わくさき日記

千葉県習志野市の司法書士事務所の日常です。

対談を収録しました。

2022-02-18 00:00:00 | 司法書士
先日、ビデオの収録をしました。

私は、独立して事務所を開設していますが、優オフィスグループのメンバーにもなっています。

優オフィスグループには、行政書士、税理士、弁護士、土地家屋調査士、宅地建物取引士(不動産業者)など様々な方が
集まっています。
みなぞれぞれ独立して事務所を構えていますが、情報交換や勉強会などを行っています。

その中で、グループのメンバーと優オフィスグループの主催者でもある行政書士の東先生が
月1回程度テーマを決めて対談を行っており、その様子をユーチューブにて配信しています。
先日その収録を行ってきました。

内容としては、成年後見を利用するにあっての留意点などです。
成年後見制度を中心に、家族信託などについても少し触れています。
近く公開されるかとおもいますので、是非ご覧いただければと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
相続・遺言・成年後見・信託のHP

被相続人(ひそうぞくにん)って誰のことですか?

2022-02-17 00:00:00 | 司法書士
被相続人とは「ひそうぞくにん」と読みます。

これは亡くなった方のことです。

例えば、夫・妻・子の三人家族で、夫が亡くなった場合、
夫のことを「被相続人」と呼びます。

一方、妻・子は「相続人」です。

被相続人が誰かといえば亡くなった方ですが、相続人は法律で定められています。

先ほどの例で、繰り返しになりますが、夫が亡くなった場合は、被相続人は夫です。

では、亡くなった夫の両親(子からすると祖父母)は、相続人でしょうか。

これは、相続人になる場合もあるし、ならない場合もあるということになります。

夫に子がいれば、子が相続人になります。
一方で、夫に子がいない場合、両親が存命であれば、両親が相続人になります。
では、子もなく、両親もすでに亡くなっている場合は、どうなるでしょうか。

この場合は、夫の兄弟姉妹が相続人になります。

なお、夫の妻(配偶者)は、夫が亡くなったときに存命であれば常に相続人になります。
つまり、子が相続人の場合は、妻と子が相続人になります。
同じく、夫の両親が相続人の場合は、妻と夫の両親が相続人になり、夫の兄弟姉妹が相続人の場合は、
妻と夫の兄弟姉妹が相続人になります。

このように、被相続人は亡くなった方、相続人は被相続人が亡くなった時点の親族の状況次第ということになります。

相続の記事を読んでいると「被相続人」「相続人」といった堅苦しい言葉がたくさん出てきます。
まずは、被相続人とは亡くなった方なんだということを押さえて読んでみてください。



なぜ固定資産評価証明書が必要なのか?

2022-02-16 00:00:00 | 司法書士
不動産登記で所有権者の名義を変更する場合、対象不動産の評価額が必要になります。

ここでいう名義変更とは、例えば東京都在住のAさん所有の不動産を大阪府在住のBさんに売却したため
不動産の名義をBさんに変更するような場合です。
売却であっても、贈与であっても、相続であっても同じです。
つまり、人が変わることを指しています。

反対に、Aさんが結婚してCさんになったとか、引っ越して住所が沖縄県になったなどの場合は、
Aさんの氏名や住所はかわりますが、Aさん自身に変更はありませんので、ここでいう名義変更には当たりません。

さて、AさんからBさんへの名義変更をする場合は、対象不動産の固定資産評価額が必要になります。
それは、名義変更をする際に納付する登録免許税額を計算するために必要になります。

そもそもですが、名義変更登記はタダ(無料)ではありません。
登録免許税という税金がかかります。
いわゆる印紙代ってやつです。

この登録免許税は、固定資産評価額に一定の税率を掛けて算出します。
税率は、名義変更の原因によって異なります。

原則として、相続であれば0.4%、売買や贈与であれば2%です。
ただし、いろいろとおまけ(税率軽減)があります。
期間限定とされていますが、土地を売買する場合、1.5%になります。
また、自宅用として建物を購入した場合、0.3%もしくは0.1%にまで軽減できる場合があります。
このように、登録免許税を計算するときは土地と建物で税率が異なる場合があります。

