天皇陛下の退位日程が決まり、きょう12月2日の各紙は、かねてから準備して来た退位特集記事で埋め尽くされている。
それらをよく読み比べて見たが、いずれも目新しいものはない。
それらの記事に共通するものは、あのお言葉で一気に進んだ今回の退位の特殊性であり、退位をめぐる官邸と宮内庁の対立であり、新天皇に引き継がれる象徴天皇のありかたを含め、国民的議論が必要な事が多い、ということである。
いずれも重要な意味を持つものばかりであるが、すでにこれまで折に触れ書かれてきたものである。
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そのような中で、私は東京新聞のわずか数行の記事に注目した。
それは、中国外務省の副報道局長が天皇の退位日程が決定したことについてわざわざ語ったという、北京発の記事だ。
天皇退位の日程が決まったことについて、すかさず中国外務省が意見を述べたことに私は注目したが、その言葉の内容について、もっと注目した。
すなわち副報道局長は次のように語ったという。
「天皇は1992年に訪中し、中国の党や国家指導者と何度も会談し、中日関係発展のために積極的な貢献を果たしてきた」と。
驚くべき政治的コメントだ。
それは、裏を返せば、これ以上ない、安倍首相の対中国政策に対する批判である。
安倍首相はこの中国外務省のコメントに反発するのではなく、自らの不明を恥じて、謙虚に受けとめるべきである(了)