わくさき日記

千葉県習志野市の司法書士事務所の日常です。

取締役の辞任登記は辞任届だけでよい?

2017-05-29 09:52:43 | 司法書士
「今度お客さんの会社の取締役が辞任するので登記をしたいのですが、必要書類は辞任届だけでいいですよね?」

先日いただいたご質問です。

取締役とおっしゃっているので、お客様の会社は株式会社なんだと思います。

多くの場合、辞任届(司法書士に依頼をするなら委任状)だけでよいので「その通りです」と言ってよいのですが、
そうでなかったり、そうであったとしても押してもらう印鑑に制限があったりする場合もあります。
ポイントは次の3つです。

①辞任する取締役が代表取締役ではないか?
→押してもらう印鑑に注意が必要

辞任する取締役が代表取締役の場合、辞任届に会社実印または代表取締役の個人実印を押印しなければなりません。
(ただし、代表取締役が複数の場合は、辞任する取締役が登記所に会社実印を登録している場合)

辞任届に個人実印を押印する場合には、代表取締役の印鑑証明書も必要になります。


②取締役の員数
→そもそも辞任登記ができない場合がある

従前、株式会社と言えば必ず取締役会と監査役がありました。
しかし、現在は取締役1名のみという会社も珍しくありません。
また、取締役は複数であっても、取締役会がない会社も多いです。

取締役の員数は、取締役会がある会社であれば3名以上、取締役会がない会社は定款で定めた数以上が必要です。
そのため、員数を欠くような場合は、辞任届が提出されても辞任できず、辞任の登記もできません。


③特例有限会社の場合
→そのほかの登記が必要な場合がある
①の代表取締役である取締役の辞任でも、代表取締役の登記が必要ですが、それとは違い気が付きにくい登記が発生することがあります。

特例有限会社は、有限会社と名乗っていますが法律上は株式会社です。
この部分は知っている方も多いかと思います。

一方、登記の記載の仕方は、株式会社と特例有限会社では違う部分があります。
この点については会社法が施行されてから10年が経過し、一般の方からは忘れ去られてきた感があります。

取締役の記載方法については次のように異なります。
株式会社 氏名のみ
有限会社 住所と氏名

代表取締役
株式会社 住所と氏名
有限会社 氏名

また、代表取締役の記載は、株式会社の場合は必須ですが、特例有限会社の場合は一定の場合のみ登記されます。
一定の場合とは、「ほかに代表しない取締役がある場合」です。
例えば、取締役がA・B2名の場合で、Aのみ代表権があるような場合です。
この場合は、上記の記載の要領で取締役と代表取締役の登記がされます。

反対に、AもBも代表権がある(そういうことも可能です)場合は、「ほかに代表しない取締役がいない」ので代表取締役の登記はできません。

では、取締役がA・B2名でAのみ代表権がある場合に、取締役Bが辞任する場合はどのような手続きになるでしょうか?
定款の員数規定は満たしているものとします。
Bについては、辞任届のみでOKです。
また辞任届に押す印についても、代表権のない取締役なので登記所に印鑑を登録していることはありませんので、認め印でも大丈夫です。
じゃ、Bの辞任届だけもらえばいいですね♪
っとしてしまうと、登記所でやり直し指示をもらうことになります。

Bが辞任することにより「ほかに代表しない取締役がいない」状態となりました。
→取締役がAだけになり、全員が代表権がある状態
このため、Bの辞任の登記と一緒にAの代表取締役の登記を抹消する必要があります。


このように、取締役の辞任と言っても、辞任届だけもらえばいいとは限らないというお話でした。
会社内で手続きの段取りを担当されている方はご注意くださいませ。

なお冒頭の会社は、有限会社ではなく、いわゆる平取の辞任で員数規定も問題なかったので辞任届だけで済みました。

法定相続情報証明制度②

2017-05-26 13:24:34 | 司法書士
法定相続情報証明制度が週明け29日・月曜から開始されます。
それにともなって、法務局のHPに(ようやく!?)解説のページが設けられました。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00284.html