ちなみに相続の場合は、土地・建物ともに0.4%ですが、土地を相続する場合はなんと無税になる場合もあったります。

少し話がそれましたが、この税率は対象不動産(土地や建物)の固定資産評価額に掛けます。

そのため、売買や贈与、相続による名義変更の場合は、固定資産評価額が必要になります。

固定資産評価額は、登記申請年度のものが必要です。
例えば、相続が平成時代に生じていて、登記申請自体は令和☓2年5月に申請する場合、令和☓2年度の評価額が必要になります。
年度がかわる3月4月ごろの登記申請の際は注意をしてください。

また、評価額は、固定資産評価証明書のほか、毎年4月ごろに納税通知書とともに送付される課税明細書に記載されています。

相続登記で必要になる書類

2022-02-15 00:00:00 | 司法書士
相続登記(相続による不動産の名義変更)に必要な、一般的な書類は次のとおりです。
※事案によりこれ以外にも必要な場合があります。

用語:被相続人→亡くなった人


①被相続人の戸籍
→死亡時の最後の戸籍だけではなく、出生から死亡までのすべての戸籍が必要です。
通常、死亡時の戸籍からさかのぼって出生時の戸籍まで取得することから「さかのぼり戸籍」などということもあります。

被相続人の死亡時の戸籍は、亡くなった際の本籍地の役所で取れます。
本籍地がわからない場合は、被相続人の住民票を本籍地付きで取得すると分かります。
戸籍を取得する際に係の人に「相続登記で使います。出生時までお願いします」というと、案内してくれると思います。
なお、本籍地を変えている(転籍している)場合は、各役所に申請する必要があります。
遠方の場合(近くでも)、直接行くのは難しい場合は、郵送での対応も可能です。

「●●市(本籍地のある役所) 戸籍 郵送」などと検索すると郵送方法が調べられます。

②相続人全員の戸籍
③不動産を相続する人の住民票
④遺産分割協議書(法定相続ではない場合)
⑤相続人全員の印鑑証明書(遺産分割をする場合)

そのほか、
⑥対象不動産の登記簿謄本
⑦対象不動産の固定資産評価証明書

⑥⑦は登記申請書を作成する際にも使用します。

相続登記の手続きとしては、上記必要書類を集めたら
1.遺産分割協議書を作成
2.遺産分割協議書に相続人全員が署名押印(実印)
3.登記申請書を作成
4.必要書類とともに登記所に申請
となります。

成年後見の申し立てに必要な書類②

2022-02-14 00:00:00 | 司法書士
成年後見の申し立てに必要な書類は大きく分けると次の4つでした。

①本人に関しての事情・財産等の概要がわかる書類
②本人についての公的な書類
③本人の財産についての裏付けとなる書類
④後見人候補者がいる場合はその人に関する公的な書類

今回は②からです。

②本人についての公的な書類

1.戸籍謄本
2.住民票

これらは本人の戸籍や住民票がある市区町村役場で取得できます。
戸籍謄本のことを全部事項証明書と呼ぶこともありますが、同じです。
なお、謄本と似たような言葉で抄本があります。
抄本とは、謄本の一部分の証明書という意味です。
抄本のことを一部事項証明書ということもあります。
戸籍謄本(全部事項証明書)を取得するようにしてください。

3.登記されていないことの証明書

この書類は法務局で取得できます。
あまり聞きなれない書類ですが、すでに後見などの登記がされていないことを証明書です。
すでに後見などの登記がされているのに、重ねて手続きをしないようにするためです。
証明申請書の中に証明事項をチェックする部分がありますが、
「成年被後見人,被保佐人,被補助人,任意後見契約の本人とする記録がない」にチェックをしてください。

なお、この証明書は本人以外の親族も取得できますが、取得時に親族の証明として
戸籍謄本等の提出を求められますので、しっかり必要書類をチェックしてから
法務局の窓口へ行くようにしてください。

4.手帳など
障害者手帳などがあればそのコピーを添付します。

③本人の財産の裏付けとなる資料
1.収入についての資料
・源泉徴収票や確定申告書のコピーなど
・年金の通知書など
2.支出についての資料
・施設費や家賃がわかるもの
・健康保険料・介護保険料がわかるもの
・固定資産税の納付書
・医療費の領収書 など
3.通帳等
4.有価証券に関する資料
5.不動産の謄本
6.保険の証書7.負債の関するもの
など

そのほか申し立てには手数料として収入印紙を貼り、
郵便切手を納付する必要があります。
金額は、類型によって異なりますでの、詳細は裁判所のホームページなどを
確認するようにしてください。


