キューポラのある街
1962年 浦山桐郎 監督
さて今日の『映像論』は、先週の『ニッポン無責任時代』と同年に公開されたこの作品。
あちらが高度経済成長時代の躁状態で楽天的な「光」の世界を描いた映画だとすれば、こちらはその「影」を描いた映画。1950-60年代、産業構造の変化に伴って日本に初めて出現したホワイトカラー層を描いたのがあちらだとすれば、その経済成長を裏で支えたブルーカラー層の生 . . . 本文を読む
ニッポン無責任時代
1962年 古沢憲吾 監督
前にもちょっとふれましたが。今日の多摩美『映像論B』は、東宝クレージー路線の第1作にしてC調娯楽映画の金字塔!無責任世代のバイブルたる本作。
主人公・平均(たいらひとし)が口八丁のデタラメで就職に成功し、出世し、女にもモテまくってしまう…というだけの、それこそ能天気なストーリー。
しかし何度みても主人公を演ずる植木等の"C調フレーズ"には . . . 本文を読む
さあ始まった!今シーズンの『映像論B』。
講義のまとめというか補足というか、扱った映画についてもう1度言っておきたい事を記しておこうと思います。
野良犬
1949年 黒澤明 監督
終戦わずか4年後の東京。バスの車内で拳銃をスられた新米刑事。必死の捜索の最中、ついにその銃を使った犯罪が起きてしまう…
物語の前半は、復員兵に変装した刑事が焼け跡の街に潜入し、炎天下を必死で探しまわる様子が延々 . . . 本文を読む
スラムドッグ$ミリオネア
2008度のアカデミー賞8部門(作品賞/監督賞/脚色賞/撮影賞/作曲賞/歌曲賞/音響賞/編集賞)を独占した超話題作!
賞の中で個人的にいちばん納得できるのは撮影賞と編集賞。インドのスラム街を、子ども目線で疾走する路地裏から、スケール大きな空撮の俯瞰まで、猥雑に、同時にカラフルかつ詩情豊かに撮りあげた、映像美。そして過去と現在の時間軸を行き来しながら最後まで観客の . . . 本文を読む
映画は映画だ
映画史には「映画作りの現場を舞台にした映画」という系譜がある。
ぱっと思いつくだけでも『グッドモーニング・バビロン!』『ニッケル・オデオン』『雨に唄えば』『アメリカの夜』『インテルビスタ』『蒲田行進曲』『ザ・カンヌ・プレイヤー』『西洋鏡 映画の夜明け』…いずれも大好きな映画たちだ。
本作もまた、タイトルからもわかる通りの「映画作りの映画」ということで、封切り前から気になって . . . 本文を読む
もうすぐ新学期が始まる。多摩美の『映像論』講義で、1945~1999年の…つまりいわゆる『戦後』の、日本映画を15本ぐらい連続して観るプログラムを計画しているので、ここのところ古い日本映画をチェックし続けている。
昨夜は、前回けっこう気に入った横浜のホテルに息子と投宿したのだが、夜半にふと目がさめたので、持参のMacBookProで『ニッポン無責任時代』を鑑賞。
だんだん明るくなる横浜 . . . 本文を読む
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
97年のドイツ映画なんだけど。佐々木アニキがふと貸してくれたDVDで初見。
いや楽しい。そもそもロード・ムービーってのが好きな性分もあるのだが。
不治の病にかかった中年男2人が「死ぬ前に海を見たい」それだけの理由で病院を脱走したところ、クルマ盗んだらそれがギャングの隠し金を積んだ車だった。やむなく2人は銀行強盗やら、心ならずも(と言いつつ、まるで悪戯 . . . 本文を読む
片腕マシンガール
公開時ぜったい観たいと思ってたのに、レイトショーしかやってなくて観そびれた。さすがに、ベビーシッターさんに子ども預けてまで観るのははばかられる映画かな、と…。
しかし、ついにDVDが出た。
さっそく購入。
レトロなブリキの容器に入れた豪華装丁が嬉しい。
いやー素晴らしかった。
全編ゲラゲラ笑いながら観てしまった。
これほど爽やかなスプラッター映画がかつてあっただろうか . . . 本文を読む
007シリーズ最新作
「慰めの報酬」
とりあえず邦題が良いね。原題 "Quantum of Solace"(直訳すれば『慰めの総量』?)とは微妙に違うようだけど『クオンタム・オブ・ソラス』なんてタイトルにされるより、ずっと良い。
ここんとこずっと『トゥモロー・ネバー・ダイ』とか『ワールド・イズ・ノット・イナフ』とか、僕の嫌いな「カタカナそのまんま」タイトルだったけど(『カジノ・ロワイヤル』は . . . 本文を読む
江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間
ポスターからして、ただごとではないのがおわかりでしょう。
長らく観たかった映画だが、日本では発売されていないので海外版を取り寄せた(英語の字幕はつくけれど、ふつうに日本語で観られます)。熱狂的なファンも多いようで、アマゾンのレビューやALL CINEMAのコメントを読めば、だいたい内容は想像つくかと。
前半『ドグラ・マグラ』的な深層心理ミステリーふうに始ま . . . 本文を読む
息子と散歩がてら恵比寿アトレまでDVDを探しに行く。
2歳頃からヘビーローテーションしてきた『カーズ』のDVDがついに観られなくなったので(息子は気に入るとずーっとそればかり毎日観るので、すぐ劣化してエラーが出てしまうのだ)TEA FOR TWO RECORDSにて再購入。
しかし、この映画って完全に大人向けの話ですね。同じピクサーの『トイ・ストーリー』と同様、「古き良きアメリカ」へのノ . . . 本文を読む
注文していたビデオが届いた。ずっと前から探していたが日本では未発売のため、アメリカ版のVHSを入手してみた(DVD化はされていない) 1942年のミュージカル映画 『ICELAND』。
ストーリーは1行で書けるほど単純。
「若くハンサムなアメリカ軍人が駐留先の現地女性と恋に落ちる話」
要するに、南太平洋だの極東だのアフリカだのといった「未開の地」に赴いた文明人(=アメリカ人)の主人公が「 . . . 本文を読む
CMというビッグバジェットのビジネスだからこそ可能な「大人が集まって大マジメに遊ぶ面白さ」については前にも書きましたが、またまたそんなタイプのCMを発見。過去の物のようですが、これまたずいぶん大がかりにバカやってます。
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「バーン!」「やられたッ!」「ズガガガ」「バキューン」「おまえ当たっただろ」「当たってないもーん」…なんて、やりましたよね子どもの頃、 . . . 本文を読む
グラインド・ハウス第2弾=完結編の『プラネット・テラー』観てまいりました。1人でレイトショーに行くという、この映画の鑑賞法として最もふさわしいパターンで。
『プラネット・テラー』
(2007 ロバート・ロドリゲス監督)
これを観たらタランティーノの作風が知的に思えてきた。というぐらいだから、どれほど馬鹿度の高い映画か、推して知るべし!
まあロドリゲス映画に関しては、『デスペラード』冒 . . . 本文を読む
というわけで『デス・プルーフ』観てきました。
デス・プルーフ
(2007 クエンティン・タランティーノ監督)
やっぱタランティーノ最高!ゲラゲラ笑ってしまった。間違いなく今年の、いや俺史歴代「エンドタイトル出た瞬間に拍手したくなる映画」グランプリ決定。
「えーッ?こういう展開になるかーッッッ」と叫びたくなる異常&ハイテンションな展開は『発狂する唇』並みの馬鹿度の高さに思えたが、構造 . . . 本文を読む