さらりーまん専科

サラリーマンの生活で気になった情景

国会にも大ウソをつく経産省。東電の「電力足りない」がまたバレた。

2011-07-26 14:52:31 | Weblog
本日の新聞各紙の違いが面白い。電力不足に対して各紙のスタンスが如実に現れている。

まず、産業界に基盤をよりどころとする日経新聞は「電力5社2兆円燃料増」と原発停止で電力会社は経営的に大変だと1面で騒いでいる。

同じく朝日新聞も原発が再稼働しなければ「電力不足 5年先も」と原発ないと電力足りないよキャンペーンのお先棒を担いでいる。さらに、電力各社の電力需要と供給力を今年、来年、3~5年先のケースを見ているのだが、これが、朝日新聞の独自試算と断っているがほぼ電力会社の発表数字をそのままのせているだけ。ただ、朝日の試算でも、まったく問題のない電力会社としてて中部電力、北海道電力、北陸電力を挙げている。           

毎日新聞はスタンスを違えている。 電力各社は揚水発電を2割も過少評価して見積もっている。東京電力は最も最初は揚水発電をまったく隠していた。だが、『週刊ポスト』のスクープなどで1050万kwの揚水発電を経産省とグルになって隠していたことが発覚した。その後、650万kwの揚水発電があることを明かしたが、まだ、残りを隠したまま。昨日の毎日の記事でも揚水発電の能力は1050万kw。しかし、供給量は700万kwとしたままだ。

この毎日新聞の記事は、社民党の福島みずほ党首が国会で質問、経産省がズルズルと公表をためらって、ようやく出してきたものを基本としているようだ。福島みずほさんのブログの各電力会社管内の需給見通し参照 経産省・各電力会社は公表を散々隠して、福島氏の追求にイヤイヤ出してきた数字だが、そこでも大きなウソをついているのだ。ましてや、各社の電力供給能力もすべてを出しているわけではない。各社が発表した今年の夏の供給力に合わせた辻褄合わせの数字を出してきただけのようだ。

原発の稼働をめぐっても菅首相と海江田経産相の対立があったが、電力需給情報開示でもその対立は深刻化していると本日の毎日新聞は報じている。首相が経産省に対して「埋蔵電力の数字を出せ」と指示したのに対して松永事務次官は160万kwの自家発電の余剰しかないと報告。菅首相がさらに詳細なデータを求めたことが明らかにされているが、海江田経産大臣はあまりにも経産省官僚の言い分だけを聞いているようだ。経産省は電力会社とグルになって本当の数字を隠している。

そもそも、松永経産事務次官はこの時点でウソを言っている。要は、電力各社の供給力に、自家発電から購入する他社受電を含めているのかいないのか。これが、電力各社でバラバラ。自社発表で公表しているのは中国電力のみだ。さらに、揚力発電は東電が当初すべて隠していたように、含まれているのかどうか分からない。

毎日新聞の記事では自家発電は全国3200万カ所で計約5400万kwあるが、既に売電や自家用に使っているので上積みが難しいというが、昨年の他社受電の実績の8月分を見ると(資源エネルギー庁統計表一覧の22年度の2-(3)最大3日平均電力の項目にあり)なんと、3016万kwとなっているのだ。経産省はこの数字を丸々隠している。また、揚力発電も最初はゼロ提示。東電は650万kwを出してきたが、それでもまだ2割を隠していたというわけだ。

経産省はこれらの電力量を知っている。だが、公表はしていなかった。電力会社も自家発電のみ供給力を発表して本当の供給能力は公表してなかった。だが、電力不足のウソがバレて、震災から時間がたつにつれ徐々に公表。この落差を菅首相は「埋蔵電力」として公表しろと言っているのに過ぎない。それを経産省は自分は知っているので、埋蔵電力とは認識していないので、表向きはないというしかないのだ。                             

経産省は原発維持の頭が最初にあるから「電力足らないキャンペーン」を推進。国民をミスリードするための情報隠しをしていた。揚力発電の出力をすべて隠していことは、資源エネルギー庁の担当者が週刊ポストの取材で明らかにしている。                  