手続きは解説ページにあるように
①戸籍などの収集
②一覧図(相続関係図)の作成
③申出
の3段階です。

やはりネックになるのは①と②でしょうか。

②については、法務局も力を入れております。
いろいろなケースを想定してひな型を用意しています。

先日の法務局の説明会によると、申出された一覧図をPDFにして保管するのだそうです。
なので、基本的に記載内容に誤りがあった場合は、再提出なのだそうです。
資格者と一般の方では対応にある程度の差はあるかとは思いますが、一覧図(相続関係説明図)は慎重に作成する必要があります。


①の戸籍の収集については、現在の戸籍だけでは足りず、出生から死亡までの戸籍一式が必要になる点がポイントです。
一言でいえば簡単なのですが、不足なく取得しなければならず、取得のためにはある程度戸籍の記載内容を読み取る必要があるのでちょっとしたノウハウも必要です。
なので、法務局の解説ページをはじめ、戸籍の収集についてはどこの説明でもかなり大雑把に記載されているのが普通です。
相続登記や戸籍の集め方などの書籍を購入されれば別ですが、わざわざこの手続きのために本を1冊読むのも時間の無駄のような・・・

と思っていたところ、戸籍の収集についてとってもやさしく、しかもコンパクトに解説しているページがありました。
そこは、仙台家庭裁判所♪
裁判所にも家事手続きなどで戸籍一式を提出することが多いです。
それにしても、お役所の解説ページとしては群を抜いてわかりやすいと思います。
文章だけでなく、具体例も記載されています。
なので、これを見ていただければ、ある程度戸籍の収集はできるかと思います。

相続関係手続きにおける戸籍の入手方法Q&A
http://www.courts.go.jp/sendai/vcms_lf/205002.pdf

戸籍のたどり方
http://www.courts.go.jp/sendai/vcms_lf/205005.pdf

最後に、この法定相続情報証明制度は、相続登記の推進が一番の目的とのことでした。
不動産の名義が先代の名義のままになってる方は、この機会にぜひ名義変更の登記を行ってください!・・って法務局の方が一所懸命に広報してました!!(笑)


使い方自由・穴埋め不動産登記法④

2017-05-26 08:05:28 | 司法書士
(事前通知等)
第二十三条  登記官は、申請人が前条に規定する申請をする場合において、同条ただし書の規定により      を提供することができないときは、法務省令で定める方法により、同条に規定する     に対し、当該  があった旨及び当該申請の内容が真実であると思料するときは法務省令で定める期間内に法務省令で定めるところによりその旨の  をすべき旨を通知しなければならない。この場合において、登記官は、当該期間内にあっては、当該  がない限り、当該申請に係る登記をすることができない。
2  登記官は、前項の登記の申請が所有権に関するものである場合において、同項の登記義務者の  について変更の登記がされているときは、法務省令で定める場合を除き、同項の申請に基づいて登記をする前に、法務省令で定める方法により、同項の規定による通知のほか、当該登記義務者の登記記録上の前の  にあてて、当該申請があった旨を通知しなければならない。
3  前二項の規定は、登記官が第二十五条(第十号を除く。)の規定により申請を却下すべき場合には、適用しない。
4  第一項の規定は、同項に規定する場合において、次の各号のいずれかに掲げるときは、適用しない。
一  当該申請が          とすることができる代理人によってされた場合であって、登記官が     から法務省令で定めるところにより当該申請人が第一項の登記義務者であることを確認するために必要な情報の提供を受け、かつ、その内容を  と認めるとき。
二  当該申請に係る申請情報(委任による代理人によって申請する場合にあっては、その権限を証する情報)を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録について、   (公証人法 (明治四十一年法律第五十三号)第八条 の規定により公証人の職務を行う法務事務官を含む。)から当該申請人が第一項の登記義務者であることを確認するために必要な認証がされ、かつ、登記官がその内容を  と認めるとき。

(登記官による本人確認)
第二十四条  登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、次条の規定により当該申請を却下すべき場合を除き、申請人又はその代表者若しくは代理人に対し、  を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の     の有無を調査しなければならない。
2  登記官は、前項に規定する申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、         に同項の調査を嘱託することができる。

