自分は自分である。他人は他人である。自分をもって他人を律してはならない。他人の権利、自由を重んぜねばならぬ。
他人は他人である。自分は自分である。自分は他人をして自分を検束せしめてはならない。自分には自分の権利と天職とがある。
自分は他人をして自分の本領を侵さしめてはならない。自分は自分が他人の権利、自由を尊重するがごとくに、他人をして自分の権利、自由を尊重せしめねばならぬ。
おのれ、人にせられんとする事は、また人にもそのごとくなせ(ルカ伝6:31) しかり、おのれ、人になす事は、また人をして、これを、おのれになさしめよ。自己を守るは他人を守るだけ、それだけ大切である。自己の本分を守るにあたって、自分は全然無抵抗主義者たることはできないのである。 (内村鑑三)
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