多文化共生のすすめ

Toward a Multicultural Japan

統合と同化

2005年12月12日 | Weblog
7月の英国のテロ事件、そして11月のフランスの暴動によって、ヨーロッパの移民政策への関心が高まっている。

日本の新聞でも盛んに報道されたが、移民政策を論じる上でキーワードとなる「統合」と「同化」の混同が見られる。例えば、11月8日の日経新聞朝刊の記事「移民同化政策に限界(Q&A)」には、「Q:フランスの移民政策の特徴は。 A:フランス語を話し文化を受け入れフランス人になる『アンテグラシオン(同化)』を基本にしてきた。」とあるが、 "integration" は「同化」ではなく「統合」である。

こうした混乱は、日本では「統合」が政策用語として定着していないためであると思われる。ヨーロッパでは、移民政策を論じる上で「統合」は欠かせない。移民政策は外国人・移民の出入国を扱う出入国(immigration)政策と入国した外国人・移民の受け入れを推進する統合(integration)政策からなり、統合政策のアプローチとして同化主義と多文化主義がある。フランスは同化主義、英国は多文化主義といわれるが、実際には、教育や雇用、住宅など様々な分野の施策ごとに検討しなければ、あまり意味がないだろう。