(申請の却下)
第二十五条  登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
一  申請に係る       が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。
二  申請が    (他の法令の規定により登記記録として登記すべき事項を含む。)以外の事項の登記を目的とするとき。
三  申請に係る登記が    されているとき。
四       を有しない者の申請によるとき。
五  申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。
六  申請情報の内容である不動産又は登記の目的である権利が    と合致しないとき。
七  申請情報の内容である登記義務者(第六十五条、第七十七条、第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登記名義人)の  若しくは  又は  が登記記録と合致しないとき。
八  申請情報の内容が第六十一条に規定する             と合致しないとき。
九  第二十二条本文若しくは第六十一条の規定又はこの法律に基づく命令若しくはその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報が  されないとき。
十  第二十三条第一項に規定する期間内に同項の  がないとき。
十一  表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が第二十九条の規定による登記官の調査の結果と合致しないとき。
十二       を納付しないとき。
十三  前各号に掲げる場合のほか、登記すべきものでないときとして政令で定めるとき。
(政令への委任)
第二十六条  この章に定めるもののほか、申請情報の提供の方法並びに申請情報と併せて提供することが必要な情報及びその提供の方法その他の登記申請の手続に関し必要な事項は、政令で定める。


(※本データは、総務省提供の法令データシステム(e-Govウェブサイト(http://www.e-gov.go.jp))を利用しております。当データの利用に伴って発生した不利益や問題について、何ら責任を負いません。)

定款変更の際に認証は必要か

2017-05-25 07:16:30 | 司法書士
会社を設立する際は、必ず定款を作成します。
定款とは、会社のおおもとの規則・ルールです。
会社の種類(株式会社とは合同会社など)により記載すべき内容は異なりますが、商号や目的、決議の方法などが記載されています。

そして‟株式会社”を設立する際は、作成した定款を公証人に認証してもらう必要があります。
株式会社は多くの方と取引をすることが想定されていることなどから、設立の際は定款の内容について公証人のチェックを受けなければならないとされているのです。

公証人とは、裁判官などを経験した法律のプロです。
各法務局に所属していますが、仕事は公証役場で行っています。
国家公務員ですが、国からお給料は出ずに独立採算制です。(つまり自営業者!?)

会社を設立したことのあるオーナーや、会社の総務や法務をされている方にとって、定款は公証人の認証を受けなければならないという印象が強いのかもしれません。
そのためか「定款を変更したいのだけど、公証人の認証は必要ですか?」というご質問をいただくことがあります。

結論からすれば、不要です。

株式会社の定款の認証が必要なのは、設立の時だけです。
設立後、定款を変更する場合は、会社の手続きだけですることができます。
具体的には、株主総会の特別決議によってすることができます。
このことからもお分かりのように定款はいつでも変更をすることができます。

また、合同会社であれば設立の際の定款であっても公証人の認証を受ける必要はありません。
もちろん変更の際は、会社の手続きだけですることができます。

なお、定款を変更してことにより登記事項にも変更が生じた場合(例えば商号を変更したような場合)は、変更登記が必要となりますので、お忘れなく。

誰がわが社の登記簿謄本を取得したのか?

2017-05-24 07:47:26 | 司法書士
まれに「誰がわが社の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得したのかわかりますか?」
もしくは、「登記簿謄本を取得したことを取得した会社にバレませんか?」という質問をもらうことがあります。

私としては、結論より、質問の趣旨(特に後者!)が気になるところですが、お答えとしては・・
「誰が取得したのかはわかりません」
「取得したことは会社にバレません」
となります。

そもそも商業登記とは「取引の安全と円滑」を目的としています。(商業登記1条)
それを受けて、「何人も(だれでも)、手数料の納付して、登記簿に記録されている事項を証明した書面(登記事項証明書)の交付を請求することができる」(同10条)としています。

つまり、登記簿は、会社との取引を円滑安全に行えるように誰に対しても公開されているものなのです。

そのため、誰かが自社の登記簿謄本を取得するたびに登記所から通知がくるような制度はありません。
また、請求を受けた会社が登記所に対して、誰が取得したのか情報を開示するよう請求することもできないと思います。

一方、会社の登記簿謄本を取得したい人は、手数料(@600円)を納付すれば、(会社にバレることなく(-"-))登記所で取得することができます。
登記簿謄本は、登記所窓口でも、郵送でも可能です。
オンラインでの申請もできます。
一般的にオンラインの申請は電子署名が必要とされ面倒なのですが、登記簿謄本の取得については電子署名は不要で比較的簡単に申請できます。
しかも、郵送までしてくれて1通500円です(さらにオンライン申請して、窓口で交付してもらえば1通480円!)
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/download_kani.html

