再び嘘のように静まり返った中、暫し呆然としていたアンドレスだったが、はたと我に返ると、己の方を一心に見上げている兵たちの方に急いで向き直った。
そして、呼吸を整えると、声音を統制して、噛み締めるように続けていく。
「皇帝陛下は、これからも我がインカ軍の総指揮を執っていかれる!!
英国艦隊が来ようが、何が来ようが、トゥパク・アマル様がおられるんだ!!
何を恐れることがあろうか!!」
おお…―――皇帝陛下が…!!――兵たちの間から、深い深い安堵と感嘆の声が漏れる。
兵たちは夢中で丘の傍まで走り寄ると、懸命にアンドレスを見上げた。
「アンドレス様、本当なのですか?!」
「トゥパク・アマル様は、今も、ご無事なのですか?!」
アンドレスは、深く、俊敏に、頷き返した。
「ああ!!
トゥパク・アマル様は、まぎれもなく、ご無事で、自由の身になっていらっしゃる!!
トゥパク・アマル様だけでなく、ミカエラ様も、皇子様たちも、牢を抜けてご無事だ!!」
「おお…――そのようなことが……!!」
筋骨逞しい体を震わせて男泣きに濡れている兵たちを眼前にして、アンドレスも激しく胸に迫り来る熱い思いに突き上げられ、目元に涙を滲ませた。
そして、いよいよトゥパク・アマルとの再会を目前にしている現実に、強度の歓喜と興奮を覚えて身震いする。
【登場人物のご紹介】
≪トゥパク・アマル≫
反乱の中心に立つ、インカ軍(反乱軍)の総指揮官。
インカ皇帝末裔であり、植民地下にありながらも、民からは「インカ(皇帝)」と称され、敬愛される。
インカ帝国征服直後に、スペイン王により処刑されたインカ皇帝フェリペ・トゥパク・アマル(トゥパク・アマル1世)から数えて6代目にあたる、インカ皇帝の直系の子孫。
「トゥパク・アマル」とは、インカのケチュア語で「(高貴なる)炎の竜」の意味。
清廉高潔な人物。漆黒長髪の精悍な美男子(史実どおり)。
≪アンドレス≫
トゥパク・アマル(インカ皇帝末裔で反乱軍総指揮官)の甥で、インカ皇族の青年(18歳)。
若くして剣術の達人であり、4万の軍勢を率いるインカ軍最年少の連隊将。
スペイン人神父の父とインカ皇族の母との間に生まれた。混血の美青年(史実どおり)。
隣国ラ・プラタ副王領に遠征していたが、現在、ペルー副王領に帰還の進軍中。
そして、呼吸を整えると、声音を統制して、噛み締めるように続けていく。
「皇帝陛下は、これからも我がインカ軍の総指揮を執っていかれる!!
英国艦隊が来ようが、何が来ようが、トゥパク・アマル様がおられるんだ!!
何を恐れることがあろうか!!」
おお…―――皇帝陛下が…!!――兵たちの間から、深い深い安堵と感嘆の声が漏れる。
兵たちは夢中で丘の傍まで走り寄ると、懸命にアンドレスを見上げた。
「アンドレス様、本当なのですか?!」
「トゥパク・アマル様は、今も、ご無事なのですか?!」
アンドレスは、深く、俊敏に、頷き返した。
「ああ!!
トゥパク・アマル様は、まぎれもなく、ご無事で、自由の身になっていらっしゃる!!
トゥパク・アマル様だけでなく、ミカエラ様も、皇子様たちも、牢を抜けてご無事だ!!」
「おお…――そのようなことが……!!」
筋骨逞しい体を震わせて男泣きに濡れている兵たちを眼前にして、アンドレスも激しく胸に迫り来る熱い思いに突き上げられ、目元に涙を滲ませた。
そして、いよいよトゥパク・アマルとの再会を目前にしている現実に、強度の歓喜と興奮を覚えて身震いする。
【登場人物のご紹介】
≪トゥパク・アマル≫
反乱の中心に立つ、インカ軍(反乱軍)の総指揮官。
インカ皇帝末裔であり、植民地下にありながらも、民からは「インカ(皇帝)」と称され、敬愛される。
インカ帝国征服直後に、スペイン王により処刑されたインカ皇帝フェリペ・トゥパク・アマル(トゥパク・アマル1世)から数えて6代目にあたる、インカ皇帝の直系の子孫。
「トゥパク・アマル」とは、インカのケチュア語で「(高貴なる)炎の竜」の意味。
清廉高潔な人物。漆黒長髪の精悍な美男子(史実どおり)。
≪アンドレス≫
トゥパク・アマル(インカ皇帝末裔で反乱軍総指揮官)の甥で、インカ皇族の青年(18歳)。
若くして剣術の達人であり、4万の軍勢を率いるインカ軍最年少の連隊将。
スペイン人神父の父とインカ皇族の母との間に生まれた。混血の美青年(史実どおり)。
隣国ラ・プラタ副王領に遠征していたが、現在、ペルー副王領に帰還の進軍中。
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