人が口を大きく開けるとき、口からは霊魂が出て行ってしまうと、かつての日本人は考えたようだ。
『枕草子』二八段、にくきもの→http://www.h3.dion.ne.jp/~urutora/makuranosousi.htm#28
原文「はなひて誦文する」とは、くしゃみをして呪文を唱える、の意味。
くしゃみとともに魂が出て行ってしまわないように呪文を唱えるのである(誦は訓読みでとなえる)
また、あくびや咳をするときに現在でも口に手をあてるのは、しないと単に無作法という訳ではなく、上記の考えの名残かもしれない。
現代使われる「命を吹き込む」という言葉からも、口から息を吹きこむことで、魂をも与えられるという観念が根底にあるということが分かる。
記紀神話の誓約の場面では、天照大神と須佐之男命も、それぞれ息吹を吹いて神々を誕生させているのをみると、口と魂の関係は大きい。
他にも「言霊」の観念もあげられるだろう。
言葉を発することである種の呪術的な効果を信じる考えはいまだ日本には残り続けている。
例として受験生には落ちる、すべるが、結婚式では別れる、割れるなどは忌み言葉としてはばかられている。
つまり、口にすることはそのまま世界に働きかける事になり、口からは言霊が発せられるのだ。
ところで、私たちは驚いたり、動揺したとき、「たまげた」「たまげる」という。
漢字で書くと「魂消る」
驚き動揺し、口をあけたとき、口から魂は出て行くのだ。
~参考~
『もののけⅠ』山内昶
ルーマニア秘境旅行2005(お気に入りショット)
http://park15.wakwak.com/~gvpapa/yano_2005/rum_2005.html
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