(有)山内牧場

青森県八戸市で競走馬生産をしている山内牧場の生産馬、繁殖牝馬、繋用種牡馬についてのブログです。

馬紹介~⑧キタノヤマンバ~

2007-11-20 13:20:15 | Weblog
繁殖牝馬4頭目はキタノヤマンバ。
父ピルサドスキー・母ミスグローリー(母父サクラユタカオー)。

2005年のJRAブリーズアップセールで取引された時は、半姉タムロチェリー(阪神JFGⅠ勝ち、小倉2歳SGⅢ勝ち)よりも評価が高かった。しかし、父ピルサドスキーの良くない部分が出て仕上がらず、540kgを超える大きな馬体も災いしてか、不出走のまま繁殖入りした。

以前、吉田照哉さん(社台の社長)と会合でちょっとお話した時に『ピルサド?競馬では強かったけどウチでは付けないよ、仕上がらないから。』とおっしゃっていたのを思い出しDBで調べたら社台では2頭しか付けてなかった。
個人的にもピルサドスキーは種牡馬としては不安があった。馬産の基本は父系のスピードを母系のスタミナが補いつつ、距離適性を伸ばして発展していくと思っている。ピルサドの祖父Danzigはスプリンター~マイラー、父Polish Precedentはマイル~中距離、ピルサドは中距離~クラシックディスタンス。ここから距離体系上、3000mクラスになるわけにはいかないから、ピルサドは苦戦すると思っていた。個人的には同じ印象の種牡馬としてラムタラ、テンビー、フレンチグローリー、ジェネラス、カーネギーなどがいる。こういう種牡馬は種牡馬として結果を出すことが(日本では)難しいと思っている。しかし、母父としては期待できる。父系のスピードを生かす、底力の意味でのスタミナの裏付けを与えてくれるからだ。
翻ってキタノヤマンバ。自身は不出走も、姉タムロチェリーがGⅠ勝ちという血統、馬自体のバランスはかなり良い。しかも曾祖母は愛1000ギニー勝ち馬、愛オークス2着のGaily。この牝馬の子孫からはピルサドスキー、ファインモーション、ロックドゥカンブなどが出ている。つまりキタノヤマンバは『Gailyの4×3』という名牝のクロスを固定して持つ、繁殖向きの牝馬だと言えそうだ。
2006年シーズンから繁殖入りし、初年度はカームを配合。しかし、ホルモンの分泌が止まらない体質で、途中で流産。ファインモーションも受胎しづらい体質らしく、このファミリーはそういう体質があるのかもしれない。母ミスグローリーは牝馬しか産まないし。
2007年もカームが配合され、今年は無事に受胎しているようだ。来年はシルヴァーチャームが付けられる予定。
馬格もあるし、血統的にも期待できるし、何より若い馬である。
競走生活で活躍できなかったぶん、母親として頑張れヤマンバ!