テレビとうさん

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「株式」 と 「国債」

2020年07月11日 | 通貨(貨幣・紙幣・証券)
 平成29年度の「国の財務書類」の貸借対照表(PDF)を見ると、総資産額が670兆円で、負債の内公債は970兆円なので、国債だけで300兆円の「債務超過」に陥っているように見えます。負債合計1240兆円で見ると「債務超過額が570兆円」です。

資産額-負債額=純資産額(マイナスの時は債務超過額)

 債務超過だからと言って「倒産」する訳では無いのですが、普通は銀行からの借り入れが出来なくなったり「銀行取り引きの停止」が行われます。しかし、「現金仕入れ、現金販売」の場合は「悪徳銀行」の魔手を借りなくても営業は可能です。

 ところで、日本国政府が債務超過で金欠になった時には倒産するでしょうか。と言うよりも「金欠」になる事は有り得るのでしょうか。「金欠」の「カネ」とは「通貨」のことで
「通貨とは貸借の記録」である事は以前に説明しました。但し、この場合は「貨幣(硬貨)」は除きます。

 「国債は不便な通貨」であり「日銀券は便利な通貨」との違いはありますが、日銀の保有している「国債」と政府が保有している「紙幣」は、実際には「数字が書かれているだけ」で、

国債:政府の負債であり、日銀の資産。
紙幣:政府の資産であり、日銀の負債。

なので、「単なる、科目の書き換え」に過ぎません。

 「GDP」の部門は「(国内)政府」「(国内)民間」「外国」に分けることが出来て、それ以外には(差異を除いて)有りません。日本の場合「外国部門」は輸出入ともにGDPに占める割合が15%程度で無視はできないのですが「収支」はほゞ均衡しているので、ここでは考えません。

国家の収支=政府部門収支+民間部門収支

であり、保有資産の価値が変動しない限り、「国家の収支=0」となります。つまり、政府が国民に10万円を配っても、国家としての収支は0円と云う事です。当然、国民から税金を奪い取っても国家としての収支は0円になります。

 これは、「誰かが得をすれば他の誰かが損をする」と云うだけで、当たり前の事です。そうすると「GDPの成長」は「おカネ」をバラ撒いても、それだけでは意味が無いと言えます。GDPは国民総生産なので、モノを生産しなくてはなりませんが、生産しすぎるとモノの価値が下がるので、反対側に消費が必要になります。つまり、モノの価値が相対的に上がる様に消費しなければGDPは増加しない事になります。道端の石ころを拾ってきて、磨いて一億円で売れたらGDPが増加しますが、その価値を誰も認めなければGDPには影響しません。つまり、GDPは「価値の増加額」と言えます。

 それは兎も角、日銀が保有している国債は、償還しても数字を消すだけなので、消す手間が面倒くさい時には放って置いても実質的には何の問題も起きません。つまり、返す必要のない「通貨」と言えます。民間企業で「返す必要のない通貨」と言えば「株式」です。株式は「貸借対照表」の「資本金(株主資本)」に書かれます。

 日銀保有国債の450兆円を「資本の部」に繰り入れると、借入金である「公債の額(970兆円)」は520兆円になり、「政府の総負債1240兆円」は帳簿上の負債790兆円になります。

 発行済み国債の内、日銀引き受け分(日銀保有残高)は永久に還す必要が無いので、民間企業における株式と同じと言え、「負債の部」ではなく「自己資本の部」に記載すべきで、新規国債を(最終的に)日銀引き受けにして「570兆円増資」する事で債務超過は帳簿の上では無くなります。

 ここには「国債の税金化」の話は一切ありません。MMTでの「通貨」の定義で説明できます。

「(自国通貨発行権がある場合)供給余力の範囲内での通貨発行額には制限はない。」




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