なお、必要書類や申請書などのひな型は比較的頻繁に変更されています。
必ず申し立て前に家庭裁判所のホームページを確認するようにしてください。

成年後見の申し立てに必要な書類

2022-02-13 00:00:00 | 司法書士
成年後見制度を利用する際は、家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
申し立ての際は、申立書のほかにいろいろな書類が必要になります。
成年後見制度では、後見・保佐・補助の3つの類型がありますが、
ここでは申立件数の多い後見について取り上げたいとおもいます。
(とは言っても保佐・補助も共通する書類も多いです。)

たくさんの書類を準備しなければなりませんが、カテゴリーを分けると
次の3~4つになります。

なお、以下「本人」という場合は、後見人をつけてもらいたい人=認知症等の人を指しています。

①本人に関しての事情・財産等の概要がわかる書類
②本人についての公的な書類
③本人の財産についての裏付けとなる書類
④後見人候補者がいる場合はその人に関する公的な書類

それぞれ見てみます。

①本人に関しての事情・財産等の概要がわかる書類
1.申立書
家庭裁判所のホームページにひな形があります。
なお、申立書(それ以外の添付書類を含む)の作成を専門家にお願いしたい場合
それができるのは弁護士か司法書士です。それ以外の方は作成することはできません。

2.申立事情説明書
3.診断書
診断書のひな形が用意されています。
これを主治医等に見せて記載してもらうことにより作成してもらいます。
医師であればよく、主治医や精神科医など特定の診療科の医師でなくても構わないとされています。

4.親族関係図
5.親族の意見書
親族とは本人の推定相続人とされています。
本人が親であれば、本人の配偶者と子です。
内容としては、後見手続に同意するか?などと言った内容です。
取得が困難な親族がいる場合は、その親族分の提出がなくとも申立ては可能です。

6.財産目録
7.収支予定表
6.7は、ひな形がありますので、そこに別に添付する裏付け書類と整合するように記載します。

8.本人情報シート
ひな形がありますので、本人の状態をよく知る親族やケアマネの方に記載してもらう書類です。
医師に診断書を作成してもらう際の資料等にします。
また、申し立ての際も添付資料のひとつになります。

9.候補者の事情説明書
候補者に作成してもらいます。

この①の書類は、自分で記載したり、医師やケアマネにお願いをしたりしなければ
ならない書類なので、一番大変かもしれません。

書類は家庭裁判所のホームページに掲載されています。
それをダウンロードして作成してください。
なお、書類の内容などは比較的頻繁に変わりますので、最新のものをご利用ください。

その他の書類は次回にご案内します。

意外!?遺言の必要性の高い人→自宅購入者

2022-02-12 00:00:00 | 司法書士
遺言とは自分が亡くなった後、財産をどのように分配してほしいかなどを書面に残しておく手続きです。
まれに「遺書(いしょ)」と混同される方もいますが、遺言(ゆいごん・いごん)は、法律で要件が
定められている書類です。
法律の要件に沿って遺言を残すことで、基本的に亡くなった後の財産をそのとおりに分配・承継することができます。

一方、遺言が無い場合は、相続人に承継され、相続人のうちの特定の人に承継させたいような場合は、
相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。

この相続人とは次の通りです。
例えば、父・母・子の家族で、父が亡くなった場合、相続人は母と子です。
また、夫・妻のみで子がいない家庭で、夫が亡くなった場合、夫の両親が健在であれば、相続人は妻と夫の両親です。
ちなみに、夫の両親が他界しており、夫に兄弟がいれば、相続人は妻と夫の兄弟です。

父・母・子の家族:父死亡→母・子
夫・妻の家庭:夫死亡→妻・夫の両親/妻・夫の兄弟

次に遺産分割協議を行う場合、その協議の参加者は原則として判断能力のある成人である必要があります。
成人である必要があるので、未成年は相続人であっても未成年だけで遺産分割協議に参加することはできません。
この場合、相続関係によりますが、多くは家庭裁判所の手続きによる特別代理人を選任する必要があります。
なお、成人であっても判断能力が不足している方、例えば認知症が進んでしまっている方などは、成年後見制度などを利用する必要があります。

以上を踏まえて次のような事例を考えてみます。

家族構成:父(30歳)・母(28歳)・子(3歳)
今般、父名義でマイホームを購入しました。
しかし、その1年後、父は不慮の事故で他界しました。
父の財産はわずかな現預金とマイホームです。
そこで父名義となっているマイホームを母名義にしたいと思っている。


