ヲノサトル責任編集・渋東ジャーナル 改

音楽家 ヲノサトル のブログ

恐怖奇形人間

2009年02月03日 | 映画/映像

江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間



ポスターからして、ただごとではないのがおわかりでしょう。

長らく観たかった映画だが、日本では発売されていないので海外版を取り寄せた(英語の字幕はつくけれど、ふつうに日本語で観られます)。熱狂的なファンも多いようで、アマゾンのレビューALL CINEMAのコメントを読めば、だいたい内容は想像つくかと。

前半『ドグラ・マグラ』的な深層心理ミステリーふうに始まり、主人公が地方に旅だってからは『犬神家の一族』的な旧家の確執ものとなり、後半は『ドクター・モローの島』になってしまうというものすごい展開。終盤、とってつけたように明智小五郎が出てきて勝手に"謎解き"を始めるのも笑える。

そしてあまりに不条理なラスト!えーッ!こうくるか!?と呆然としてしまうという意味では、ホドロフスキー『エル・トポ』や中川信夫『地獄』なみの異常な展開(この2本についてもいずれ書きたいものだ)

この映画のハイライトはもちろん、最後のその"奇形人間の島"。

とりわけ奇形人間を作ってよろこぶ変態博士が、打ちつける波をバックに岩場でカクカクカクと面妖なダンスを踊りながら(ストーリーと無関係に)近寄ってくるカットは、観た者の記憶にトラウマとなって残るだろう。なにしろ、この気狂い博士を演じるのは舞踏の第一人者 土方巽その人なのである!

続いて白塗りの暗黒舞踏団ご一同様がクニャクニャと踊り這いつくばりながら砂丘に姿を表すシーンも、『エル・トポ』のフリークスたちの行進に匹敵する名場面。

その後も死体にたかる蟹を食う女とかサイケな金粉ショーとかシャム双生児とか人間椅子とか廃人小屋とかクレージー(しかもかなりチープ)な描写の数々が観る者を心底バッドな気分にさせてくれる。観るなら絶対、真夜中。




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