むずむず

駄目なのだ。
我慢出来ないのだ。
“お手を触れないで下さい。”
と書いてあるじゃない。
やまちゃんは大人過ぎる位大人なんだから、そんなの十分わかっているよ。
ああ、でもでも・・・。
やまちゃんは、喫茶店など食べ物屋さんの店頭に（ガラスケースの外に）置かれている、食品のサンプルを見ると触りたくてたまらなくなるのだ。
今日もターミナル駅のレストラン街に行く機会があった。
スパゲティー、ピザ、ハニートースト、お好み焼き、握り寿司、カレー、ハンバーグ・・・
もう耐えられない！
素早く周囲を見渡して、チーズケーキに触ってみる。
・・・手を離した後に、見た目との乖離を反芻してみる。
むずむずが、治まる。
サンプルに触りたくてむずむずするようになったのは、ここ数年の事だと思う。
一体、どうしてこんな身体に？なってしまったのだろう。
わからない。
“やまちゃん、そんなに触りたければ、かっぱ橋に行けばいいのにね。”
かっぱ橋にも行ってみたが、かっぱ橋は、
“むずむず”
ではなく、
“うきうき”
だった。

もしすきなひととお食事に行って、すきなひとがサンプルをじっと見たらどうしよう。
もし隣にいるやまちゃんが、唐突にサンプルをぐにっと触ったら、すきなひとは変に思うよね。
１度・・・。
心ゆくまでサンプルを触ったら気がすむのかな。































やまちゃんは、外見は“堅気”だと思う。（多分ね）