五輪真弓 / 空
長男から電話が入った。
「母さん! おめでとうございます。」
「???」ハテナ・・
(一瞬、何がめでたいの? ・・・・と無言の私。)
「あれ! 忘れていたの! ! 今日は28日ですよ、母さんの誕生日でしょ!」
(ああ、そうなの、すっかり忘れていたわ・・・今の私にはそんな心の余裕は
なかったもの。姉の終の棲家になる施設を今度こそは間違わないで探すことで頭は満杯状態だったから・・)
「有難う!
とうとう、80歳に大手をかける年になってしまったわね」
「母さんはまだまだ大丈夫ですよ! ! 元気でいてください。」
(毎年同じセリフを言う息子)
それから暫し、今年の春に逝ってしまった息子の次女享年28歳の話になり
私は目出度い日なのに泣いた。
泣いて泣いて泣き明かしていた息子が泣かなかったことに、泣きながら
安堵した私でした。
やっと、真っ暗闇のトンネルから抜け出てくれた息子よ、それだけでも、
君を親孝行と思いましょう。
一番のプレゼントだったよ! 泣き虫パパ!
いつか、あの雲へ・・・