また登記簿謄本の内容だけ知りたければ「登記情報提供サービス」もあります。
インターネットで情報を取得することができます。
費用も1通335円です。
http://www1.touki.or.jp/service/index.html

登記所で取得する登記簿謄本(全部事項証明書)と登記情報提供サービスで取得できる情報は同一です。
違いは証明力です。
前者は証明書として利用できますが、後者は一般的に証明書として使用することはできません。
今の代表取締役は誰かな?会社の目的はどうなっているかな?など、登記簿の情報だけ知りたいというのであれば
登記情報提供サービスでも十分かと思います。
もちろん取得した会社にバレません(-_-;)

使い方自由・穴埋め不動産登記法③

2017-05-23 11:34:49 | 司法書士
第四章 登記手続

    第一節 総則

(当事者の申請又は嘱託による登記)
第十六条  登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の  又は官庁若しくは公署の  がなければ、することができない。
2  第二条第十四号、第五条、第六条第三項、第十条及びこの章(この条、第二十七条、第二十八条、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第四十一条、第四十三条から第四十六条まで、第五十一条第五項及び第六項、第五十三条第二項、第五十六条、第五十八条第一項及び第四項、第五十九条第一号、第三号から第六号まで及び第八号、第六十六条、第六十七条、第七十一条、第七十三条第一項第二号から第四号まで、第二項及び第三項、第七十六条、第七十八条から第八十六条まで、第八十八条、第九十条から第九十二条まで、第九十四条、第九十五条第一項、第九十六条、第九十七条、第九十八条第二項、第百一条、第百二条、第百六条、第百八条、第百十二条、第百十四条から第百十七条まで並びに第百十八条第二項、第五項及び第六項を除く。)の規定は、官庁又は公署の嘱託による登記の手続について準用する。

(代理権の不消滅)
第十七条  登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
一  本人の  
二  本人である法人の  による消滅
三  本人である   の信託に関する任務の終了
四  法定代理人の  又はその代理権の  若しくは変更

(申請の方法)
第十八条  登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、   を識別するために必要な事項、申請人の  又は  、登記の  その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「    」という。)を登記所に提供してしなければならない。
一  法務省令で定めるところにより        (登記所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この号において同じ。)と申請人又はその代理人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法
二  申請情報を記載した  (法務省令で定めるところにより申請情報の全部又は一部を記録した磁気ディスクを含む。)を提出する方法

(受付)
第十九条  登記官は、前条の規定により申請情報が登記所に提供されたときは、法務省令で定めるところにより、当該申請情報に係る登記の申請の受付をしなければならない。
2  同一の不動産に関し二以上の申請がされた場合において、その前後が明らかでないときは、これらの申請は、  にされたものとみなす。
3  登記官は、申請の受付をしたときは、当該申請に    を付さなければならない。この場合において、同一の不動産に関し同時に二以上の申請がされたとき(前項の規定により同時にされたものとみなされるときを含む。)は、  の受付番号を付するものとする。

(登記の順序)
第二十条  登記官は、同一の不動産に関し権利に関する登記の申請が二以上あったときは、これらの登記を    の順序に従ってしなければならない。

(登記識別情報の通知)
第二十一条  登記官は、その登記をすることによって申請人自らが     となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る      を通知しなければならない。ただし、当該申請人があらかじめ登記識別情報の  を希望しない旨の申出をした場合その他の法務省令で定める場合は、この限りでない。

(登記識別情報の提供)
第二十二条  登記権利者及び登記義務者が  して権利に関する登記の申請をする場合その他登記名義人が政令で定める登記の申請をする場合には、申請人は、その申請情報と併せて     (政令で定める登記の申請にあっては、登記名義人。次条第一項、第二項及び第四項各号において同じ。)の      を提供しなければならない。ただし、前条ただし書の規定により登記識別情報が通知されなかった場合その他の申請人が登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合は、この限りでない。

(※本データは、総務省提供の法令データシステム(e-Govウェブサイト(http://www.e-gov.go.jp))を利用しております。当データの利用に伴って発生した不利益や問題について、何ら責任を負いません。)

代表取締役のいない株式会社

2017-05-22 09:42:36 | 司法書士
とある方と話をしている時にその方が、
「株式会社には必ず代表取締役がいるじゃないですか?」と言われました。

そのお話の文脈では問題はありませんでしたが、心の中では必ずしも「必ず」とは言い切れないと思っておりました。
(別にその方に意地悪をしたわけではありませんよ。その理解でほとんどの場合問題ありません)

