テレビとうさん

知識は人をバカにする。
智識はバカを人にする。
信じるか信じないかは、自分次第です。

「貨幣」 と 「通貨」

2019年10月29日 | MMT

原始貨幣:物々交換の仲介機能。【モノAの価値=貨幣の価値=モノBの価値】

現代貨幣:政府発行通貨。【モノAの相場=貨幣の金額=モノBの相場】

通貨:貨幣と借用書(負債の記録)。【資産額=負債額】

 日本の法律で云う「通貨」とは「貨幣」と「紙幣」を言い、「貨幣」とは政府が発行する「硬貨」の事で、拡大解釈しても「政府発行通貨」であり「誰の負債にもならない通貨」と言えます。何故なら、日本政府は日本国民によって作られた組織なので、自分が自分に負債を押し付けても意味は無いからです。但し「紙幣(日本銀行券)」は「日銀が発行する通貨」なので、これは「日銀の負債」になります。「日本銀行」は資本金が1億円で日本政府がその55%を保有する、財務省の認可法人です。

 ここでは、「貸借対照表で反対側に負債項目が無い特殊な通貨」を「貨幣」と解釈し、「発行体の負債になる、一般的な通貨」を単に「通貨」と書きます。

 「通貨」には多くの種類が有り、最も一般的なものが日銀が発効する「紙幣」で、他には銀行が発行する「預金通貨」、企業が発行する「手形・小切手」、個人が発行する「借用証書」、・・・等々「無数に考えられます」。

 「MMT」の日本語訳として「現代貨幣理論」が使われていますが、これを日本の法律に合わせて再翻訳すると「現代の政府発行通貨の理論」になります。「現代の政府発行通貨」は日本では「硬貨」しか無いのですが、その「硬貨の発行量」は5兆円程で、わざわざ論理立てて説明する程のモノでは有りません。現在では違法行為にはなりますが、「貨幣には、硬貨意外に紙幣も含む」とすると、政府発行紙幣も可能になり、更に、他の通貨を流通禁止にすると、その経済的意味では「共産主義理論」と同じと言えます。

 共産主義では、総ての経済運営・管理を政府がするので、民間企業や個人が「通貨」を発行する事は許されません。と言うより、民間とか企業・個人と云う概念すら有りません。共産主義下の(政府発行)通貨は、その用途と期日が定められた配給券と言え、私有は認められません。何故なら、通貨の私有が認められると蓄財が可能になり、計画経済に支障をきたす事になるからです。政府は、計画に沿ってさえいれば、他の制約を受ける事無く「自由に通貨を発行できます。」

 これが、「MMTは共産主義思想の理論だ」と誤解される所以だと思います。そこで、MMTを「最新の通貨理論」と和訳すると、その論理構造が一変します。「通貨」とは「発行体と流通経路・決済手段などが、無数に考えられる媒体」なので、プリペイドカードや暗号通貨など、政府が直接制御できない「通貨」も可能になります。特定の通貨である「貨幣」が「国家管理の通貨」なのに対して、「貨幣」を包含する「通貨」は自由主義や資本主義の象徴とも言えます。

 MMTでは、「通貨の流通」は国民の自由意思に任されている事を前提にしているので、国民が将来不安などで消費を減らした場合は、市場の供給能力の範囲で「政府は税収に制限される事無く、財政支出を増やすことが出来る。」とし、逆に国民の消費意欲が過剰になり、市場の供給能力を超えそうになった場合には「政府は国民の消費意欲を減らす為に、増税したり財政支出を減らすことが出来る。」と言っているだけです。

 MMTは当たり前の事を言ってるだけであり、「トンデモ理論」だとか「理論式が書かれていない」とか言う人が多くいます。今までの経済理論には「多くの論理式」が書かれていますが、現在の経済運営が思うように行かないのは「その式が間違っているから」とも言え、現行の経済理論の方が「トンデモ理論」と言えます。



コメントを投稿