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女占い師

2011-05-21 | 作品

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女占い師【ジョルジュ・ド・ラ・トゥール】 女占い師 作品
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女占い師    Diseuse de bonne aventure

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
制作      (1632-1635年頃)

カンバス   102×123cm
メディウム 油彩
所蔵 メトロポリタン美術館

 

 

作家・絵画 評論の御紹介 

フランス古典主義を代表する巨匠ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの代表作『女占い師』。本作に描かれるのは、白帽子を被った老婆の女占い師が若い男を占う風俗的主題で、この主題はバロック絵画の巨匠カラヴァッジョを始めとし、数多くの画家が手がけている。この白帽子を被った老婆がコインを用いて若い男の未来を占っているが、若い男の周りではジプシー女たちが男の持ち物を窃盗している。老婆と男の間のジプシー女は、男の顔色を窺いながら手元では男が身に着ける金鎖を切っており、また男の背後のジプシー女らは、今まさに男の財布を盗まんと手を伸ばしている。本作では登場人物の全てがほぼ垂直に配され、対象の形体や筆触にやや発達途上な部分が見られるものの、高度な写実描写による浮き彫り的な力強い表現は、観る者を圧倒するだけでなく、本場面へと誘うかのように強く惹きつける。ラ・トゥールの作品としては例外的な昼の情景が描かれている点や、登場人物が纏う衣服などの時代考証が合わない点、他に類似のない署名などから過去には真贋が幾度も問われてきたものの、現在では真作であるとする説でほぼ占められる本作は、その来歴も不明な点が多く、1949年に本作を狙っていたルーヴル美術館が取得できず、画商ウィルデンスタインが取得し国外へ持ち出した為、その許可を与えた当時の文化相アンドレ・マルローが下院議会で、釈明しなければならない事態へと発展した。なお本作はおそらくは騙される若い男を中心として描かれたものであり、後年、どこかの時代で左側部分が約30センチ前後切断されたと推測されているほか、上部を約6センチ程加筆されていることが判明している。

関連:カラヴァッジョ作 『女占い師(ジプシー女)』
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール-主要作品の解説と画像 )

 

 

作家・絵画 評論の御紹介

フランス古典主義画家。生前には著名な画家であったが、死後長く忘れらていた。1915年になってドイツの美術史家ヘルマン・フォスが論文を発表しようやく再評価された。
フランス絵画史における、最も謎めいた画家と言われる。彼は生涯で400点ほどの絵 を描いたが、30年戦争で多くが焼失してしまった。現存するものは、僅か40数枚。
ろうそくを光源とした「夜の情景」 と、明るい光のもとで描かれた世俗的な「昼の情景」の、二種類のタイプの絵がある。

ラ・トゥールは違うタイプの絵を描く。きらびやかな装飾品を、嬉々として描いてるし、「いかさま師」のなかの胡散臭い 人間たちが、いちばんいききして光彩を放っている。だからとって敬虔な「夜」の絵が嘘だとは」思えない。
「夜」に 描かれている清らかさは人の心を打つ。
だから、「昼」も「夜」も、どちらも本物。昼が現実、夜が理想。その二つの顔 を併せ持つんがラ・トゥールの人間。つまり人間には二面性があるということ。虚と実。表と裏。光と闇。ラ・トゥール自 身がふたつの極を行ったり来たりしているような人物。
ろうそくを光源とした「夜の情景」 は清謐な宗教的世界を築いている
美術ミステリー42 )

 

 

 

 

 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 1593 ~ 1652
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