パッと思いつくのが、「指名委員会等設置会社」です。
指名委員会等設置会社は比較的新しい形態の株式会社です。
もともとは委員会等設置会社→委員会設置会社と呼ばれていた会社です。
平成27年に「指名委員会等設置会社」となりました。

この指名委員会等設置会社には取締役会はありますが、業務執行は執行役が行います。
そして、会社を代表するのは代表執行役です。
このため指名委員会等設置会社には、代表取締役は存在しません。

もう一つは、特例有限会社の場合です。
株式会社の話をしているのに有限会社?と感じられるかもしれませんが、
会社法の視点からすれば必ずしもそうではありません。

少し時間を戻しますと、平成18年の商法改正によって会社の規定が大幅に改正されました。
その際、有限会社法は廃止されています。
根拠となる法律がなくなってしまったため、新たに有限会社を設立することはできません。

では根拠となる法律がなくなってしまい、その際に存在していた多くの有限会社はどうなってしまったのか?

それは新しく設けた会社法に特例を設け、その時点で存在している有限会社に限り有限会社を名乗ることができるようしました。
また、商号(名称)は有限会社ですが、法律上は株式会社として存続するものとされました。
このような有限会社を特例有限会社といいます。
つまり、特例有限会社は有限会社と名乗っていますが、法律上は株式会社なのです。

これで話を戻しますと、株式会社の話で、有限会社の話をしても問題はないということになります。

さて、代表取締役のいない株式会社ですが、(特例)有限会社(以下、単に有限会社)の場合はあり得ます。
有限会社には必ず1名以上取締役がいます。
そして、原則として取締役が会社を代表します。
仮に取締役が1名であれば、その取締役が会社を代表する取締役です。
2名以上であれば、各自が会社を代表する取締役です。

ただ、取締役が複数の場合に会社を代表する取締役が何人もいると混乱も生じやすいので、会社を代表する取締役と
代表しない取締役を定めることができるようにしました。
そしてこの定めてがあるときに、代表する取締役と代表取締役を区別するために、代表する取締役を「代表取締役」とすることになりました。
つまり、この定めがあるとき=「会社を代表しない取締役がいる場合」に限り、会社を代表する取締役について「代表取締役」と称することになります。

これを取締役が1名の有限会社に当てはめてみると、唯一の取締役が会社を代表するため「会社を代表しない取締役がいない」会社なので、代表取締役がいない株式会社ということになります。
(あくまで「代表取締役」という取締役がいないのであって、会社を代表する取締役は唯一の取締役です)

このように、株式会社であっても必ずしも代表取締役がいるというわけではない、というお話でした。

使い方自由・穴埋め不動産登記法②

2017-05-19 10:00:00 | 司法書士
(権利の順位)
第四条  同一の不動産について登記した権利の順位は、法令に別段の定めがある場合を除き、  の前後による。
  登記(権利に関する登記のうち、既にされた権利に関する登記についてする登記であって、当該既にされた権利に関する登記を変更し、若しくは更正し、又は所有権以外の権利にあってはこれを移転し、若しくはこれを目的とする権利の保存等をするもので当該既にされた権利に関する登記と一体のものとして公示する必要があるものをいう。以下この項及び第六十六条において同じ。)の順位は主登記(付記登記の対象となる既にされた権利に関する登記をいう。以下この項において同じ。)の順位により、同一の主登記に係る  登記の順位はその前後による。
(登記がないことを主張することができない第三者)
第五条  詐欺又は強迫によって登記の申請を妨げた第三者は、その登記がないことを主張することができない。
2             する義務を負う第三者は、その登記がないことを主張することができない。ただし、その登記の登記原因(登記の原因となる事実又は法律行為をいう。以下同じ。)が自己の登記の登記原因の後に生じたときは、この限りでない。


   第二章 登記所及び登記官

(登記所)
第六条  登記の事務は、   の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(以下単に「登記所」という。)がつかさどる。
2  不動産が二以上の登記所の管轄区域にまたがる場合は、法務省令で定めるところにより、法務大臣又は法務局若しくは地方法務局の長が、当該不動産に関する登記の事務をつかさどる登記所を指定する。
3  前項に規定する場合において、同項の指定がされるまでの間、登記の申請は、当該二以上の登記所のうち、一の登記所にすることができる。

