今朝の朝日新聞に「特定秘密法から考える」と題して
賛成派の東大教授Hさんと懐疑派と思われる法政大教授Sさんとの対談の記事があった。
賛成派のHさんの意見をまとめると次のようになる。
******************
①この法律は立憲主義の立場をとらない国家の侵略から日本の立憲制度を守るためにある。
②こういう法律は多くの先進国が持っているありふれた制度なので権力の暴走を心配するほどのものではない。
③しかし、どんな制度にもいえることだが、完璧な制度というのはありえないのでその都度見直していけばいいのではないか。
******************
まあ、言いたいことはよくわかる。
しかし、Sさんが出した懸念に真正面からキチンと向き合って話し合ってる気がしないんだよね。
たとえば、②なんかは「板前さんが包丁を持っていても心配しないが、こわもての人が持っていると恐ろしいですよね。」という例えに答えたものだけど
要は「まだ日本の国家権力に全面的な信頼は持てない」という主旨なのに、こういう答え方になっちゃうんだよね。
国家権力に対する不信とは、福島原発事故のときの情報の出し方や政官財の腐敗、官僚の不祥事等その原因はもろもろあるとは思うんだけど、
そこらへんは完全スルーで「確かに安倍政権は靖国参拝もするし、集団的自衛権も視野に入れて憲法改正等の議論も進めているのでここまで反発が出たんだろうけど、包丁の持ち主はいずれ変わるから心配しないでOK」と結論付けちゃうのっていうのは少々論点がずれすぎだと思うよ。
①に関しても、立憲制度っていうのはそもそも国家権力が国民のためより支配階級のために動くのを規制するために生まれた制度なので、「国民の判断材料である情報の公開規制」っていうのは、立憲制度に真逆な考え方のはずなんだ。
とくに沖縄返還に際しての密約が米国の情報公開で「ある」となったのに日本政府は未だにその存在を認めないでいるし、
とにかく、30年~50年くらいで区切って情報公開していっていればこれから少しずつ信頼も出てくるんじゃないかって思うんだけど、それもやろうとしない。
「僕等自身が丸腰なのに警官が銃を持っていても怖いとは感じないのは、法律を破らない限り警官が襲ってくることはないだろうという信頼があるからなんだ。」ということを思い浮かべて欲しい。
賛成派の人たちの意見は概して紋切り型で、前もって用意していた答えを唱えているだけのような気がして
何か正直に話したら都合の悪いことを隠してるような気がしてならないんだよね。
もっと正直になってくれたらいいのになあってつくづくそう思う。