そして他社受電の数字。これこそが、ゴマシカのマジックのような数字だ。要は、この場合電力会社は発送電一体ではなく、単に、送電線を貸す役割になってしまい、表沙汰にはしたくない部分のようだ。これは、『週刊朝日』の連載「原発破局を阻止せよ」で広瀬隆氏が明らかにしたことだが、この他社受電を、電力会社は安く買い、われわれ利用者に高く売っているのだ。これはこれで問題だが、電力会社はこの自分で発電していない部分の割合が高くなると、事実上、自分たちが発送電分離の方向へ動いていることになり、電力の独占供給の体制に穴が空くことを恐れ契約を減らしているのではないかと広瀬氏は看破している。(『週刊朝日』2011年の7月1日号) 
                                 
また、当ブログでも紹介したが、馬淵澄夫前首相補佐官がこう言っていることで明らかだ。「電力需給が本当に逼迫するかは、きちんと計算すべきだ。経済産業省の数字には供給電力に揚水発電が入っていない。自家発電、いわゆる埋蔵電力も計算外だ。それらを10%使えば、需給はバランスさせられる。」 

極めて、単純な話だ。

そして、時間稼ぎをして、隠して隠して、ついに出してきた経産省の電力各社の数字はこの揚水発電と自家発電も出して来たのだが、全体像で数字の辻褄合わせの大ウソがある。

経産省が新たに出してきた「東京電力の電源設備」(平成23年7月現在)を見てみよう。
原子力 249万kw
火力 3722万kw
水力 308万kw
揚力 700
その他 491

で、合計 5470万kwが今年8月の供給力であるとしている。
これは、7月1日東京電力が「今年夏の需給見通しと対策について」(第4報)と発表を重ねるごとに徐々に供給力を増やしてきて、この日5540万kwの供給力を発表したがその数字に近いものだ。

だが、これでも揚水を350万kw隠しており、その他の他社受電などの部分を491万kwとしているが、これは、昨年8月の他社受電の実績1053万kwの半分以下だ。これを足し算すると6067万kwとの供給力となるのだ。8月の電力ピーク5500予測でも供給予備率は10%を超えるのだ。電力使用制限令がいかにでたらめな「電力足りないキャンペーン」の一環として行われたのかを示す。計画停電と同じ、東電・経産省のコンビに騙されたのと同じだ。計画停電では信号がつかなくて死者が出たことを考えれば東電と経産省のウソの罪はあまりにも大きい。

東京電力のデータ隠しは子どもじみている。自社のホームページから過去の電力需給実績などのデータをすべて消去。電力が足りないキャンペーンを覆す数字を分からなくした。だが、株主向けIR情報までは消去できなくて、昨年のエネルギー別発電設備出力を見ることが出来る。東京電力のホームページからIR資料室へ行く。その資料室の中の数表でみる東京電力の「電力供給設備」の28頁の図表。

ここを見ると自社設備と他社受電の出力がよく分かる。21年度を見れば東京電力の自社設備出力は6448万kwだ。ちなみに、他社受電を含むとこれが7769万kwに膨れ上がる。この図表では揚水発電は確かに他社受電を含むと1053万kwある。他社受電を含むと水力1463万kw。火力4486万kw。と原子力が全滅しても5949万kwの出力を持っていることになる。原発がなくても東電は供給予備力8%と十分な供給力を持つことになる。夏場のピークの2日ほどを念のため節電すればいいのだろう。

ともあれ、福島氏の質問で国会に出した経済産業省の各電力の数字は各社が今年の夏に向けて発表した「電力需給について」の数字に合わせた、揚水発電や、他社受電の数字を加えて、自社供給力を大幅に削った数字を出してきたようだ。福島氏も今回の数値はわざと低く設定していると見抜き、実際の数字を今後も追及していくとしている。

もっとも、福島氏の質問で経産省は各社の緊急時調整契約も出してきた。各社とも、いざの時はこの電力も期待できるようだ。こうした数字をこれまで隠して、経済産業省は海江田大臣を騙し、国民を騙し、国会を騙し、つまりは、ウソ発表に合わせただけの辻褄合わせの数字を出し続けている。

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ソーラーカーはうれしいね。 


1 コメント

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ありがとう! (mtur)
2011-12-29 11:36:55

この文章をよんで、とてもわかりました。
今まではニュースを見ていても、ほとんどわかりませんでしたけど・・・。
ありがとう!!
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