(事務の委任)
第七条  法務大臣は、一の登記所の管轄に属する事務を他の登記所に委任することができる。

(事務の停止)
第八条  法務大臣は、登記所においてその事務を停止しなければならない事由が生じたときは、期間を定めて、その停止を命ずることができる。

(登記官)
第九条  登記所における事務は、   (登記所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が取り扱う。

(登記官の除斥)
第十条  登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族(配偶者又は四親等内の親族であった者を含む。以下この条において同じ。)が登記の申請人であるときは、当該登記官は、当該登記をすることができない。登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族が申請人を代表して申請するときも、同様とする。


   第三章 登記記録等

(登記)
第十一条  登記は、      に登記事項を記録することによって行う。

(登記記録の作成)
第十二条  登記記録は、  部及び  部に区分して作成する。

(登記記録の滅失と回復)
第十三条  法務大臣は、登記記録の全部又は一部が滅失したときは、登記官に対し、一定の期間を定めて、当該登記記録の回復に必要な処分を命ずることができる。

(地図等)
第十四条  登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。
2  前項の地図は、一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする。
3  第一項の建物所在図は、一個又は二個以上の建物ごとに作成し、各建物の位置及び家屋番号を表示するものとする。
4  第一項の規定にかかわらず、登記所には、同項の規定により地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる。
5  前項の地図に準ずる図面は、一筆又は二筆以上の土地ごとに土地の位置、形状及び地番を表示するものとする。
6  第一項の地図及び建物所在図並びに第四項の地図に準ずる図面は、電磁的記録に記録することができる。

(法務省令への委任)
第十五条  この章に定めるもののほか、登記簿及び登記記録並びに地図、建物所在図及び地図に準ずる図面の記録方法その他の登記の事務に関し必要な事項は、法務省令で定める。


(※本データは、総務省提供の法令データシステム(e-Govウェブサイト(http://www.e-gov.go.jp))を利用しております。当データの利用に伴って発生した不利益や問題について、何ら責任を負いません。)

3点セット

2017-05-18 07:22:40 | 司法書士
世の中にはいろいろな3点セットがあると思いますが、
会社を設立するときにも3点セットを用意することがあります。

「ハンコ」の3点セットです。


会社実印・銀行印・角印と呼ばれる3点です。

もちろん、3点すべてそろえる必要はないのですが、後日のためにそろえる方が多いです。

<会社実印>
会社を設立するには登記所で登記をする必要があります。
その登記の際に登記所に届け出るハンコがいわゆる会社実印です。
設立の登記が終わると印鑑証明書を発行してもらうこともできます。

イメージとしては、個人の実印は、市役所や区役所に届け出ているもので、印鑑証明書に表示される印影の印鑑のことを言いますが、
会社の実印は、登記所に届け出ているもので、印鑑証明書に表示される印影の印鑑のことになります。

形や記載内容は自由ですが丸型が多い気がします。
また、記載は周囲に会社名が刻印され、中に「代表取締役印」とか「代表者印」「理事長印」などと彫られています。

大きさには制限があり、大きすぎても小さすぎてもいけません。
一辺が1センチより小さい・3センチより大きいはいずれも不可です。

<銀行印>
銀行で口座を作る際に銀行に届け出る印鑑です。
銀行にとっては預金者を確認できるという意味で実印のような役割を果たします。

記載内容は会社実印と似ていますが、中に「銀行印」などと彫られています。

3点セットとして購入すると、会社実印と銀行実印の外形がそっくりなことが多いです。
わからなくなってしまった場合は、中に何と記載されているかじっくり読んでみてください。

<角印>
四角い印鑑です。
会社の請求書・領収書などに押す際に使います。



いずれのハンコも買った時点では「ただのハンコ」です。いわゆる認め印となんら変わりません。
上記のように、登記所や銀行に届け出ることによって会社実印なり銀行印になります。
個人の場合も、認め印を役所に届け出ることで実印になりますよね。それと一緒です。

なので、間違って登記所に銀行印(と思って買ったもの)を届け出ると、それが会社実印になってしまいますので
お気を付けください。(もちろん後日改印はできます)