さて、希望どおり母名義に変更することはできるでしょうか。
まずは遺言が無い場合を考えます。

父が亡くなり、相続人は母と子です。
相続人のうち特定の相続人に財産を承継させる場合は、遺産分割協議が必要となります。
今回の事例では、特定の相続人である母名義にしたいので、遺産分割協議が必要ですが
子は未成年です。
そのため、特別代理人を選任しなければなりません。
特別代理人は親族でもなることができます。
これは家庭裁判所の手続きですが、手間と時間はかかりますが選任されないということはありません。
問題は選任後です。

特別代理人は子のために選任されます。
子は、法定相続分を持っているので、特別代理人はその法定相続分を確保できるように活動します。
これは親族であっても同様です。

具体的には、基本的にマイホームの持分2分の1が子の名義になるような遺産分割協議内容でなければハンコは押せません。
親族であれば事情を察して母名義になるような遺産分割協議内容でも認めてしまうかもしれませんが、
特別代理人の職務は家庭裁判所が監督しています。
そのため、子の持分がゼロになるような遺産分割協議内容では家庭裁判所が認めてくれない可能性が極めて高いです。

つまり、相続人に未成年者がいる場合、特別代理人を選任することで遺産分割協議をすることができますが、
その他の相続人が考えているとおりの協議内容にできるとは限らないので、その点は注意する必要があります。

では、次に遺言があった場合です。
父は30歳と若かったのですが、マイホームの購入を機に公正証書にて遺言を作成していました。
内容としては、不動産を妻に相続させるといったものです。

公正証書遺言の詳細は省略しますが、公証人によって作成された遺言です。
この公正証書遺言があると相続人は妻と子ですが、妻単独の名義へ変更ができます。
相続人のうちに未成年の子がいても妻の単独名義が実現できます。
(なお、遺留分の問題がありますがここでは省略します。)

このように、遺言は高齢の方が作成すると思われがちですが、
場合によっては、若い方でも作成しておいた方がいい場面もあります。
マイホームを購入される方は若い世代が多いかと思います。
子が幼い場合などは、いわば保険として遺言をされておかれてもいいかもしれません。

成年後見制度が敬遠される理由

2022-02-11 00:00:00 | 司法書士
成年後見制度とは、高齢者の方が認知症などにより判断能力が不十分となった際に
家庭裁判所によって成年後見人などを選任するものです。
成年後見人によって高齢者を法的な面で支援し、保護しています。
これによって、認知症の方を悪質商法などの消費者被害から守ることができます。

このように、成年後見制度は認知症の高齢者などを守るためための制度として
とてもいいものだと思えるのですが、一方で、敬遠される場合があることもあるようです。

その理由はいくつか考えられますが、まず、財産の活用がほぼ認められないことがあるかと思います。

成年後見制度の利用を検討している方の中には、資産を多く持っている方もいます。
不動産や預貯金などですが、後見制度が開始されると、それらの財産は本人のためにのみ使用することになります。
本人のためといっても、リスクがあるような利用はできません。
例えば、株やその他の投資などの資産運用はできません。
また、将来の相続税の対策などとして、不動産を売却するなどの資産の組み換えなども難しくなります。
つまり、本人の生活の維持と直接関係のない行為については、認められにくくなります。
すこし細かな例ですが、これまで、お孫さんなどに毎年お年玉をあげていたような方であっても、
それすらもこれまで通りごく当然に行うことは難しいと考えられます。
これらを行うためには、事前に家庭裁判所に確認を取ることが多いとおもいます。
このように、本人の保護、本人財産の保護の理由から、財産の利用が硬直的になる場面が多い点が敬遠の理由にあるかもしれません。

また、後見制度は、基本的に本人が亡くなるまでやめることができません。
仮に、申立ての動機が自宅の売却であっても、売却後も後見制度は続きます。
すると、仮に後見人が親族以外の専門家であった場合は、毎年一定の報酬が必要となります。
報酬は月額2~6万円程度とされ、年に一回家庭裁判所が決定します。
仮に月額2万円であってとしても年間24万円程度のコストになります。

