裏やまちゃんchronicle

日常も非日常もまだまだ続きます。

耳障り

2005年04月30日 | miscellany
ある日の事である。 運転中にFMラジオのスイッチを入れるとトーク番組で、某芥川賞受賞作家がゲストだった。 名前は知っていたが、作品は読んだ事がなかった。 大して興味もなかったが、そのまま聞くともなしに聞いていると某作家が、 “ひとだんらく” と言ったので、 えぇー!“いちだんらく”だろ、おいおい! と、思わず突っ込んでしまった。 車を路肩に停めて、携帯電話のメール機能で、 “ひとだんらく” と入力 . . . 本文を読む

さくらって

2005年04月29日 | miscellany
やれやれ。 とりあえず、自分の住む街では、さくらは終わった。 今年も、何とか、無事にやり過ごした。 さくらは、あっという間に散ってしまうのがお似合いなのさ。 あんな賑やかな花にいつまでも咲いていられたら、精神が病むのさ。 だから、さくらを惜しむ気持ちなんか本当はこれっぽっちもないんだよ。 でも、本当は。 これからが本番である。 さくらの葉が狂ったように挑む。 梅雨までは、半目を閉じて見つか . . . 本文を読む

ホスト

2005年04月26日 | miscellany
10年来の友人A(女性)の最近のお気に入りは、ホストクラブ通いである。 自分も何度も誘われたが断り続けた。 今は環境が変わり、誘われる事もなくなった。 自分はこれから先も、接待などで自腹を切らなくても絶対に行く事はないだろう。 ホストに熱を上げる世の女性達を見下ろしている気持ちは全く、ない。 行きたい人は行けばいい、としか思っていない。 ただし、身を持ち崩すなよとだけは言いたい。 別に気取っている . . . 本文を読む

散歩

2005年04月25日 | miscellany
日曜日の、予定も約束も何もない、夕暮れ。 随分と陽が延び、空気も暖かくなった。 七分袖のカットソーとスカート、足元はサンダル。 コインケースと部屋の鍵だけ持って、目的もないままマンションのエレベーターを降りた。 引っ越して1ヶ月半近く経つが、駅近辺とマンションの往復が中心である。 そう言えば、マンションの近くって殆ど知らない。 大通りから一本入ったマンションの前の通りを、ふらふらと当てもなく歩き . . . 本文を読む

すきすきバイキングー北九州編

2005年04月24日 | food
出張の楽しみと言えば、 “ごはん、何食べようかな~。” である。 仕事先の場所にもよるのだが、どうしても時間制限があるため、空港やターミナル駅近辺に行く事が多い。 北九州地区に出張に行く機会がこの春から増えた。 生まれて初めて小倉駅で降りた。 駅に背を向ければ、モノレールが空中に伸びている。 自分は、この様な、近未来的な人工産物が大好きなのだ。 勿論、用もないのに試しに乗ってみた。 そして視線を . . . 本文を読む

水族館に連れていってよ

2005年04月23日 | miscellany
“水族館に連れて行ってよ。” 自分にとって特別な場所それは水族館。 水族館はね、本当の本当に、特別な人と行くの。 それまではひとりで行くの。 水族館が好き。 ほの暗い館内。 ひんやりとした空気。 そうかと思えば。 突き抜けた明るさのペンギンやイルカ・ショウ。 誰かと出会い、心にさざなみがおどるとき。 一息ついて。 そして。 その人と、水族館に行きたいか想像してみて。 湿り気のある手と手をつな . . . 本文を読む

SOHO

2005年04月21日 | “I”novel
毎日、帰りが遅い、絵に描いた様な堅気のサラリーマンをしている。 たまに早めに最寄の駅に着くと、大手のチェーン喫茶でコーヒー飲んでぼおっとして、やっぱり帰りが遅くなる。 焼け石に水程度でも、せめて歩こうと、遠回りして帰る事にした。 静まり返ったオフィス街を通り抜け、路地を入れば静かな居酒屋や割烹があるような通りを歩く。 人通りは少ないが、危険な感じの場所ではない、治安の良い場所である。 角を曲がると . . . 本文を読む

救われ、許し、許される

2005年04月19日 | miscellany
これで良かったのかな、が、 これで良かったのよ、に、 変わる瞬間。 この瞬間のために生きている。 そして私は許され、救われる。 夕暮れの、駅前のスクランブル交差点。 信号が青に変わるまでの、ひととき。 沢山の人、人、人。 大勢の中のその他1名の自分。 その時風が、自分の中を、確かに吹き抜けた。 信号が青に変わる。 流れにそって、歩き出す。 今、ここにいる意味がやっと理解出来た。 これで . . . 本文を読む

シーリングライト

2005年04月17日 | miscellany
天井はシーリングライト。 ベッドに仰向けになり、リモコンでライトを消すと。 天井に淡い蛍光色のグリーンの円盤が浮かびあがり、徐々に暗闇に移行していく。 今夜も。 “あの円盤に乗って、どこか別の星で目が覚めますように・・・。” そんな自分の願いは、薄れゆく淡い蛍光色のグリーンと一緒に、暗闇に塗りこめられていく。 本当はね。 いつだって、今、この瞬間だって、どこか別の星へいけるんだよ。 行きかたは? . . . 本文を読む

防犯カメラの女

2005年04月14日 | “I”novel
マンションの防犯カメラの監視員をしている。 ある超高層マンションの担当になって1年が過ぎた。 その女はある日を境に突然エレベーターに現れた。 毎夜深夜最上階のボタンを押す。 会社員だろうか。 コンビニの袋から無造作に食べ物を取り出す。 そして無表情のままある一点を見つめたまま黙々と食べる。 おにぎり、肉まん、菓子パン、チョコレート。 忙しいとは言えない僕は彼女の夜食をノートにつけたが直ぐに飽きて . . . 本文を読む