使い方自由・穴埋め不動産登記法①

2017-05-17 06:00:00 | 司法書士
不動産登記法

第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度について定めることにより、国民の  の保全を図り、もって  の安全と円滑に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  不動産   又は  をいう。
二  不動産の表示 不動産についての第二十七条第一号、第三号若しくは第四号、第三十四条第一項各号、第四十三条第一項、第四十四条第一項各号又は第五十八条第一項各号に規定する登記事項をいう。
三  表示に関する登記 不動産の表示に関する登記をいう。
四  権利に関する登記 不動産についての次条各号に掲げる権利に関する登記をいう。
五  登記記録 表示に関する登記又は権利に関する登記について、一 の土地又は一 の建物ごとに第十二条の規定により作成される電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をいう。
六  登記事項 この法律の規定により登記記録として登記すべき事項をいう。
七  表題部 登記記録のうち、  に関する登記が記録される部分をいう。
八  権利部 登記記録のうち、  に関する登記が記録される部分をいう。
九      登記記録が記録される帳簿であって、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。以下同じ。)をもって調製するものをいう。
十       所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に、所有者として記録されている者をいう。
十一  登記名義人 登記記録の  部に、次条各号に掲げる権利について  者として記録されている者をいう。
十二  登記権利者 権利に関する登記をすることにより、  上、    を受ける者をいい、間接に利益を受ける者を除く。
十三  登記義務者 権利に関する登記をすることにより、  上、     を受ける登記名義人をいい、間接に不利益を受ける登記名義人を除く。
十四  登記識別情報 第二十二条本文の規定により     が登記を申請する場合において、         が当該登記を申請していることを確認するために用いられる符号その他の情報であって、     を識別することができるものをいう。
十五    の登記 登記事項に変更があった場合に当該登記事項を変更する登記をいう。
十六    の登記 登記事項に錯誤又は遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記をいう。
十七     第三十五条の規定により一筆の土地ごとに付す番号をいう。
十八     土地の用途による分類であって、第三十四条第二項の法務省令で定めるものをいう。
十九     一筆の土地の面積であって、第三十四条第二項の法務省令で定めるものをいう。
二十  表題登記 表示に関する登記のうち、当該不動産について表題部に  にされる登記をいう。
二十一       第四十五条の規定により一個の建物ごとに付す番号をいう。
二十二       一棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第三項 に規定する専有部分であるもの(区分所有法第四条第二項 の規定により共用部分とされたものを含む。)をいう。
二十三       表題登記がある建物に附属する建物であって、当該表題登記がある建物と一体のものとして一個の建物として登記されるものをいう。
二十四  抵当証券 抵当証券法 (昭和六年法律第十五号)第一条第一項 に規定する抵当証券をいう。

(登記することができる権利等)
第三条  登記は、不動産の表示又は不動産についての次に掲げる権利の保存等(             又は  をいう。次条第二項及び第百五条第一号において同じ。)についてする。
一    
二    
三     
四    
五      
六   
七    
八    
九    権(採石法 (昭和二十五年法律第二百九十一号)に規定する採石権をいう。第五十条及び第八十二条において同じ。)

(※本データは、総務省提供の法令データシステム(e-Govウェブサイト(http://www.e-gov.go.jp))を利用しております。当データの利用に伴って発生した不利益や問題について、何ら責任を負いません。)

「母の日」参り

2017-05-16 07:41:18 | お墓
5月14日の日曜日は母の日でした。

少し変わった提案として、お線香などの株式会社日本香堂では、お墓参りの新習慣に「母の日参り」を提案しているのだそうです。
ちょうどGWも近く、帰省をしている方も多い機会にお墓参りもどうですか、ということみたいです。
また、そもそも「母の日」とは、アメリカ南北戦争にて看護をした女性の娘が亡き母を偲んでカーネーションを捧げたのがきっかけなのだそう。
そういった点でも「母の日」にお墓参りはふさわしいのだそうです。

先祖をおもう、個人を偲ぶのは特定の日である必要はありません。
母の日参りができなかった方は、父の日参りはいかがでしょうか。

司法書士試験

2017-05-15 16:49:02 | 司法書士
現在、司法書士試験の願書受付期間です。
司法書士試験は、例年7月第一週の日曜日に実施されます。
願書は、ゴールデンウィーク明けに2週間くらいが受付期間です。
今年も5月8日から5月19日までが受付期間になっています。