そのほか、後見人は財産管理を行いますので、通帳や印鑑などはその後見人が預かることになります。
後見人が親族以外の専門家であった場合は、その専門家に渡す必要があります。
また、後見制度は家庭裁判所が監督しています。
そのため少なくとも年に1回、財産状況を報告する必要があります。
資産家の方などは、特に悪事をしていなくても、すべての財産をさらけ出すため、心理的な抵抗感が生じることもあり得ます。

このように、高齢者の保護というメリットの半面、制度上の制約からくるデメリットともいえるものもあります。

成年後見制度の利用を開始したあとに、このデメリットを回避していくのは難しいとおもいます。
一方で、利用前(高齢者の判断能力が十分にある段階≒認知症になっていない段階)の段階では、その他の制度を利用して
デメリットを回避することも可能です。

その代表が民事信託(いわゆる家族信託)の制度です。

民事信託の詳細はここでは省略しますが、高齢者の方が元気なうちにその財産を信頼がおける親族等(例えば長男)に預ける=信託することによって
今後は、長男が高齢者に代わってその財産を活用していくことになります。
活用方法は信託の際に締結する信託契約の中でさだめられることになり、その範囲内で活用することになります。
例えば、不動産を売却するという内容であれば、高齢者が認知症になった後も、後見制度を利用することなく長男が売却をすることができます。
当然、家庭裁判所の監督はありませんから、財産状況を報告するといったこともありません。

成年後見制度はどのような時に必要になりますか?

2022-02-10 00:00:00 | 司法書士
認知症などにより判断能力が不十分となった場合、本人や親族の申立てにより
家庭裁判所が後見人等を選任することができます。
選任された後見人は、認知症などになってしまった本人のために法的な支援を行います。

この制度を成年後見制度と言いますが、判断能力が不十分となったからといって必ずしも
申し立てなければならないわけではありません。

必要に応じて利用することができます。

申立ての理由・動機で最も多いとされているのが預貯金の管理・解約です。

銀行で大きなお金を入出金や振込等をする際は、本人確認が行われています。
その際に、本人が認知症などで判断能力が不十分である場合は、銀行から成年後見制度を
利用してくださいと言われることがあります。

施設の入所契約も理由としては多いです。

自宅等での生活が難しくなったために老人ホーム等への入所をする際に
入所契約をしなければなりませんが、本人に判断能力が無ければ契約ができません。
そこで成年後見人を選任し、契約をしてもらうことによって入所契約を行います。

そのほかとしては、相続人のとなった場合の遺産分割協議などがあります。

相続が生じた際に遺産の配分などを遺産分割協議によって決めますが、
これは相続人全員によって行う者とされています。
そして、この財産はいる、この財産はいらないなどと、あたかも契約類似の判断をしなければ
ならないため、遺産分割協議に参加するには判断能力が必要とされています。
そこで、遺産分割協議をするために成年後見人を選任することも多くあります。

以上は、ある特定の事柄が発生したことが申立ての契機になっていますが、
それ以外では、一人暮らしをしていていつ悪徳商法の被害にあうかわからないような方のために
後見人を選任するような場合もあり得ます。

成年後見制度とはどのような制度ですか?

2022-02-09 00:00:00 | 司法書士
成年後見制度をご存知でしょうか。

認知症などによって判断能力が不十分な方々は、不動産や預貯金を管理したり
施設への入所契約をしたり、遺産分割協議を行う必要がある場合に、
これらを自分で行うことが難しい場合があります。

また、仮に契約書に署名押印ができるとしても、その内容を正しく判断することが難しく
自分に不利な契約を締結してしまい、悪質商法等の被害にあってしまう恐れもあります。

このようは判断能力の不十分な方を保護・支援するのが成年後見制度です。

成年後見制度には、大きく「法定後見制度」「任意後見制度」の二つがあります。

現在多く利用されているのは「法定後見制度」です。
「任意後見制度」は、まだ判断能力が十分な時に、あらかじめ任意後見人となる方と
何を委任するかなどを定めておく制度です。

一方、現在多く利用されている「法定後見制度」は認知症などの
判断能力が不十分になったときに、本人や親族などの申立てにより、家庭裁判所が
後見人等を選任し、その選任された後見人が本人を法的な面で支援する制度です。

法定後見制度は、本人の判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型が容易されています。
件数としては「後見」が多くなっています。

なぜ相続登記は義務化されるのですか?

