わくさき日記

千葉県習志野市の司法書士事務所の日常です。

休眠担保権とは何ですか?①

2022-02-03 00:00:00 | 司法書士
休眠担保もしくは休眠担保権という言葉を聞いたことがありますか?
もしかしたら、休眠担保のことを調べていてこのブログにたどり着いた方もいるかもしれません。

休眠担保とは、法律等で定義されているものではなく、登記業界(?)で使用されている業界用語みたいなものです。

休眠   → 長い間使われていない
担保(権)→ 抵当権

長い間使われていない抵当権=休眠担保です。

そういわれてもわかったような、わからないようなですね。

この休眠担保は、抵当権の抹消登記の問題と密接に関係しているのですが、
そもそも抵当権とは、お金を借りた際に債権者に土地建物を担保として差し入れるものです。
債権者に土地建物を差し入れるといっても、債権者も土地建物を使いたいわけではないので
土地建物の登記に抵当権の登記をすることによって担保に取ります。

これによって、もし万一返済が滞ったら、裁判所に申し立てることによって土地建物を
競売することができ、その売却代金から貸金を回収することができるようになります。

これが抵当権の制度ですが、上記のとおりお金を借りた際の担保なので、
当然借りたお金を返せば担保の役割が終わります。
すなわち、完済した時点で抵当権はなくなってしまうはずです。

おそらく多くの方の感覚でも、借りたものを返したんだから、抵当権はもうおしまいと
思われるのではないでしょうか。

確かにその通りなのですが、登記の記載はそのようになりません。

役割が終わった抵当権とは言えども、自動的には登記簿から抹消されないのです。
ここ感覚のずれが、休眠担保を生み出しています。
すなわち、本来、抹消すべき抵当権の登記が忘れさられてずっと残ってしまっている、
それが休眠担保(権)です。

つまり、休眠担保権という権利があるわけではなく、使用済みの忘れ去られた抵当権というのが
その正体です。

なるほど、では抹消してしまえばいいのではないか?と思われますね、普通は。
というか、使用済みの抵当権が残っていたとして、何か問題でもあるの?とも思いますね。

一体、実務はどうなのでしょうか。
答えは次回をお楽しみにしてください。