テレビとうさん

知識は人をバカにする。
智識はバカを人にする。
信じるか信じないかは、自分次第です。

「預金通貨」 と 「貯蓄」

2019年09月05日 | 通貨(貨幣・紙幣・証券)

 一般に、個人所得の殆どは銀行に預けられ、決済用途の場合は「預金」、貯金の場合は「貯蓄」と呼ばれます。この「現金」に由来する「預金」は「預金通帳」に記帳され「預金通貨」と呼ばれますが、この場合は「現金」が個人から銀行に移動しただけなので「GDP」には影響しません。勿論、銀行がこれを投融資の原資にする時は、「利息率-物価上昇率」は結果的に「分配面から見た実質GDP」に影響します。

 銀行の「サラ金業務」は「消費目的の信用創造」の様にも見えますが、その実態は「預金者のおカネ」を他の消費者へ移動しただけなので「お金の総量」は変わりません。「お金」を借りた人は期限内に返却する為、消費を早めただけであり「GDP」が増えたとは言えません。

 「信用創造による預金通貨」の場合は、「資産を担保」にした新規の「通貨発行」なので、市場における「通貨の総量」の実質的な増加を意味します。これは、設備投資などの「消費行動が約束されたお金」なので、預金通貨の増加量は「GDP」の増加量とほゞ等しいと言えます。勿論、この場合の「お金」も期限内に返却しなくてはなりませんが、返却と同時に「担保物件」は復帰するので「新規の信用創造」の原資になります。

 「良い商品を、より安く」はダイエー商法の原点ですが、これは、経済のパイが大きくなっている時にしか通用せず、停滞時には「通貨量の縮小」を意味する為、本来は「良い商品は、それなりに高く。」が資本主義の原則になります。

 ダイエー商法では、地価上昇を利用して最初の自社物件Aを担保にし「信用創造」を利用して物件Bを作り、この物件Bを担保に、物件C・・・と、拡大出来る時には「帳簿上」では利益を上げているように見えましたが、地価が下がり始めると「担保不足」を起こし、キャッシュフローが行き詰まり破産しました。

 「キャッシュフロー経営」では、現金の収支に注目し、未来の予想損益は組み込まれない為、その時点での黒字倒産も起こり得ます。「預金通貨」は銀行の判断で担保価値を低くすることが出来る為、不景気時には「信用創造」が縮小し、これに対抗する為に企業は「現金」を貯め込み「貯蓄」としての「内部留保」が増えます。

 不景気になると、企業も個人と同様に「貯蓄」をする事になり、これに同調して政府が「借金」を減らす為に「緊縮財政」を行うと、デフレが深刻化します。これを防ぐには、政府は国債を発行して「借金を増やす」か、借金が嫌なら「借金ではない政府通貨」を発行するしかありません。

 民間の「貯蓄」と政府の「緊縮財政」は「通貨」の流通量を減らす効果があるので、インフレが過熱した時には有効ですが、「デフレ」を解消する為には、供給余力がある限り政府・民間を問わず「通貨」の流通量を増やす必要があります。「消費税増税」は真逆の政策になります。




コメントを投稿