初仕事 １月７日

新年の初仕事は沈床庭園の手入れとなりました。
昨年は花咲く華やかな姿を披露することができませんでしたが、今年はなんとか頑張ってたとえワンシーズンでも色に溢れた庭を俯瞰したいものと、気をしき締める老建築家であります。


　あたらしき年の初めの行いは　しずもる庭の清めなりけり

年始 １月６日

新しい春を迎えてアーチの下で抹茶を一服。



　つくりきて幾年へにけむ石の舎に　春また来たり茶を飲みことほぐ

温泉 １２月２７日

車で七、八分いった畑の中に温泉が食事処と併せてあります。月に何度か食事を兼ねて通っています。露天風呂もあり、冬の寒風に頭を晒され満天の星空を見上げながら、やすんばのことを思いながら長湯することは、このうえのない至福の喜びなのであります。


　畑なかの露天の風呂に長湯して　この年のことしばし忘るゝ

雨上がり １１月２５日

友人がゆっくり静養したいと一週間ほど滞在していたのですが、その間にコンクリート打設が２回行われ、その手元としてこきつかわれ、静養ならぬ疲労回復のひと時を過ごされたのでした。
帰る日の朝、前夜の雨に濡れたオランジェリーのファサードでの記念撮影です。




やすんばにやすらい求め来たるひと　手伝い疲れオランジェリーの前

小春日 １１月２３日

小春日和のこの日、客人と二人、アーチの下で日向ぼっこです。陽射しは強く、客人の影をジャワ影絵のワヤンの如く、アーチの弧を背景にしてヘリンボーンの床を妖しく照らしあげるのでした。


小春日の日に照らさるる老いひとの　影あざやかに床照らしけり

カレンダー １１月１３日

球根を発注すると一日足らずで宅配されてきました。カレンダーが同封され、英国庭園と季節の花々が紹介されています。ガーデニングに目を奪われている老建築家は、マナーハウスを背景にしたイングリッシュガーデンの数々を、珈琲のみつつ魅入ったのでありました。


　吾が園に英国の庭かさねみつ　想いめぐらすひと日ありけり

三年生 １０月２３日

地元の三年生コンビの久しぶりの来園。イモリはどうしたといいながら原っぱの流れや池をあちこち探索し、出したおやつを食べ終わると、塾があるからと言ってさっさと帰っていったのでした。


　土地の子はイモリ目当てに来たりける　塾へ行くのと帰り去るなり

庭師 １０月１９日

中庭の冬花壇の準備です。老建築家は鉄を扱うビルド職人から花相手の庭師へと転職することになります。まず、枯れ始めたマリーゴールドを抜き取り、そのあとに腐葉土や堆肥を混入して土養生に励みます。


　老い人は鉄から花へわざをかえ　季うつり行く園にうずくまる

来客 ９月２３日

西のお隣さんがお孫さんを連れての来園です。二歳半のお嬢ちゃんにハイビスカスの花を頭にかざして写真を撮ろうとしたら、泣きそうな顔になって下を向かれてしまいました。


　おみなごにハイビスカスを与えし日　さす陽は秋の気配のなかに

ジェットストリーム ９月１６日

城達也・ジェットストリームのＣＤが贈られてきました。それも十枚も。ジーンズのベストと懐中時計がお似合いのＮ様ありがとう。
やすんばは、朝はバロック、昼はジャズ、夜は石川さゆりを定番ＢＧＭとしております。さて、どの時間帯にかけるとしましょうか。


　懐かしきジェットストリーム賜れり　吾が若き日にひたりけるかも

虹鱒 ８月某日

訪ねた家族が近くの釣堀で虹鱒を釣ってきて、バーベキュー用の炭炉で蒸し焼きにしたご馳走です。

姉妹 ８月某日

姉妹がキャンピングカーに二泊して楽しんでゆきました。周辺の田圃でザリガニや小魚を捕らえ、即製のプールで水遊びし、夜は気兼ねなく花火に興じて、さぞかし思い出に残る夏休みになったことでしょう。

友来る ８月某日

親しい友人が東京から苦労して車で訪ねてくれました。午前中に出たのに着いたのは午後遅くでした。ご苦労さまでした。

流しソーメン ８月某日

来園した家族が老い犬のレモンと共に流しソーメンの昼食です。大人が竹を切り、子供が節を除き、脚立の間に架け渡し、井戸水とソーメンを流せばできあがりです。レモンは掬いそこなったソーメンを待ち構えます。

友あり ６月８日

友人がジャズのＣＤを土産に訪ねてくれました。黄昏どき、オランジェリーの石壁に響くハンク ジョーンズのピアノの調べを聴きながらの二人だけの饗宴は、何ごとにも代え難い至福の一ときでありました。


　暮れなずむ光りのなかにうきたちて　ジャズともに聴く友のありけり