2022-02-08 00:00:00 | 司法書士
不動産は登記されていますが、その名義人の方が亡くなった場合、相続登記をすることによって
名義変更が行われます。

この相続登記(名義変更の登記)は、これまで法律上はやってもやらなくても所有者(相続人など)の自由でした。

例えば代々長男が受け継いできたような土地・家屋は、売却などをすることもないので
わざわざ相続登記を行って登記名義を変えなくても、親族一同も長男が相続したと考えており
それでなんの問題も生じることはありません。
そのため相続登記を行っていないことも多いと思われます。

また、現在は活用されていない山林などを相続した場合、相続人がすでに都会住まいなどで、
わざわざ費用をかけてまで相続登記をするメリットもないため、名義が先代のままになっている
というようなこともあるようです。

不動産の名義の登記は、「その所有者が行いたければ行ってください」というのが法律の建前です。
そのため、冒頭のように相続登記もこれまではやるもやらないも自由でした。

ところが、近年相続登記を行わずにだれの不動産なのかわからない=所有者不明の土地が増えてきてしまいました。
その合計は平成28年度の調査で九州を上回る面積になってしまっているそうです。

そして、このような所有者不明の土地によって、公共事業が進まなくなってしまうという問題が東日本大震災の復興事業などで
顕在化したと言われています。
復興作業をするためには、所有者の了解を得ながら行う必要がありますが、登記簿の所有者は場合によっては
明治・大正時代の名義人であったりしてなかなか相続人にアクセスすることが困難であったと言われています。

このように、公共事業をスムーズに進めたり、そもそも不動産が放置されて景観や治安などが悪化しないように
登記簿を確認すればきちんと所有者が分かるようにするために、法律が改正され、相続登記が義務化されました。

相続登記の義務化の実施は令和6年4月1日です。
ただし、義務化の対象は、義務化以前の相続も対象になっています。
つまり、令和6年4月1日以前の相続も対象です。
例えば、昭和や平成時代に生じた相続で、相続登記を行っていなければ、その不動産も対象となります。
そのため、そのようなすでに生じている相続については、義務化前であってもお手続き行うことをお勧めします。

住宅ローン完済と抵当権抹消

2022-02-07 00:00:00 | 司法書士
住宅ローンを完済した際に、抵当権抹消登記が必要なことをご存知ですか?

そもそも、住宅ローンを借りた際に、自宅には抵当権設定登記がされています。

例えば、マイホームを購入したときに、売買代金を支払うと所有権の登記と一緒に
金融機関の抵当権設定登記が行われています。

少し専門的な説明をすれば
1.所有権移転登記(年月日売買を原因として所有者を買主名義とする登記)
2.抵当権設定登記(金融機関を抵当権者とする登記)
のような登記が行われています。

そして、数十年後に住宅ローンが完済したとき、この抵当権設定登記がどうなるのか
というのが今日の話題です。

結論からすると、住宅ローンが完済したとしても、所有者が何もしなければ抵当権の登記は
そのままです。

完済したら自動的に抵当権の登記が抹消されるわけではありませんし、銀行が抹消登記
手続をしてくれるわけでもありません。

所有者自ら抵当権抹消登記手続きをしない限り、抵当権の登記はそのままです。

金融機関から完済時にいろいろな書類が渡されたと思います。
・借入時の契約書(金銭消費貸借契約書)
・抵当権設定契約書
・保証契約書
・オプションの契約書
・各種個人情報の同意書の控え などなど

その中に、抵当権抹消登記に使用する書類も入っています。
・解除証書(名称はいろいろです。抵当権設定契約書と一体化している場合もあります)
・銀行からの委任状
・登記識別情報もしくは登記済証(抵当権設定契約書に登記所のハンコが押されているもの)
などです。

そして、抵当権を抹消するにはこれらの抵当権抹消登記に必要な書類とともに、
抵当権抹消登記の登記申請書を作成して登記所に提出する必要があります。

登記申請書は、そのひな型が登記所のホームページに掲載されています。
それを利用すると作成しやすいです。
とはいえ、銀行や登記所が代わりに作成してくれることはないので、必ず所有者が作成することになります。

また、登記申請の際は、登録免許税といって印紙を貼る必要があります。
登録免許税は不動産1個につき1000円です。
不動産の数え方は登記簿毎となります。
例えば、戸建ての場合、少なくとも土地1個・建物1個なので不動産の数は2個=2,000円です。
マンションの場合も基本的な考え方は同じですが、土地が複数の場合も多いです。
抵当権設定契約書の「不動産の表示」「物件の表示」と記載されている中で
「敷地権の表示」と書かれている部分の不動産の数を数えてください。

