも価値が移動しない限りGDPは増加しません。

 個人間の取引は「GDP」の対象外で、仲に業者を挟んだ場合は業者の手数料は「GDP」に加算されますが、個人が買値より高く売って利益を得ても「GDP」には加算されません。

 ここからが複雑で、借家の家賃が「GDP」に加算されるのは理解できますが、自己所有の家に住んでいる場合は、「帰属家賃」と言って相場に合わせた家賃相当額が「GDP」に加算されるそうです。しかし、自動車を所有している人が自分で運転しても「帰属レンタカー料金」は「GDP」には加算されません。これは、「家は投資」で「自家用車車は消費」に分類されるからだそうです。何れもメンテナンスは必要だし、償却期間も設定されていますが、兎に角別扱いになるようです。

 「消費者物価指数」の計算でも、持ち家の購入のための支出は資産購入とされ、消費支出には含まれません。賃貸住宅の場合は、家賃の支出は消費支出に含まれるので、ある程度実態に即した形になるかもしれませんが、購入した自宅は「投資」とされ、「帰属家賃」が支出にされた瞬間に「自分が家賃収入」を得るので、常人にはお金の動きは見る事が出来ませんが、「統計局の役人」には見えるようです。

 「帰属家賃」と云う「架空の支出額」は、GDP統計において約50兆円にのぼりGDPの10%を占めるほどの規模です。自宅を新築して家を購入した心算が「家に投資をして自分で自分に家賃を払う」ようです。家の建築代金は建築業者の収入になり「GDP」に加算され、その「民間自宅投資」のGDPは15兆円で、「帰属家賃」の30%でしかありません。

 個人が「借金」をして住宅を購入しても、家屋の実質価値(累計付加価値)が全額GDPに加算され、更に毎年「帰属家賃」が付加価値として加算されます。「帰属家賃」の金額がどの様に計算されているのかは判りませんが、「不動産実質収益率5%」を年間家賃とすると、20年で「借金の2倍」がGDPに参入されます。

 実は、この「借金」は持ち家と等価なので、計算上「家主の債務超過」にはなりません。誰がこの「借金」を負担しているかと言うと、銀行です。銀行の
預金通帳は「銀行が発行する通貨」である事は以前に説明しましたが、「通貨は発行体の負債」です。預金通帳の「金額」が現金預け入れ額の場合は「貯蓄」と言いGDPには影響しませんが、貸付額の場合は「信用創造」と言いGDPに影響します。

 この「信用創造」の倍率は、市中銀行が日銀当座預金に預ける「準備預金制度」の「預金準備率」で決まり5%の場合は20倍まで「銀行が借金」をすることが出来ます。「銀行の借金」とは言っても、単に「預金通帳に印字」するだけで貸し付ける事が出来ます。ここでも計算上は、貸し付けの担保にした不動産等は銀行の(仮の)資産になり「債務超過」にはなりません。

 つまり、殆どの人(全員ではない)は預金通帳を持っている事から「GDPの民間部門」に関しては「借金がGDPの本質」と言え、更に自宅を所有している人は「何もしなくてもGDPに貢献している」事になります。




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