河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

畑153 / 立夏

2024年05月05日 | 菜園日誌

山々に立ち込めた薄絹の朝霞が少しずつ晴れ渡る。
星の雫かと思うような露が草葉の上で朝陽に光る。
ここちよい風が胸を撫でると、露の玉が地に落ちて、鈴々と楽の音を奏でて土に入っていく。
なんともすがすがしい皐月の朝。
名も知らぬ野の草が風に揺れる。

現役時代は、五月の連休中も働いていた。
こんな爽やかな季節こそ、畑でのんびりと野良仕事がしたい。
それが理由で、定年前に仕事を辞めた。
どうせ70歳くらいまでしか生きないのだから、年金なんて早くもらう方がいい。
なんとも我がままだが、正解だったと思う。
蜜柑の花が満開。ほんのりとジャスミンのような甘美な香りがただよってくる。

16aある土地の3aほどで畑をしていたが、リタイアする前の年から畑を倍の6aにした。
残りは業者に委託して稲作をしてもらっている。
仕事を辞める時に、業者の社長に「米を作ろかなあ?」というと、「止めときなはれ、金がかかって、しんどいだけですわ」と言われた。
資金投資して1ヘクタール以上稲作して、やっととんとんだという。
田んぼと畑を区切る畔を「中畔」という。
仕事を辞めて畑を倍の広さにしたときに、除草のビニールを敷いたが、すっかりボロボロになったので綺麗に取り去った。
あの時は、まだまだ元気があった。

自分ちで米を作らなくても、田植えの時期になると田んぼと密接する畔は、きれいにするという暗黙の掟がある。
北の畔は、他所の田んぼと密接しているので念入りきれいにする。
田植えが終わると除草剤を散布できない。
だから、今のうちに徹底的に草抜き。
首筋に汗が流れる。
そういえば、仕事を辞めた年に、この畔の草抜きをしていて熱中症になったのを思い出した。
そろそろ、ますます、気をつけなくてはならない、立夏。


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