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最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

『ヒトラーに盗られたうさぎ』-ヒトラーの姿もナチス親衛隊も出てこないが、スイスの山々やパリの街影からその恐ろしさを映し出す

2020-12-20 22:37:17 | 心に残る名画
    【 2020年12月13日 】      京都シネマ

 「ヒトラー・ナチス関連の映画を見てくる。』と言ったら、妻は「好きねー!」という呆れた顔をしてこちらを見る。確かに、【ヒトラー】・【ナチス】という字がタイトルにある映画はもちろん、内容からしてそれらしきものは、半分使命感のように見続けている。

 最近のヒトラー関連の映画は、一昔前のそれとは少し傾向が変わってきている。この映画で主人公の父親のアルトゥア役を演じたオリヴァー・マスッチがヒトラー役を演じた「帰ってきたヒトラー」や「顔のないヒトラーたち」が転機だったように思う。それまでの非人間的で残虐なナチスドイツの蛮行を画面の中で、《これでもか、これでもか》と残虐に描くのでなく、それを肯定するわけでもないが、別の角度から間接的に批判的にえがいたものが出てきたように思う。

 この映画も、鉤十字のバッジと、初めの方に「ヒトラー・ユーゲント」をまねたような少年が出てくるだけで、ヒトラー自身の姿や突撃隊や将校たちの暴力シーンも出てこない。

               
                    

 それはあたかも、国民の味方のような顔をして合法的な装いをこらし、その鋭い爪を隠しながら獲物に忍び寄るハンターのような静寂をまといながら、人々に襲いかかる恐怖を描き出している。

                                             

 それを察知した家族は、残って抵抗するか、国外に逃げるか悩むが、亡命を選択する。

                  
                      
 オーストリアからスイスへ逃れる家族。
      
                                     
          

 そこがいつまでも安全でないと悟ると、さらにパリへ逃れる。

         
                                                      

                  
                                                         


 パリがナチス・ドイツの手に落ちるのも時間の問題になると、いよいよドーバー海峡を渡る。   
                
          
                               


 スイスの雄大な景色や、パリの街の雰囲気、それにドーバーの白い壁の景色もよかったが、アンナ役の女の子が特によかった。幼くて子供らしく自然で、それでいてキュートでお転婆で機転が利いて、魅力的だった。

                 


 この映画を見るまで、こんな絵本作家がいたなんて知らなかった。実際の話だったという。
  
         
            【 原作の絵本 】        【 ヂュディス・カー 本人  --
                                      この映画の完成直前に亡くなったという 】


    
    『ヒトラーに盗られたうさぎ』-公式サイト





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