河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

畑151/ 88

2024年05月02日 | 菜園日誌

今日は「夏も近づく八十八夜♪」。
よくご存じの唱歌『茶つみ』だが、よくご存じでない二番の歌詞。
 ♪日和つづきの今日此の頃を 心のどかに摘みつつ歌ふ
 摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ 摘まにゃ日本の茶にならぬ♪
末広がりの八が二つ重なる八十八夜に摘んだお茶は、不老長寿の縁起物として好まれる。
縁起のいいのはお茶だけではない。
「八」「十」「八」の3つの字を組み合わせると「米」という字になるため、百姓にとっても大切な日だった。

この頃から田植えが、ぼちぼち始まる。
そのために、農水路をきれいにして、川の水を流す準備をする。
全国的に農水路を井手というようだが、我が村では井路(いじ)とよび、村中から人が集まり井路を掃除するのを「井路掘り」とよんでいる。
今はコンクリートで固められているが、昔は、文字通りに井路を掘っていたのだ。
今日は、その事前準備として役員と有志で水路脇の草刈り。

有志は希望で募られる。
昔は若い衆が大勢でやっていたのだろうが、今は70歳前後の高齢者が四、五人。
今年は、その中に百姓を引退しているマサオさんがやって来た。
「マサオさん、無理して草刈りをしてくれんでもよろしおますで!」
「いやいや、今日はワシの日やからやったるわ!」
「そない言うたかて、マサオさん、何歳ですねん?」
「八十八や!」
一時間半ほどで草刈りを終え、長生きしてやと、マサオさんと美味しいお茶を飲んだ。


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