もう10年以上前の話になってしまいますが、私が受験をした時は、願書提出のタイミングも受験戦略の一環でした。

その目的は受験環境の確保です。
司法書士試験は午前9時半から午後4時までの長丁場で、試験も11科目もあります。
少しでもよい受験環境を確保することは、合格可能性を高めることに直結します。
ただ、座席は受験番号で決まってしまうため、なかなか自分に都合の良い環境を手にすることは難しいのですが、
ある程度は自分にあった環境を確保しようと考え次の2つのことを行いました。

まず一つ目は、願書を直接窓口に出すことです。
願書は郵送でも受付可能なのですが、窓口で直接受け付けてもらいます。
そうするとその場で‟順番に”受験番号をもらうことができます。
この‟順番に”がポイントです。

順番に受け付けてもらえるので、自分の前後の人が、試験の際も自分の前後の人になるはずです。

私は初年度の受験の際に、前の席の方ととても相性が悪かったんです。
どんなふうに相性が悪かったのかは皆さんのご想像におまかせしますが、全くと言っていいほど試験に集中できませんでした。
とはいえ、まだ記念受験的な年だったので、よい教訓となりました。

このため、それ以降は、窓口で前後の方を確認しながら申し込みをすることにしていました。
相性が悪そうだったら列を外れて並び直そうと思っていたのです。
ただ幸いにそのようなことはありませんでした。
しかし、試験当日まで、大丈夫かな?って心配する必要はなくなりました。

もう一つは、願書提出のタイミングです。
最後の年(合格した年)は、受付ぎりぎりのタイミングで提出しました。

私は東京の会場で受験したのですが、受験教室は複数ありました。
受験番号が早い教室はやる気の高い人たちがたくさんいました。
当然、教室の雰囲気もピリピリしています。

一方、後ろの番号の教室はなんだかのんびりモードです。
初めて受験するような記念受験組、もう受験の目的すら失いかけている万年受験組など
「今年は絶対!」的な雰囲気はあまり感じられませんでした(あくまで個人的な感想ですが)。

私には、こののんびりモードがあっていました。
ピリピリモードだと試験会場の雰囲気に飲まれてしまうためです。

そのため、受付ぎりぎりに提出することで遅めの受験番号をゲットしていました。

つまり
1.窓口提出で前後の受験生を確認する
2.遅めの提出でのんびりモード教室を確保する

どちらか一方の年もありましたが、この2点を組み合わせてある程度自分にあった受験環境を確保して、受験に臨んでいました。


なお、受験は東京会場で10年以上前の話です。
今は通用するかはわかりません。

受験生の皆さん。
試験当日には実力が発揮できるよう頑張ってください。

法定相続情報証明制度

2017-05-15 14:28:11 | 司法書士
平成29年(2017年)5月29日より、法定相続情報証明制度が始まります。
登記所(法務局)が窓口になる制度です。
登記所と言えば、司法書士・土地家屋調査士の‟仕事場”ですが、この制度は、戸籍を職務上請求(資格者が業務として取得する)ができる方であれば
代理人として請求することができます。
司法書士以外にも、弁護士・行政書士・社労士の方なども代理人として請求することができます。

この制度は、これまで相続によって名義変更をしなければならない場合(銀行口座の名義変更など)、銀行毎に被相続人(亡くなった方)の出生から
死亡までの戸籍を集めて提出しなければなりませんでした。
戸籍は、出生から死亡までそろえると少なくても3~4通は必要になります。1通で完結ということはありません。
反対に、複雑な戸籍になると10数通ということもあり得ます。
その負担を、軽減しようと、登記所に一度戸籍の束を提出すれば以後は「法定相続情報」という相続関係図によって戸籍の束に代えることができます。
そういった意味では、相続人の負担は随分と軽減できるのではないでしょうか。
したがって、相続などを取り扱うことの多い法律系の資格者の方にとっては、重要性が高い制度と言えます。

もっとも、銀行などがこの制度を利用するか否かは自由です。
つまり、口座の名義変更にはこれまでどおり戸籍一式を求めてくることも考えられます。
銀行の実務がこの制度を積極的に取り扱ってくれるのかは始まってみないとよくわからないとも言えます。


法務局のホームページ
「法定相続情報証明制度」が始まります!

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html