放浪日記

刮目せよ、我等が愚行を。

1冊のアルバム

2011年06月13日 | 東京編集格闘道
久しぶりに実家に帰省してきた。
親に呼ばれなければ、そしてよっぽどの理由がなければ帰省しない親不孝息子ではあるが、両親となかなか連絡をとっていないということに関して少しは罪悪感というものも感じている。
父の日も近いということで、東京の地酒・澤乃井の4合瓶を父親に。母親と弟夫婦にはそれぞれ東京銘菓を持っての帰省。

入院中の祖母を見舞い、家族で飯を食べ、ちょうどよくほろ酔いになったところで、母親がおもむろに「これ持って行きなさい」と写真アルバムを手渡してきた。
中を見ると、僕が小さい頃の写真をピックアップしてあった。0歳から2歳くらいまでのもの。
話を聞いてみると、東日本大震災の報道を毎日見ているうちに、被災された方の多くが、津波でめちゃくちゃになってしまったガレキのなかから、家族の写真を拾っている光景が気になったという。我が家も、もしそうした天災に巻き込まれて大変な状態になった場合に、少なくとも1枚は子どもの頃の写真を持っていたほうがいいのでは…と考えた母なりの行動だった。

東日本大震災発生から3ヶ月が過ぎた。
余震の可能性はいろいろ指摘されているし、過去の経験からいって、もう一発大きいのが来てもおかしくないという。
東北の件でまったく報道されなくなってしまった、ニュージーランドの地震。
今日、クライストチャーチを強い余震が襲った。日本もあると考えておいたほうがいいだろう。

帰宅後、母から預かったアルバムには、天花粉まみれで素っ裸の産まれたての僕が写っていた。
どこかの公園で腹ばいになりながら砂遊びをする僕が写っていた。
僕を抱えて一緒に菖蒲湯に入る若き日の父が笑っていた。

家族の写真を眺めながら、遠く離れてしまった家族のこと、そしてこれからの家族のことを考える。
生きるということ。
しっかりと生活をしていくということ。

母から渡された1冊のアルバムは、いろいろなことを教えてくれている。