ひと息、ふーうっとゆっくり歩いていたら、引き戸のガラス越しに、
あっ、倒れる、ドン、ガターン。「人が、倒れた」、近づいて見ると、
倒れています。
中からも人の声、「誰か、たおれたぁ~」、2、3人、ひとが集まっ
て見ています。
それを確認して(救急車、AED、だれか人口呼吸するのかな)、
向かいました。受付へ。
「すみませぇ~ん、だれか、風呂で倒れました」
そう、ここは、ある温泉の中の話です。今から、ちょうど2時間前(6時ころ)。
「お客さん、お客さん、大丈夫ですか。こちらへ、動かしましょうか?」
「動かすな、しばらく、このままにしておけ」
「はい」
「それより、何か、かけるものは、ないのか」
温泉のひとが、黄色いバスタオルをもってきて掛けて上げます。
「お客さん、お客さん、大丈夫ですか。救急車、呼びますか」
「・・・」答えられません。
「こちらに動かしますか」
「いぃ、しばらく、このままにしておけ」
また、自信に満ちた声がします。
温泉のひとは、すごすごと、引き上げて行きました。
中からひとり、出てきました。
「大丈夫だ。顔色見ろ!いい顔色してる。なぁに、水風呂へつっこめば、すぐ治る」
近くにいたひとが、なにか、その人にささやきます。
「無責任も責任のうち、あっ、はっ、はっ、はぁ~」
「ひとの2倍も、風呂に入っていたとさぁ」
着替えが終わって、帰り際、ちょっと、のぞいて見ると、
起きあがっています。
(小学校の体育で、校庭で、膝をまげて、両腕で抱えて座っている姿を想像してください。)
脚を曲げて、腕は、腰の後ろのからちょっと離れた所に置いて、くつろいでいます。
大丈夫みたいです。ひと安心。
受付で、
「よかったですねぇ、みんな、たくさんいて。一人なら判断に迷います」
「えぇ~、元をとらないといけないって、長く入っていたそうです」
「繁盛してて、よかったですね。ひとがたくさんいると、心強いです。・・・ ありがとうございます」
「ありがとうございました。おやすみなさい」
ひとって、倒れると、ほんとうに「く」の字になって倒れますね。
うつぶせになって、顔を横に向けて、両手、両脚、「く」の字になって倒れていました。
元を取るって、温泉でもいるんですね。
スキーに行った時、よく元を取るって、何回もリフトに乗ります。
最近では、カラオケでしょうか。時間内、誰も歌わないときは、私もドンドン、入れます。
長い時間、入っていたって、どれくらいでしょう?
早い人で、20分~30分。普通、40分くらいは、入りますか。
長い人で、1時間半から2時間。
女性で長い人は、2時間半から3時間。
あまり、長湯されると、待っている人も大変です。
心配します。
以前、女性の方が、ご主人を心配して、男湯に見えられたことがありました。
「いつまで、入っているの!心配でしょ!」
旦那さん、
「何、今、あがっとこだ。何、心配だって?」
「早く、上がってきてよぉ!」
奥さん、着替えて服を着ています(当たり前です)。
旦那さん、裸のままで、言い合い(いい愛)です。
そして、奥さんは出て行かれました。
旦那さんは、お風呂へもどられます。
皆、お風呂(温泉)、好きです。
楽しく入りましょ。