FM音源音色の改造方法を学ぶ前にもう1つ先にやっておきたいことがありました。
それは、FM音源でのパーカッション系音色の扱い方です。
PC-88プリセット音色データベースのサイト(https://tanukineiritei.mydns.jp/FMtoneFront/)でもパーカッション系の音色が提供されていますが、これらをより効果的に使用する方法を先に学びましょう。
パーカッション系の音色と言うと、代表的なのがやっぱりドラム音色ですよね。
バスドラム、スネアドラム、ハイハット、シンバル、タム。このあたりがまずは一般的によく使われる音色。
そして、それ以外の打楽器や効果音系(カウベルだったり、ホイッスルだったり)と、曲によって使用することでより表現豊かになる音色。
に分かれると思います。(個人的に分別しちゃってますけど)
これらの音色はそのまま扱っても、それっぽい音は出ますが、LFOと組み合わせることでより本物に近づけることができます。
■ドラム系の場合
例えば、バスドラム。
バスドラムと言っても色々な種類がありますね。
擬音にすると「ドンドン」っていう表現が普通ですけど、「ドッドッ」というタイトな音だったり、「ドゥンドゥン」という重く沈み込む音だったり。
バスドラムが曲全体のビート感と言いますか、雰囲気を表現する役割を担っていると言っても過言ではないと思います。
「ドッドッ」って音は、音色単体でも出せますね。以下のサンプル1で確認してみましょう。
'{ PartFM4=X1-X3 'X1 T140 'X123 l8 D 0 ★FMドラムセット ■バスドラム ■スネアドラム ■ハイハット
'@ F 98 '@ F 99 '@ F 100 |
じゃあ、次に「ドゥンドゥン」という音はどうやって出すのでしょう?
感の良い人なら分かったかもしれませんが、音程を素早く下げれば良いですよね。(要はピッチベンドを下げる)
ただ、ピッチベンドコマンドでは扱いにくいので、LFOでビブラートのワンショットを組み合わせることで簡単に実現できます。
ワンショットとは、徐々に上げて上限に達すると一定になる波形ですね。(またはその逆)
応用編では、音量にワンショットのLFOを掛けるという「トレモロ編」で説明しました。
音量が徐々に上がって、上限に達するとその音量で一定になるといった感じです。
今回はビブラートのLFOにおいて音程を下限へ下げていくワンショットを使います。
これで「音程を一気に下げる」ことで、ピッチベンドと同じ効果が得られるわけです。
実際にサンプル2を鳴らして確認してみましょう。
'{ PartFM4=X1-X3 'X1 T140 'X1 l8 D 0 MPV 0,1,-8,1200,3,1 ★FMドラムセット ■バスドラム ■スネアドラム ■ハイハット
'@ F 98 '@ F 99 '@ F 100 |
赤字の部分を書き換えてみました。どうでしょう?違いがわかりましたでしょうか?
FMDSP7で再生状態を確認すると、バスドラムに、ビブラートのワンショットが掛かっていることがわかると思います。
今回はベンド効果を得やすいバスドラムの音色に変更していますが、作ろうとしている曲のイメージに合わせた音色選定やLFOによる効果を掛けてあげましょう。
■効果音系の場合
例えば、ホイッスル。
実際のホイッスルは、マウスピースから勢いよく吹き込まれた息が、歌口と呼ばれる突起に急激にぶつかることによって、外の空気との高速な摩擦よって気流の渦を作り音を発生させます。
空気との高速な摩擦よる気流の渦=高速なLFOが掛かってる状態
というワケです。
そのため、音色をそのままの音で出すよりも、高速なLFOを掛けた音の方がより原理的に本物っぽい音に近づきます。
'{ Whitsle 1 |
上のサンプルを鳴らすと最初「ビブラートなし」のホイッスルの音色が、その後に「ビブラートあり」の音色が演奏されます。
後者のほうが、よりそれっぽく聞こえると思います。
ということで音色データそのものの音は、言わばFM音源としての素の音。
ここから実際の楽器の原理をイメージしつつLFOでそれを再現させることによって、よりリアルな音へ近づけることができます。
とはいえ、リアルに近づけることが目的と言ってるわけでなく、あくまでFM音源の表現の仕方の1つとして理解してくださいね。
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