夜のピクニック (新潮文庫)恩田 陸新潮社このアイテムの詳細を見る |
裏表紙あらすじより
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながら、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。
たった24時間のお話なんですが、中身はとっても濃いです。
最近“走る”小説を読んでいましたが、“歩く”ということもとてもとても奥深いのだと改めて思いました。
“走る”に比べて“歩く”は、スピードが遅い分、たくさんじっくり思い、感じ、考える、ことができるのです。
1年生、2年生、と積み上げてきた行事が、3年生となった最後に正に完結する、という感じです。
静かに、燃えている、青春がここにありました。
以下、引用です。
P119
昼と夜だけでなく、たった今、いろいろなものの境界線にいるような気がした。大人と子供、日常と非日常、現実と虚構。歩行祭は、そういう境界線の上を落ちないように歩いていく行事だ。
P127
夕暮れの時には、辺りが暗くなってくるのに疲労が重なって憂鬱になったが、日が暮れてしまうと、逆に少しずつ元気になってくる。自分が新たな世界の住人になったことを認めたからだ。昼の世界は終わったけれども、夜はまだ始まったばかりだ。物事の始まりは、いつでも期待に満ちている。
…この部分が次の部分につながります…
P442
何かが終わる。みんな終わる。
頭の中で、ぐるぐるいろんな場面がいっぱい回っているが、混乱して言葉にならない。
だけど、と貴子は呟く。
何かの終りは、いつだって何かの始まりなのだ。
P189
忍はボソボソと話し続けた。
「おまえが早いところ立派な大人になって、一日も早くお袋さんを楽させたい、一人立ちしたいっていうのはよーく分かるよ。あえて雑音をシャットアウトして、さっさと階段を上りきりたい気持ちは痛いほど分かるけどさ。もちろん、おまえのそういうところ、俺は尊敬してる。だけどさ、雑音だって、おまえを作っているんだよ。雑音はうるさいけど、やっぱ聞いておかなきゃなんない時だってあるんだよ。おまえにはノイズにしか聞こえないだろうけど、このノイズが聞こえるのって、今だけだから、あとからテープを巻き戻して聞こうと思ったときにはもう聞こえない。おまえ、いつか絶対、あの時聞いておけばよかったって後悔する日が来ると思う。」
…この部分が次の部分につながります…
P344
正直、あの時は忍が何を言っているのかピンと来なかった。珍しく口ごもり、熱っぽく呟いていた友人の姿にきょとんとしていただけで。
だけど、今はなんだか彼の言っていたことが分かるような気がした。
今は今なんだと。今を未来のためだけに使うべきじゃないと。
P239
「へえ、自分の知らない才能を発見したかな―――大体、俺らみたいなガキの優しさって、プラスの優しさじゃん。何かしてあげるとか、文字通り何かあげるとかさ。でも、君らの場合は、何もしないでくれる優しさなんだよな。それって、大人だと思うんだ」
P272
好きという感情には、答えがない。何が解決策なのか、誰も教えてくれないし、自分でもなかなか見つけられない。自分の中で後生大事に抱えてうろうろするしかないのだ。
P354
昨日から歩いてきた道の大部分も、これから二度と歩くことのない道、歩くことのないところなのだ。そんなふうにして、これからどれだけ「一生に一度」を繰り返していくのだろう。いったいどれだけ、二度と会うことのない人に会うのだろう。なんだか空恐ろしい感じがした。
P414
並んで一緒に歩く。ただそれだけのことなのに、不思議だね。たったそれだけのことがこんなに難しくて、こんなに凄いことだったなんて。
歩く。
歩き続ける。
それが、人生?
なのかな…
恩田さんの出身校の行事を題材にされて書かれたのですが、丁度 婿殿が同じ卒業生なので
読んでみました。詳しく感想は聞いていませんが一つの卒業式だったようです。私は走ること、歩くことは好きで得意でしたのに 今は夢の中です。
常に前に歩く道があるうちはゆっくりでも歩いて行きたいです。
それについてしみじみ考える自分がいます
(が、その散歩したのは一体何時の事?)
この本も惹きこまれそうですね
読んでみたいです(*^_^*)
大学まで歩き通したことがあります。
今朝はゆっくり引用文を味わう時間がありませんが、その分、
「今日を味わって歩いて」きますね(^_-)
いってらっしゃい&いってきます(^o^)/
人間性を作っていくんだよね。
そうか~、なんか忘れていたよ。
>雑音だって、おまえを作っているんだよ。雑音はうるさいけど、やっぱ聞いておかなきゃなんない時だってあるんだよ。おまえにはノイズにしか聞こえないだろうけど、このノイズが聞こえるのって、今だけだから、あとからテープを巻き戻して聞こうと思ったときにはもう聞こえない。おまえ、いつか絶対、あの時聞いておけばよかったって後悔する日が来ると思う。
そうなんだよね。納得。
今、瀬尾まいこさんの「戸村飯店」青春100連発を読書中です。
「夜のピクニック」
また、読む本が出来てうれしいです。ありがとう!!
息子さんの体調良くなりましたか?
びくびくしちゃいますが、ワクチン接種の順番が回ってこない私達としては、軽く感染して免疫をつけるのもひとつの手かなと思ったりします。どうぞ、お大事に。
お母様との旅行、喜んでいただいてよかったですね。(*^_^*)
あさのあつこさんの短編を読みました。
『風が強く吹いている』は、
私が読む前に、いま、入院中のお友達に貸しています。
とっても面白いって、喜んでくれているので、よかった~と思ってますが、
やっぱり、自分も読みたい・・。
けど、いま、また見にくくなって来て・・
なんか寂しいです。
YASUKOさんの本の紹介で、読んだ気分に浸っています。
いつもありがとう~。
お婿さんの出身校なんですね。
伝統の行事が在るっていいことですよね(*^_^*)
sumireさんは治療入院の連休ですね。
頑張ってください。
見えてくるものが違うでしょうし、心の状態も違うでしょう。
でも走って速く目的地まで行きたい時もあるし、臨機応変ですね(^_-)-☆
大学まで歩き通したことがあります。
とても貴重な体験をしましたね。
この一週間のジンコ先生奮闘記も涙しながら読みましたよ。
ジンコさんのブローチが増えましたね(^_-)-☆
特に我々の息子たち、はちゃめちゃやってても、糧になっていくんでしょうねぇ。