外国から日本にもたらされた植物を帰化植物というが、その中でも有史以前にもたらされたものを「史前帰化植物」と呼ぶ。
稲作の伝来とともに入ってきたものが多いので、田んぼや畑の雑草に多い。
代表的なのがナズナ、ヤエムグラ(下の写真)、スベリヒユ。
ナズナは、いわゆるペンペン草。春の七草に入っていて食べることができる。
地中深くまで根を伸ばすので畑ではやっかいものだが、よく目立つので減りつつある。。
ヤエムグラは、いわゆるヒッツキ虫。種が衣服や動物にに引っ付いて運ばれるため、昔はあちこちに生えていた。
近頃は子どもが外で遊ぶことが少なくなったし、ペットも室内で飼われるために、めっきり見なくなった。
残るスベリヒユこそ、田畑の中の最強の雑草なのである。
赤みをおびた葉と茎、四方八方に枝分かれして広がる姿から、我が地方では「タコ」と呼んでいる。
このタコは一株で25万個の種を付ける。引き抜いても一ケ月くらい枯れずにいる。
バラバラにしようものなら、それぞれから根をはやす。
実はこのタコ、代表的な「C4植物」なのである。
普通の植物は昼に気孔を開いてCo2(二酸化炭素)を取り込み光合成を行っているが、このタコは夜でも気孔を開いてCo2を取り込んでいる。
つまり、Co2を貯めこんでいるので、どんな悪条件にも耐える力を持っているのだ!
なんとも厄介なタコである。
なのだが・・・、朝ドラ『らんまん』の主人公の槙野万太郎の声がする。
「名もなき草というものはこの世にはないがや。人がその名前や能力を知らんだけじゃ!」
(。•́︿•̀。)
は、はい! 正直に申し上げて、虫に刺されたときや、ちょっとした傷に応急処置として、タコの茎を折って汁を塗っておりました ๐·°(৹˃ᗝ˂৹)°·๐
このタコは漢方にも利用されるし、民間薬として解毒や虫刺されに効用があるとされているのである(※使用は自己責任です!)。
その他、ヨーロッパや東北地方・沖縄では食用にされている。
やっかい者ではあるが、雑草もなにがしかの能力をもっているのだ!
雑草の如く紆余曲折、様々な困難を乗り越えて、ひたすら植物を愛し続けた朝ドラの主人公の万太郎のモデル、牧野富太郎の都々逸と(添え書き)。
草をしとね(褥=布団)に木の根を枕 花を恋して五十年
(五十年といえども、この恋はまだ醒めない)
歳をとっても、そんな恋をしたいものだ。
※『小学入門教授図解』小林鉄次郎 (教育図書館貴重資料デジタルコレクション)
※絵は竹久夢二、都々逸は『牧野富太郎自叙伝』より合成 (国会図書館デジタルより)