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音楽家 ヲノサトル のブログ

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

2009年02月26日 | 映画/映像


ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア




97年のドイツ映画なんだけど。佐々木アニキがふと貸してくれたDVDで初見。

いや楽しい。そもそもロード・ムービーってのが好きな性分もあるのだが。

不治の病にかかった中年男2人が「死ぬ前に海を見たい」それだけの理由で病院を脱走したところ、クルマ盗んだらそれがギャングの隠し金を積んだ車だった。やむなく2人は銀行強盗やら、心ならずも(と言いつつ、まるで悪戯小僧のように喜々として)悪事を働きながら逃避行を続ける…なんていかにもB級なシノプシスが、逆に楽しい。7~80年代の村川透監督映画を観ているようなデジャヴ感。

まあ心底青臭い映画ではある。「男の子」だったらわかるだろうこのノリ!と言いたげな演出。ストーリー的にはあちこち完全に破綻しているんだけど、それが許せる楽しい「映画的時間」が続く。映画館の暗闇に身を沈めて、ニヤニヤ苦笑しながら観るタイプの映画だろう。

個人的には、「es」や「ラン・ローラ・ラン」で存在感バリバリだったモーリッツ・ブライブトロイが、主人公たちを追うアラブ系ギャング(けっこう大ボケ)の役で出演しているのが嬉しい。

あと、なんとルトガー・ハウアーがここぞという所で出てきてビックリしたり。

+ + +

で、気分が盛り上がったので、同時に借りた『デトロイト・メタル・シティ』と『20世紀少年』も観ようとした。

けれど前者は、あまりにテレビ的というか「面白いでしょ?面白いでしょ?」とこちらの顔色を伺うような演技にぐったりして途中でリタイア。後者も、ドラマとしては良くできているんだろうけど、作っている世代が透けてみえるような「"昭和"へのこだわり」(ちょっと『三丁目の夕日』的な)が気にさわって、これも最後まで観られず。

『デトロイト…』は、クライマックスにジーン・シモンズ(本人)が出ていたという話を後で佐々木さんに聞いて、えーっそれだけは観ておけば良かった!と後悔したけど。

『ノッキング・オン・ヘブンズ・ドア』にしても、結局ものすごくB級というか、ローカルな話ではあるんだけど、ローカルさを売りにしてるわけではない。東京だろうとアラスカだろうと、どこに持っていってもリメイク可能なストーリーであり、その限りにおいて「普遍的な物語」であるのだ。

一方で日本の「ヒット映画」ってのは、大前提として「渋谷系とデスメタルの確執」とか「万博」とか、なんとも微妙なローカル情報を知っていなければ楽しめない物語であったりする。

もちろんそれが良い悪いって話ではないけれど。

この問題はちょっと複雑で。「じゃあグローバルに誰もが楽しめる映画が良い映画か?」と言えばそうとも言えない。ある民族に固有のローカルな問題だからこそ、映画としては面白くなるって事もしばしばあるし。

ただ、ローカルな話を知ってて当然という前提で無自覚に持ち出す姿勢(それをぼくはあえて『テレビ的』と呼ぶ)と、世界中の大多数にこれは伝わらないだろうという前提を持ちつつもローカルな話をなるべく多くの未知の観客に伝えようとする姿勢って、根本的に違うと思うのだ。

どちらかと言えばマイナーなドイツ映画と、日本では公開当時ガンガン宣伝されていた「メジャーな」映画を観比べて、そんな事を考えてしまった。あくまでも個人的な感想ではあるけれど。



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