goo blog サービス終了のお知らせ 

言わなければならない事は言わないと前には進まない

生活する中において言わなければならない事や、他の記事で共感したことなどを中心に。今その時の思いを表す。

またしても選挙公約に翻弄されるか。裏切るのは得意だからな。ー日本農業新聞論説記事

2014-08-18 20:15:59 | 言いたいことは何だ
地方重視の本気度 選挙対策より百年の計 (2014/8/18)





iframe.twitter-share-button { width: 95px!important;}
 安倍政権が、来春の統一地方選を意識してか、地方重視の姿勢を鮮明にしている。次の成長戦略の柱に「ローカル・アベノミクス」を掲げ、人口減少対策、地域活性化など「地方創生」に取り組むという。予算、体制も手当する構えだが、単に選挙目当てでは意味がない。環太平洋連携協定(TPP)やJA改革など、地域振興に逆行する政策とも整合性が取れない。国家戦略として、現場起点で地方再生百年の計を作るべきだ。

 安倍晋三首相は自らが本部長となって来月「まち・ひと・しごと創生本部」を発足させ、改造人事で担当相も置く考えだ。同本部を人口減対策の司令塔と位置付け、地方の雇用創出、子育て環境の整備などに取り組む。2015年度予算でも地方活性化分野に重点配分する。

 地方重視の背景には、人口急減社会による国力の低下と東京一極集中に伴う地方の衰退がある。40年までに市町村の半数が消滅する可能性があるという、増田寛也元総務相らの試算も危機感に拍車を掛けた。加えて、安倍政権の経済政策、成長戦略に陰りが見え始め、その恩恵が地方に届いていない現実がある。知事選の苦戦に続き、統一地方選で負ければ、政権運営は一気に厳しさを増す。

 政治的思惑は別に、地方の再生は国家的課題である。全国知事会が先月、「少子化非常事態宣言」を出し、政府に総合対策を求めたのも危機感の表れだ。非常時の対応を誤れば、むしろ衰退は早まる。選挙対策のバラマキなど論外だ。かつて竹下内閣時に「ふるさと創生」で自治体に1億円を交付したような愚は繰り返すべきでないし、その財政的余裕もない。

 政府が人口減の不安をあおり、農村不要論につなげることも危ぶまれる。地域政策に「選択と集中」を取り入れ、中核都市に政策や予算を集中させ、小規模自治体を集約する考え方が今や主流だ。その先に「道州制」「移民活用」も見え隠れする。

 地方問題の核心は、人口流出を食い止めることに尽きる。若者の就労確保、結婚・子育て支援、地方大学と地元企業の連携、高齢者の就労促進、親から子への資産移転のための税制など、国と地方が連携し目標を決め政策を総動員すべきだ。日本農業新聞でも、地域資源を生かした風土産業で復活した集落を多く紹介している。島根県中山間地域研究センターの藤山浩研究統括監は「問われているのは農山村の暮らしを持続可能なものにすることだ」と指摘する。

 田園回帰の光明もある。内閣府の調査では、都市部に住む成人の32%が農山漁村への定住願望があり、20代は4割近くに上る。12年の農業新規参入者は3000人で前年より43%も増えた。農村の再生なくして、この国に未来はない。効率と淘汰(とうた)ではなく、個性ある多様な町や村が共存できる国へ。しなやかで持続可能な列島の将来像を描く時が来ている。