登記申請に期間の制限はありません。
とはいえ、銀行からの委任状に記載されている代表取締役が代わってしまったりすると
手続としてはやや面倒です。
また、銀行の名称が変わったり、合併などをしていた場合も面倒になります。
なので、早めの登記手続きをお勧めします。

また、ご自身の現在の住所やお名前が登記上の記載と異なっている場合、
例えば、登記上の住所が引越前の住所になっているような場合は、抵当権登記申請前(同時でも可)に
住所の変更登記が必要です。

最後は少し細かいお話にもなってしまいましたが、いずれにしても、住宅ローン完済後には
抵当権抹消登記が必要であるということを覚えておいていただくとよろしいかと思います。

法定相続分の誤解

2022-02-06 00:00:00 | 司法書士
父・母・子ども二人・父の両親(祖父母)の家族で、もし父が亡くなった場合、相続人とその人の相続分はわかりますか?

相続人は、母と子ども二人です。
父の両親(子からすれば祖父母)は相続人にはなりません。

父が自宅などの財産を残した場合、父が生前に遺言を作成していなければ、財産は相続人に相続されます。
つまり、自宅は母と子ども二人に相続されます。

さて、相続人は母と子ども二人なので、計3人です。
では、相続した自宅はどのような割合で相続されるのでしょうか。
次の①~③だとすれば、どれだとおもいますか?

①父と母で築き上げたものなので、母が100%相続する。
②相続人が3人なので、各3分の1ずつ相続する。
③知らないの?法律には、母2分の1・子は各4分の1と定められている。

③は法律を持ち出してきましたのでなんだか正しいような気がしますね。
ちなみに冒頭で相続人について触れましたが、それは法律に定められています。

正解としては、ある意味①~③はどれも正しいと言えます。

まず③の法律について。
これが法定相続分と呼ばれる割合です。
法律には、母2分の1、子2分の1(子が複数なら平等に分ける)と規定されています。
したがって、今回の場合、母2分の1、子は各4分の1となり、③は法定相続分のことを言っています。

しかも、「法定」相続分と呼ばれていて「法律で定められた相続分」との解釈もできそうです。
そうだとすれば法定割合以外の割合で相続したら法律違反になってしまうんじゃないの?
そのような心配をされる方もいます。

でもご安心ください。
相続人のみなさんで話し合いをしてもらえれば、法定相続分以外の割合を定めてもその話し合いの結果が優先されます。
この話し合いのことを「遺産分割協議」などといいます。

ポイントは「相続人全員」ということです。
今回の事例では、母・子二人が遺産分割協議をして①や②のように相続分を定めることもできます。

では、相続人全員で遺産分割協議がまとまらない場合は、どうなってしまうのでしょうか。
その場合は、最終的には裁判所の力を借りることになります。
すなわち、調停や審判(裁判)といったもので、その時に登場してくるのが法定相続分です。

このように、相続分については、法定相続分より相続人全員での話し合いの結果が優先されます。
少なくとも、法律に相続分が定めてあるからその割合で相続をしなければならないというのは誤解と言えます。

登記簿に書いてある抵当権(ていとうけん)って何ですか?①

2022-02-05 14:10:07 | 司法書士
先日、相続手続きのために不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)を見ていたら、「抵当権設定」と書いてありました。
抵当権って何ですか?

抵当権とは、簡単にいうと借金のカタです。
万が一、その借金が返せなくなった場合、債権者(お金を貸した人)はカタとなっている不動産を売って
その売った代金から借金を返してもらうことができます。

もう少し身近な事例にしてみます。

マイホームを購入するときに、購入代金をすべて現金で用意する人はあまりいません。
多くの方は、住宅ローンを組みます。
この住宅ローンは、銀行からマイホームの購入資金を借りること=お金を借りることです。
借りたお金は毎月少しずつでも返済していかなければなりません。
住宅ローンの場合は30年とか35年とか長期間の返済になります。

一方、「銀行=債権者=お金を貸した人」からすれば、毎月少しずつでも返済してくれればいいのですが、
長い返済期間の中で「債務者=お金を借りた人=マイホームを買った人」に何があるかはわかりません。
購入当初はお仕事をしていたとしても、病気をしてしまったり、事故にあったり、リストラされてしまったりして
返済ができなくなってしまうこともあり得ます。

そのようなときに備えて、銀行としては担保=カタを取っておく必要があります。
担保としては、不動産を預かっておくということもできますが、銀行はみなさんのマイホームを使いたいわけではありません。
もし万一のことがあった場合に、そのマイホームの売却代金から借金を回収できればいいのです。

そのような場合に都合がいい担保が抵当権です。
ちなみに、不動産を預かっておくような担保は質権(不動産質権)といいます。

つまり、不動産の登記簿に「抵当権設定」とあれば、借金のカタになっている状態といえます。
なお、抵当権の登記では「債権額」「債権者」「債務者」などが記録されています。

少し話が長くなりますので、今回はここまでとします。
次回は、抵当権の抹消についてもお話したいと思います。


登記簿に書いてある抵当権(ていとうけん)って何ですか?②

2022-02-05 00:00:00 | 司法書士
前回は、抵当権の登記内容についてご紹介していましたが、
少し復習すると、抵当権は借金のカタであり、「債権額」「債権者」「債務者」などが
登記されていました。

「債権額」は、ほとんどの場合、借入当初の金額です。

「債権者」は、いくつかのパターンがあります。
一番わかりやすいのは、住宅ローンを組んだ銀行名です。
ただ、住宅ローンの場合は、申込窓口は銀行であっても、債権者はその銀行系の保証会社(〇〇信用保証など)
になっている場合も多いです。
また、フラット35の場合は、住宅金融支援機構となっています。

「債務者」は、お金を借りた人です。

ただし「抵当権設定」や上記の「債権額」「債権者」「債務者」の記載はあっても
それらすべてに下線(アンダーライン)が引かれていれば、その登記は抹消されています。

抵当権の抹消は、借金を全額返済した際に、すなわち、銀行がもう借金のカタに取らなくてもよい
状態になった際に行われます。
つまり、抵当権の記載はあっても下線が引かれていれば、抵当権の役目は終わっていますので
抵当権の登記は無いものと考えて構いません。

一方、問題なのは「すでに完済しているはずなのに、抵当権の登記が残っている」場合です。

実は、不動産の相続手続きをしていく中で、比較的よくある事例がこれです。

すなわち、親の相続のために不動産の名義変更の手続きをしている中で、自宅購入時の抵当権が残っているような事例です。
当然、ローンは完済しているはずなので、借金のカタとしての意味はありません。
そのため、本来であれば完済した時点で抵当権抹消登記をしておくべきものです。
それが、相続のときまで残ってしまっている状態というわけです。

とはいえ、この程度であれば多少手間が増えたとしても、銀行に連絡をすれば抹消手続きは可能です。

登記手続的に厄介なのは、いわゆる休眠担保と呼ばれている抵当権です。
休眠担保とは、正式な法律用語ではありませんが、長い間忘れ去られてしまっていた抵当権を指すことが多いです。
(休眠担保権については別の記事「休眠担保権とは何ですか?①②」もご覧ください。)

例えば、先祖代々の実家の場合、長男が代々引き継いでいるので、登記名義を変更していない=相続登記をしていない
ということもよくあります。
そのため、登記名義は明治・大正時代に取得したときのまま、などということもあります。
とはいえ、現時点(令和4年時点)では名義変更をしていないこと自体は違法ではありません。

しかし、名義変更がされていないだけであればよいのですが、一緒にご先祖様が借金をした際の
抵当権が残っていることがあります。
ただし、抵当権の登記が残っていたとしても多くの場合は、すでに担保の役割を終えた
形式的なものです。
したがって登記申請さえできれば抹消登記はできます。

しかし、別記事「休眠担保権とは何ですか?」でも書いた通り、このような明治・大正・戦前の抹消し忘れた
抵当権はかなりてこずることが想定されます。

とはいっても抹消できなければ、今後売却などもうまく進まず「負動産」となってしまう可能性があります。

住宅ローンを完済したら、必ず抵当権抹消登記の手続きをされることをお勧めします。
また、相続手続きの中で、古い抵当権を見つけたら、放置せずに司法書士などの専門家にご相談ください。
相続での問題は時間が解決してくれません。
休眠担保はその事例の一つです。
くれぐれも放置はなさいませんように。。